スマート農業のワイズ技研がスマート養蜂「Y’sSmartBee」研究を開始 蜜蜂の行動データを収集し、分蜂や体調管理などを予測

ドローンやIoTを活用したスマート農業に関する研究・サービス開発を手がける株式会社ワイズ技研は、養蜂に関する蜜蜂の行動をデータ収集し、AIによる分蜂や体調管理などを予測するスマート養蜂「Y’sSmartBee」の研究を埼玉県立羽生実業高等学校 農業経済科と共同で開始したことを発表した。同取組みでは生物活用などの授業を生徒と共に、養蜂業界における管理業務そのものを見直し、養蜂業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)化による養蜂業の活性化を目指す。


内検業務の業務負荷軽減に向けた養蜂業界の業務改革

蜜蜂が生み出すはちみつ、国内流通量約4万3千トンのうち、国産はちみつの生産量は約3千トンで国内自給率は6%となっていて、輸入はちみつのシェアが圧倒的に高い。近年では日本国内の食品自給率の向上を目指す取組みで国産はちみつの価格が上昇傾向にあり、蜜蜂の飼育戸数は増加傾向にあるものの、蜜源植物の減少や疾病やダニの問題など飼育における巣箱の中の確認業務「内検業務」の必要性が高く、人的負担が拡大することで抜本的な生産量向上が難しいのが現状。

また、養蜂における最大の課題として、新たな女王蜂の誕生と同時に、それまでの女王蜂が働き蜂を連れて巣立つ「分蜂」は生産量の更なる低下を招くため、巣枠1枚1枚を確認しながら新たな女王蜂の卵や幼虫を取り除き「分蜂」対策が必須とされている。


巣箱内にセンサーを設置

そこでワイズ技研は内検業務のDX化に向けて巣箱内にセンサーを設置して蜜蜂の行動データを収集・解析することで内検業務の効率化を目指しスマート養蜂「Y’sSmartBee」の研究を開始。気温や湿度などの環境データと蜜蜂の行動データを基に分蜂予知や蜜蜂の健康状態などをAIにて予測し通知することで、必要最小限の管理業務にし、人的負担の減少と飼育数を増加させることで国産はちみつの食品自給率向上と養蜂業界の収益化を目指すことが可能になる。


羽生実業高等学校と協力して実証実験を実施

株式会社ワイズ技研と一般社団法人羽生市観光協会が所管する全国まちづくり交流協会が、羽生市の新たな特産品として蜂蜜を開発する。羽生市は地域資源が豊かで、市の花である藤をはじめ利根川沿いに綺麗な菜の花が咲いていることからプロジェクトを開始。埼玉県立羽生実業高等学校に協力をお願いし、「Y’sSmartBee」を使用した実証実験を行った。

立ち藤(大天白公園:埼玉県羽生市北2丁目9)

授業の中に養蜂を取り入れ、監修者として神奈川県内で養蜂家として活躍している谷口侑太氏と学校法人東京農業大学厚木ミツバチ研究部部長 岸村和真氏のサポートを受けて実施。産学官の連携を図り、蜜蜂を育てながら特産品の開発をするだけではなく、次世代の養蜂を担う若者の人材育成も行っていくとしている。




今後の展開

実証実験を通じて蜜蜂の行動解析を行い、スマート養蜂「Y’sSmartBee」を確立を目指す。蜜蜂や巣箱の状態を数値化することで、業務負荷の大きい内検業務を必要な時に必要なタイミングのみにすることで、業務効率化を実現させることを目指す。また、内検という蜜蜂にとってもストレスを与える回数を減らすことで、蜜蜂も蜜集めに集中することができ、生産量向上にも繋がることを目指していく。

関連サイト
株式会社ワイズ技研

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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