『Society 5.0科学博』見どころと体験レポート 2030年の未来社会/自動運転/空飛ぶクルマ/はやぶさ2/課題解決ロボット大集合

日本発の最先端技術を発信する『Society 5.0科学博』が本日、7月15日(木)に開幕。日本が想い描く「2030年の社会」を世界へ向けて発信する博覧会イベントだ。
会場は東京スカイツリータウン、入場料は無料。主催は内閣府と海洋研究開発機構(共催)。メイン展示の期間は28日(水)までの14日間。

報道関係者向けに内覧会が開催されたので、写真を中心に会場の様子と見どころを紹介していこう。

地下鉄の駅から東京スカイツリータウンに向かうエスカレーターで『Society 5.0科学博』のアトムがお出迎え。未来社会を垣間見るわくわく感


「Society 5.0」(ソサエティ)とは「みらい社会」という意味で使われていて、AI、ロボティクス、ビッグデータ、ドローン、自動運転などICT技術を活用して人間中心の社会を創る未来の姿を提唱したもの。今の最先端と、少し先の未来を体験できるイベントとなっている。

会場は東京スカイツリータウン。夜間は未来社会をイメージした特別ライティングも行われている ©TOKYO-SKYTREE

■ 会場の様子


自動運転や空飛ぶクルマ、未知への挑戦

一般の人が普段はまだ、あまり見る機会のない自動運転バス、自動運転対応のロボットトラクター、空飛ぶクルマ、はやぶさ2のレプリカ、しんかい6500、ポリマー素材で開発されたクルマなどを見ることができる。

東京スカイツリータウンの入口に展示されている巨大な有人潜水調査船「しんかい6500」。名前の由来は深度6500mまで潜行できる卓越した能力から

「しんかい6500」の後ろには東京スカイツリーが雄大にそびえ立つ

前部にロボットアームが装備されている。実物のコクピットは軽くて頑強なチタン合金製、球体状の耐圧殻の中にあり、水圧から乗務員を守るという

ヤンマーアグリの自動運転対応のロボットトラクター「YT5113A」。既に販売されている。センサーとAIを駆使して周囲の状況を自己判断して自動で作業を行う。最大の特徴はGNSSに対応した自己位置推定。わずか2~3cmの誤差の高精度で作業している自分の位置を特定する。高齢化・人材不足の課題を抱える農業をICTで変革する

完全自動運転に対応した田植え機。田植え作業を人より速く正確におこなうことができるため生産効率の向上が期待されている

ロボスタではお馴染みの自動運転バス「NAVYA ARMA」(ナビヤ アルマ)。マクニカが展示。既に東京都の「HIcity」の駐車場の巡回、茨城県境町の公道で自動運転が実用化されている

バスの中も見学できる

海上技術安全研究所が洋上中継機を展示

東京スカイツリータウン4階のスカイアリーナ特設パビリオン。この中に空飛ぶクルマやポリマー製の未来のクルマ等が展示されている

SkyDrive「空飛ぶクルマ」の試験機「SD-03」フルスケール展示機。「SD-03」は2020年8月に有人飛行試験に成功した。飛ぶところも見てみたかった!!

「しなやかなタフポリマー」のコンセプトカー。ポイントはクルマの素材がポリマーであること。薄くすると壊れやすく、厚く硬くすると脆くなる性質が課題だったが、薄膜化と強靱化を同時に達成して自動車のボディ素材への活用を試作ながら実現した(詳細はこちら)




宇宙への挑戦

小惑星「りゅうぐう」へ旅をした「はやぶさ2」のレプリカを展示。更には2020年12月オーストラリアのウーメラ砂漠に着地し、「りゅうぐう」から多くの物質を持ち帰ったはやぶさ2のカプセルも展示。宇宙を旅してきた実物のパーツ類も展示されている(一部、同等品やレプリカ含む)。


小惑星「りゅうぐう」への旅をした探査機「はやぶさ2」。本体は125×100×160cm、重量600kgと、探査機の中では小さい機体だが間近に見上げると大迫力

ウーメラ砂漠に着地して貴重な物質とデータを持ち帰ったカプセルのインスツルメントモジュール(左)と搭載電子機器部(実物) (特別に許可を得て撮影:一般の来場者は撮影禁止)

カプセルの背面ヒートシールド(実物)。帰還の大気圏突入時に燃え、焦げた跡が生々しく残っている (特別に許可を得て撮影:一般の来場者は撮影禁止)

カプセルの前面ヒートシールド(手前)とパラシュート(奥) (特別に許可を得て撮影:一般の来場者は撮影禁止)

月面探査車「ルナクルーザー」の模型

歴代ロケットの模型や、宇宙服、更にはロケットエンジン「LE-7A」も展示されているのでお楽しみに

宇宙ビジネスの展示ブースも。宇宙機の安全航行の確保を目指し、次世代へ持続可能な軌道を継承する為、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去サービスに取り組む世界初の民間企業アストロスケール社の活動に触れられる。

スペースデブリ(赤丸)をキャッチしたところの模型。実際の機体は既にソユーズによって宇宙に上がり、デブリを回収する実証実験に取り組んでいる。SNSをフォローすると展示ブースのガシャポンで景品がもらえるので要チェック




社会課題への挑戦

「Society 5.0」も「SDGs」(エスディージーズ)も、地球環境/災害/社会/高齢社会/エネルギーなどのさまざまな社会課題に向き合い、解決していくことが重要視されている。東京スカイツリータウン4階のスカイアリーナ特設パビリオンでは、最先端のICT技術だけでなく、それら課題を解決するソリューションを身近に見ることができる。

スカイアリーナ特設パビリオンの入口では日立製作所のコミュニケーションロボットがお出迎え


脳神経系の病気等による身体機能を改善する装着型サイボーグ

サイバーダインが開発する「HAL」シリーズは筋ジストロフィー等の病気を治療・再起するための装着型サイボーグ。保険適用となって費用が抑えられ、普及が進んでいる。脳からの生体信号を活用し、脳神経系の機能を改善していく。

今回稼働デモ展示しているのは身長約100~150cmの子ども用治療機器。初期の頃から治療ができると効果が高い点に着目した。まもなく脳性マヒの子どもの治験がはじまる

サイバーダインのシステムは通信を使って身体の活動信号等のビッグデータが世界中から集積されている。家庭でも治療ができて、遠隔のリハビリにも活用できる。医師と患者が自身のデータを共有することで困難な病気にICT技術で立ち向かう。


被災状況を電波でスキャンする技術

9~10GHzの周波数帯の電波を使って、地形や建物等の状況を把握する「Pi-SARのアンテナポッド」を展示。災害緊急時に航空機などに搭載して、被災状況を電波でスキャンして見える化する。夜間や雨天、霧など、天候や気象状況に左右されずスキャンすることができる。東日本大震災の時にも活用され、火山噴火時には噴煙があっても火口の状況を把握することができる。

「Pi-SARのアンテナポッド」(主部)

航空機に搭載した模型。赤丸が「アンテナポッド」で2つ搭載することで二眼となり、デプス効果が向上する


災害現場を調査するロボット

人が入ることが困難な災害現場では、遠隔操作ロボットが活躍する。科学博では、放射施量が高い福島第一原子力発電所の建屋内でも探査に活用された「キャタピラ型最大対応ロボット」が展示されている。このロボット開発の根底には世界的なロボット競技大会「ロボカップ」のレスキュー部門で培われた技術が息づいている。

熊本地震の際にも遠隔探査に利用された。災害の状況と目的によって、カメラや赤外線センサー、ガス漏れや放射能センサーなどを搭載・換装することができる

有線の通信装置も搭載することができ、400m程度なら電波の届かない災害現場でも使用できる。また、この機体が中継機になって、協働して行動するロボットと無線通信のハブになることもできる


高速道路や地下鉄のトンネルの劣化を調査するロボット

笹子トンネルの天井崩落事故のような悲劇を未然に防ぐために開発されたフォトンラボの「インフラ点検ロボット」。LiDARによるレーザー計測と、カメラによる画像計測とAI解析技術を組合せ、高速道路や地下鉄などのトンネルを点検、劣化や破損をチェックする。怪しい箇所を見つけた場合、人の作業ではハンマーで叩いて確認するが、このロボットはレーザーで衝撃を与えて振動を計測、危険度を自動判定する。

高速道路の場合、専用トラック等にこのロボットを搭載し、トンネルを時速80km程度で走りながらカメラとLiDARで計測できる

この分野も高齢化と人手不足が深刻な課題。このロボットは熟練者の作業をAIロボットが習得し、人の作業のおよそ1/4で作業でき、既に実用化されている

搭載されているLiDAR。既に高速道路や地下鉄で運用が始まっている。地下鉄では夜中にバラバラの状態で駅のホームから搬入し、組み上げてから作業するという

危険度が高いと判断した部分はレーザーで衝撃を与えて振動を確認してチェックする


Society5.0への軌跡 天望回廊

東京スカイツリーの地上450mに位置する「展望回廊」(350mの展望搭のさらに上)では、「Society5.0 科学博」と連携した企画として、科学技術と人々の連帯により、その時々の困難を克服しSociety 1.0から4.0までの社会を築いてきた歴史がパネル展示されている。(展望塔/天望回廊への入場は有料)


宇宙に近い場所で、街を一望しながら未来について考えることができるという趣向になっている(パネル展示が中心)。


球体とプロジェクションマッピングを組合せた「ダジック・アース」。


ダジック・アースはタブレット等でも無料で利用することができる


東京スカイツリーの特別ライティング


©TOKYO-SKYTREE


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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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