NVIDIAが5GとAIエッジ「AI-on-5G」や自動運転車向け最新「NVIDIA DRIVE Atlan」、連携企業などを発表【GTC2021】

NVIDIAは2021年4月12日よりGTC2021を開催し、リリースを続々と発表している。今回はそのリリースをまとめて紹介する。


世界の主要ネットワーク インフラストラクチャ プロバイダーが、 NVIDIA AI-on-5G プラットフォームを採用

NVIDIAは富士通、Google Cloud、Mavenir、RadisysおよびWind Riverと連携し、スマートシティやスマートファクトリー、スマートホスピタルおよびインテリジェントな店舗の構築を加速する、NVIDIA AI-on-5G GPU アクセラレーションプラットフォームを活用したソリューションを開発すると発表した。

AI-on-5GプラットフォームはAIと5Gの開発をエッジで統合し、すべての業界にわたる企業のデジタルトランスフォーメーションを加速する統合プラットフォーム。同プラットフォームを導入することで、ひとつの統合されたプラットフォームで5G とエッジ AI コンピューティングの両方に対応することができるようになる。


AI-on-5G を実現するために、NVIDIAは以下のような企業と連携している。

富士通

富士通は今年後半に、海外通信キャリアに最適なオープンRANを提供する「5G オープン RAN エコシステム」の実現に向けて、POCシステムを開発し、技術検証を始める予定。富士通とNVIDIAは5G以降のOpen RANシステムに向けた発展において、NTTドコモをはじめ、世界の通信事業を支援する。また、Aerialソフトウェアデファインドの実装によって、マーケットに投入するまでの時間が短縮され、イノベーションを加速し、企業がAIアプリケーションを導入しやすくなる。

Google Cloud

Google CloudはAnthosアプリケーションプラットフォームをネットワークエッジにまで拡張することで、通信サービスプロバイダーと企業が、5Gのエッジで新しいサービスとアプリケーションの迅速な提供を可能にする。企業は、Google Cloudのマネージド サービスとNVIDIAのテクノロジによって、IoTの経済を実現するとともに、データとAIの活用によって業績をアップさせ、経営効率を高め、安全性と信頼性の最適化を図ることができる。

Mavenir

Mavenirはネットワーク事業者をターゲットとして、Aerial SDKをベースにした、2つの5G vRANシステムを構築して、パブリック5Gとプライベート5Gを活用したエンタープライズ向けAIを提供しようとしている。MavenirとNVIDIAはハイパーコンバージドのエンタープライズ向け5Gソリューションを構築し、エンタープライズがシームレスで、使いやすいソリューションによって AI-on-5G アプリケーションを実装できるようにした。

RadisysおよびWind River

企業内にAIを導入するという課題に対して、RadisysおよびWind Riverはエンタープライズ向け5Gと産業向け5Gネットワーク向けに、NVIDIA Aerial AI-on-5Gソリューションを提供する予定。ABI Researchによれば、2027年までに、600万以上の5Gセルが、スマートファクトリー、フルフィルメント センター、ならびに他のエンタープライズや産業界、公共のゾーンに展開され、地域に特化した接続ソリューションが提供されるようになる。
関連サイト
AI-on-5G


次世代の自律走行車に向けてNVIDIA DRIVE Atlanを発表

NVIDIAは1,000TOPS(毎秒1,000兆回の演算性能)を実現し、自動車メーカーの2025年モデルを対象とした、自律走行車向けの次世代AI対応プロセッサである NVIDIA DRIVE Atlanを発表した。


NVIDIA DRIVE Atlan システムオンチップはNVIDIAの自律走行車向けに一元化されたコンピューティングロードマップにおける新製品であり、AI とソフトウェアを最新のコンピューティング、ネットワーク、セキュリティと融合させ、前例のないレベルのパフォーマンスとセキュリティを実現する。DRIVE AtlanにはNVIDIAの次世代GPUアーキテクチャ、新しい Arm CPU コア、ディープラーニングおよびコンピュータービジョン アクセラレータが含まれる。このデータセンターのような性能により、ソフトウェア デファインドの車両を構築するために十分なコンピューティング機能が提供される。さらに、安全なOTA(Over The Air)アップデートを通じたプログラミング、および永続的なアップグレードが可能となる。

NVIDIAの創業者/CEO であるジェンスン フアン(Jensen Huang)氏は、以下のように述べている。

輸送業界は、数十年にわたって頼ることのできるコンピューティング プラットフォームを必要としています。ソフトウェアへの投資は巨額になっており、車両1 台ごとに投資を繰り返すのは不可能な状況です。NVIDIA DRIVE は、最先端の AI と AV コンピューティング プラットフォームであり、豊富で、包括的なソフトウェアと開発者のエコシステムにより、数世代にわたってアーキテクチャ上の互換性を維持することができます。本日、NVIDIA はそのロードマップを新たなレベルに発展させると発表しました。新しい DRIVE Atlan は、真の意味で驚異的なテクノロジであり、NVIDIA の強みである AI、自動車、ロボティクス、安全性および BlueField によるセキュアなデータセンターのすべてを融合することで、安全で、自律的な車両群を生み出すことが可能になります


自律走行車メーカーがNVIDIA DRIVE ソリューションを続々と採用

NVIDIAは最新のNVIDIA DRIVEソリューションを使い、AI を活用した次世代の自律走行車を生み出そうとしている大手輸送関連企業が増え続け、Volvo、Zoox および SAIC もNVIDIA DRIVEソリューションを導入することになったことを発表した。次世代の自動車、トラック、ロボタクシー、および 新エネルギー車(NEV)への採用が拡大しているのを受け、オートモーティブ関連企業からのNVIDIA DRIVEの受注高が今後6年間で80億ドル以上に達する見込みとなっている。

Volvo Carsと NVIDIA がコラボレーションを強化

Volvo CarsはNVIDIA DRIVE Orinを搭載した次世代モデルを構築し、NVIDIAとの過去数年間の密接な協力関係をさらに強化すると発表。DRIVE Orin テクノロジを活用した、最初の自動車となる、次世代のVolvo XC90は、来年公開される予定。

ZooxとDiDiがNVIDIA DRIVEを採用

Zooxは先頃、都市部で日常的に走行することを想定した、専用のロボタクシーを発表。同車両にはNVIDIA DRIVEが活用され、双方向性機能を備えた最初のロボタクシーとしてインテリジェントな次世代の輸送を実現する。中国の大手MaaS(mobility-as-a-service: サービスとしてのモビリティ)プロバイダーであるDiDiも、自律走行テスト用車両すべてにNVIDIA DRIVEを採用すると発表しrた。ZooxとDiDiは、Pony.aiやAuto Xといった、すでにNVIDIA DRIVEプラットフォーム上で開発を行っている企業のリストに加わることになる。

NEV革命を主導
NVIDIA DRIVE Orinを使ってソフトウェア デファインドの車両を開発し、早ければ 2022年よりAI機能を継続的に更新する計画を発表している自動車のスタートアップ企業やEVブランドが、ここ数か月で増えている。以下はその一例。

・中国最大の自動車メーカーであるSAICは、2つのEVブランドに先進のAI機能を搭載する準備を進めている。次世代車両のR Autoファミリーでは、NVIDIA DRIVE Orinを活用し、自動運転のための認識、センサーフュージョンおよび予測をリアルタイムで行う、先進のR-Techインテリジェントアシスタントを搭載する予定。Alibabaとのジョイントベンチャーである、ウルトラプレミアム車のIMブランドでは、NVIDIA DRIVE Orinを搭載した長距離対応のEVを提供し、セダンとSUVでは自律駐車や他の自動運転機能が備わる予定になっている。現在、セダンの受注はすでに開始しており、SUVの受注は2022 年に開始する予定。

・世界的なインテリジェントモビリティ企業であるFaraday Futureは、フラッグシップの超高級モデルであるFF 91 EVにNVIDIA DRIVE Orinを搭載し、2022年の発売時には先進的な高速道路自律走行機能と駐車および出庫の機能を確立しようとしている。それぞれ2023年と2024年に発売予定となっている、次世代の車両FF 71とFF 81でも、NVIDIA DRIVE Orinが採用される予定となっている。

・ベトナムの大手自動車メーカー、VinFastは、レベル2から3の自律機能を備えたインテリジェントEVのVF e34,VF e35およびVF e36の大量生産を開始しようとしている。同社のプレミアムなEVモデルでは、NVIDIA DRIVE XavierからNVIDIA DRIVE Orinへとアップグレードする計画も立てられている。

・Nioは4つのNVIDIA DRIVE Orin SoCを搭載した合計1,000TOPSの処理能力を持つ、Adamという名前のスーパーコンピューターを同社のET7セダンに装備し、先進の自動運転機能を提供すると発表した。ET7は、2022 年に中国で出荷が開始される予定。

・Li AutoはNVIDIA DRIVE Orinを使用した次世代のEVを開発し、この車両を2022年に出荷する予定。この中国の自動車メーカーの新しいEVは、一次サプライヤーのDesay SVと共同開発されており、先進の自律走行機能と航続距離の延長を特徴としている。

・Xpengは先進の運転テクノロジを同社のP7セダンで、すでに実用化している。昨月、同社は、NVIDIA DRIVE Xavierを搭載したP7車両の車隊を使い、自動運転によって6日間で国を横断するという偉業を達成した。Xpengでは2022年にNVIDIA DRIVE Orinへのアップグレードを行う予定。

NVIDIA DRIVE を搭載したトラックが公道を走行
Eコマース商品への需要が高まっているなか、トラック業界は深刻なドライバー不足に苦しんでいる。NVIDIA DRIVEプラットフォームは、ジオフェンスで区切られたエリアや公道、高速道路で走行できる、安全で、完全な自律走行可能なトラックの開発を実現する。

・NavistarはTuSimpleと連携し、NVIDIA DRIVEを活用して、レベル4までの自動運転が可能なトラックを新規に開発しようとしている。この米国メーカーのインテリジェントなトラックは、2024年までに生産が開始される予定。

・中国最大のトラックメーカーであるFAWは、NVIDIA DRIVE プラットフォームを実装した自律走行トラックを Plus と共同開発しています。このトラックは、今年後半に生産が開始される予定で、2022 年にはOrinへのアップグレードが行われる予定となっている。

・Volvo Groupの一員であるVolvo Autonomous SolutionsもNVIDIAのエンドツーエンドのDRIVEプラットフォームを使って、自律輸送ソリューションと次世代のレベル4トラックの開発を行っている。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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