
様々な施設でロボットが実証実験を行う「あいちロボットショーケース」を開催。「大名古屋ビルヂング」の実証実験の様子をレポートする第3回。
今回は、THKが公開した自動運転の搬送ロボットとサイネージの連携デモを中心に紹介したい。
THKは動くサイネージも展示
THKはロボットアームやハンド、アクチュエータ等で知られる、ロボット業界ではお馴染みの企業。同社は現在、新規事業として遠隔操作と自律走行に対応した走行台車の開発も行っている。前回はコーヒー店で搬送ロボットとして活用する実証実験をレポートした。
その走行台車に大型のサイネージを装着したロボット「サイネージロボット」を試作して展示と実験も行っていた。
サイネージは今回のような商業施設の場合、ショッピングモールのキャンペーンやイベント情報、店舗のセール、レストラン店の空き情報などを表示することを想定。サイネージの方から来店客に近付いたり、来店客の属性(性別や年齢)などを判断して最適な情報に切り換えて表示する機能などを実装したい、とした。
「将来は、調理場の様子を映してお客様の食欲を誘ったり、このサイネージからお店の予約ができたり、QRコードでクーポンを提供するなど、集客ツールとして活用できると考えています」「お客様がわざわざインフォメーション(案内所)を探し回らなくても、この画面を通してオペレータとテレビ会話をして、トイレやエレベータの場所、お店や催事場のご案内などもできると便利ですよね。お客様の言語に合わせて対応できるオペレータを変えれば、外国の方にもご案内が可能です。オペレータも自宅からテレワークでお仕事ができるし、働き方改革に繋がるかもしれません」(THK株式会社の菅原正人さん/三好崇生さん)と語った。
今回の実証実験では「サイネージロボット」の訴求力の検証と、「Lifter付きSEED-Mover」はタリーズコーヒーで行ったコーヒーの自律配送などを試した。
来店客の質問にオペレータが対応、自律移動ロボットがエリアの様子を映像で伝える
そして更にもうひとつ、現場からの気づきでサイネージと自律搬送ロボットとの連携も公開した。
これは面白い試みで、飲食店エリアに配送ロボットを配置、来店客がサイネージロボットを通じてオペレータに「オススメのラーメン店と混雑状況」を質問、オペレータはラーメン店を紹介するとともに、配送ロボットのカメラでラーメン店と店内の様子を撮影、サイネージに表示して混雑状況を案内した。
まず、自動搬送ロボットをレストラン・エリアに移動して配置。
■ 動画
来店客がサイネージの方にやってくる。それを検知したサイネージも来店客の近くに移動する。画面にオペレータが表示される。来店客は「とんこつラーメンのお店ってありますか?」と聞く。
オペレータがオススメのラーメン店を告げると「混んでますか?」と来店客。オペレータは自動搬送ロボットのカメラで写したラーメン店のライブ映像を画面に表示。混雑状態を告げる。
■ 動画
コロナ禍で病院やホテル、商業施設などでも非対面や非接触が求められる傾向にある。その点でロボットの自律移動や遠隔操作は一層注目されている。次はコミュニケーションロボット等について紹介したい。
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あいちロボットショーケース2020
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神崎 洋治
神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。