アクセンチュア、世界の最新テクノロジートレンド調査レポート「テクノロジービジョン2021」を発表 5つの技術トレンドとは

テクノロジーは、新型コロナウイルス禍において非常に重要な役割を果たし、新たな働き方やビジネス形態の構築、これまでになかった顧客接点や体験のあり方の創出、人々の健康や安全の推進を可能にした一方、人々の考え方や行動を永続的に変え、あらゆる業界に全く新しい競争環境をもたらした。

アクセンチュアは、世界のテクノロジートレンドに関する最新の調査レポート「Accenture Technology Vision 2021(テクノロジービジョン2021)」を発表した。同レポートは、今後3年間でビジネスや業界に大きな影響をもたらす重要なテクノロジーのトレンドを予測した、今年で21回目となる年次調査レポートで、今回のレポートでは「熱望されるリーダーとは – 変化を捉えて主導すべき時(Leaders Wanted: Masters of Change at a Moment of Truth)」と題し、リーダー企業がどのようにして10年分のデジタルトランスフォーメーションを1~2年間で成し遂げているのかを明らかにしている。





「テクノロジービジョン2021」の概要

同レポートでは、企業が新型コロナウイルスによる危機の対処から、ビジネスの再創造の段階へと進む中、テクノロジーを駆使して変化を巧みに取り入れる企業が、未来をけん引すると予測している。同社の調査によると、リーダー企業は、デジタルをビジネスの中核に据えて素早いイノベーション創出の体制を構築することで、デジタル活用に出遅れた企業に比べて5倍のスピードで収益を伸ばしており、2015~2018年の期間ではこの差が2倍に留まっていたことが分かっており、その結果、多くの企業はテクノロジーイノベーションを用いて自社ビジネスの再創造を図ろうとしている。

同社のテクノロジー担当グループ・チーフ・エグゼクティブ 兼 最高技術責任者であるポール・ドーアティ(Paul Daugherty)氏は次のように述べている。

アクセンチュア テクノロジー担当グループ・チーフ・エグゼクティブ 兼 最高技術責任者 Paul Daugherty氏

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、未来に向かうスピードが急激に速まりました。多くの企業がビジネスやコミュニティの運営を維持するために、前例にとらわれることなく、これまで不可能だと考えられていたスピードでテクノロジー活用に取り組むようになりました。
一方で、迅速な事業転換に必要となるデジタル基盤の整備が不十分であったために、自社の弱点が浮き彫りになるという課題に直面する企業もあります。私たちは今、テクノロジーの価値を評価する『真実の瞬間』を、テクノロジーに対する信頼を深める『信頼の瞬間』に昇華させていく、一世一代の好機を迎えていると言えるでしょう。企業は、指数関数的な速さで進化を遂げるテクノロジーの力を取り入れることで、ビジネスや人々の体験のあり方を根底から再創造することができるのです



同レポートの作成にあたり、日本を含む全世界6,200人以上の企業や組織の上級役職者およびIT担当役員を対象に調査を実施。このうち、92%が「今年は緊急性に迫られてイノベーションに向けた行動を起こしている」とし、91%が「今後市場を獲得していくには、自らが市場のあり方を定義することが不可欠だ」と回答している。



企業が「変化の達人」として重要な3つの点

同レポートでは、企業は、未来を形作る上で次の3点が重要になるとしている。まずは、テクノロジー分野をけん引する「テクノロジーリーダーシップ」を推進することだ。リーダー企業に素早く追随する「ファストフォロワー」が優位になる時代が終わり、今後永続的に変化が続く中、テクノロジーを事業戦略の全面に打ち出す企業こそが、これからのリーダー企業となる。次に、リーダー企業はニューノーマル(新常態)の定着を待つのではなく、従来と根本的に異なる考え方やモデルを用いて自らそれを作り上げることが重要だ。最後に、リーダー企業は地球社会における市民として幅広い責任を果たしながら、テクノロジーを駆使して、企業の垣根をはるかに超えて価値をもたらし、より持続可能で受容性に富んだ世界を作り上げることが求められる。



「テクノロジービジョン2021」が定義する5つのテクノロジートレンド

同レポートでは、テクノロジートレンドとして「Stack Strategically:テクノロジーの戦略的集積」「Mirrored World:ミラーワールド」「I, Technologist:一人ひとりがテクノロジスト」「Anywhere, Everywhere:あらゆる場所が仕事場に」「From Me to We:「個」から「全体」へ」の5つの項目が挙げられている。

テクノロジーの戦略的集積 ――アーキテクチャが未来を決定づける

(Stack Strategically: Architecting a Better Future)
新たな業界競争の時代が幕を開ける中、ITシステムのアーキテクチャが競争力を左右します。しかし、競争力の高いテクノロジーを集積し、活用するためには、テクノロジーに関する考え方を変え、ビジネス戦略とテクノロジー戦略を融合させることが不可欠です。今回の調査では、回答者の89%が「自社のビジネス価値の提供能力は、今後より一層、自社が持つテクノロジーアーキテクチャの能力に左右される」と回答した。

ミラーワールド ――インテリジェントな巨大デジタルツインが戦力に

(Mirrored World: The Power of Massive, Intelligent, Digital Twins)
リーダー企業は、工場やサプライチェーン、製品ライフサイクルなどをデジタル空間に再現するため、インテリジェント化されたデジタルツインの構築に取り組んでおり、データやインテリジェンスを組み合わせて現実空間と同じ世界をデジタル空間で構築することによって、新たなオペレーションやコラボレーション、イノベーションの可能性が生まれる。今回の調査では、65%が「今後3年間で、インテリジェント化されたデジタルツインへの投資を増やすだろう」と回答した。

一人ひとりがテクノロジスト ――テクノロジーを民主化する

(I, Technologist: The Democratization of Technology)
あらゆる事業部門の従業員が、テクノロジーがもたらす強力な機能を利用できるようになった今、従業員一人ひとりによる草の根の取り組みが、企業のイノベーション戦略において重要になった。今では、すべての従業員がイノベーターとなって業務を最適化して、課題を克服し、ニーズの発生や変化に合わせてビジネスを維持することが可能だ。今回の調査では、88%が「全社的なイノベーション推進にはテクノロジーの民主化が不可欠だ」と回答した。

あらゆる場所が仕事場に ――自社の環境を持ち歩く

(Anywhere, Everywhere: Bring Your Own Environment)
今回の調査では、81%が「業界をけん引する企業は、“私物端末の業務利用(Bring Your Own Device)”から“自社環境の持ち歩き(Bring Your Own Environment)”という労働環境に転換し始めるだろう」と回答。企業は仕事場の境界線を広げることで、労働環境に大きな変化をもたらした。人々は“自社環境の持ち歩き”が可能になり、自宅やオフィス、空港、パートナー企業のオフィスなど、どこからでも円滑に仕事ができる自由を手に入れた。リーダー企業は、こうした環境で働くことに関して企業としてのパーパスを再考し、自社ビジネスの再創造を進めていく必要がある。

「個」から「全体」へ ――マルチパーティシステムが突破口に

(From Me to We: A Multiparty System’s Path Through Chaos)
接触追跡システムや、フリクションレス(摩擦のない)決済のほか、新たな信頼構築方法に対する需要が増えたことにより、企業の既存のエコシステムでは未対応だった分野が注目されるようになった。企業は、業界を横断したデータ活用を可能とするマルチパーティシステムを構築することで、レジリエンス(危機からの回復力)や適応力の向上、市場開拓手法の拡大、業界のエコシステム形成を見据えた新たな基準の設定などをより一層進めることができる。今回の調査では、90%が「マルチパーティシステムを構築することで、パートナーとの新たな価値創出に向けて、よりレジリエンスや適応力に優れたエコシステムの形成が可能になる」と回答した。

【調査方法について】
2021年版のレポートでは、公的機関や民間企業、研究機関、ベンチャーキャピタル、ベンチャー企業に在籍する25名以上の有識者で構成される「テクノロジービジョン外部諮問委員会」から収集された知見を参考にしている。また、テクノロジービジョンの編纂チームは、テクノロジー分野の有識者や業界の専門家、アクセンチュアの経営幹部約100人に対するインタビューも実施。同時に、新しいテクノロジーの導入に関する実態を調査するために、アクセンチュア・リサーチが31カ国、14の業界にわたる6,241人の企業経営層およびIT担当幹部を対象に、主要な課題と優先的に導入、投資すべきテクノロジーについてオンライン調査を行った。


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