深谷観光の自動運転バス「渋沢栄一 論語の里 循環バス」ほぼ全区間で自動運転が可能に 国内最長クラスの全長26kmを自動運転で走行

深谷観光バス株式会社と埼玉工業大学は、営業運行中の『渋沢栄一 論語の里 循環バス』において、自動運転の走行区間を約26kmに拡大したことを発表した。国内の一般公道において運行する自動運転バスとしては、例のない長距離の自動運転走行となる。

この循環バスは、本年2月から放映が開始されたNHKの大河ドラマ「青天を衝け」に合わせて、近代日本経済の父と言われる渋沢栄一翁ゆかりの地「論語の里」を訪問する見学者のための足として、産学官の連携により運行を開始した。

自動運転バスは埼工大が開発した自動運転マイクロバス(リエッセII)で運転士は乗車している。埼玉県内初の業務用車両として緑ナンバーを取得した自動運転バスで、運行開始当初は区間限定の約8kmを自動運転とし、その他の区間は運転士が運転にあたっていた。また本年4月29日からは2台目となる全長9mの大型自動運転バス(レインボー)が、業務用車両として導入された。

その後、営業運行を実施しながら開発を進め、自動運転可能な走行区間を順次延長させてきた。そしてこのたび、自動運転の区間が、開始時の約3倍となる26kmへ大幅延長を実現した。これにより、始発の仲町バス発着所から全区間(深谷駅周辺と旧中山道の一部を除き)で自動運転走行が可能となった(運転士は今まで通り乗車し、自動運転を補助する対応にあたる)。自動運転バスは土日、祝日に1日6便運行している。

なお、立ち席の乗客が出た場合や、路上の歩行者とバスとの十分な距離がとれない場合、渋滞で運行ダイヤに大幅な遅延が発生した場合などの時には、自動運転から手動運転に切り替えて運行している。

自動運転の運転席

埼工大の自動運転バスは、AI技術を積極的に採用しており、全国各地の実証実験に多数参画してきた豊富な経験とノウハウを活かしながら、一般公道を法定速度で走行するのが特長。システムによる自動運転とドライバーによる手動運転を即時にスムースに切り替えることで、交通の状況に応じて安全な走行が可能となっている。

現在、走行中の自動運転車両は、埼玉工業大学が令和2年度埼玉県先端産業創造プロジェクトのスマートモビリティ実証補助事業として開発している。




循環バスと大河ドラマ「青天を衝け」

循環バスは、大河ドラマ「青天を衝け」深谷市推進協議会の協力により運行。JR深谷駅近くの仲町バス発着所から、大河ドラマ館、渋沢栄一記念館、旧渋沢邸・中の家、道の駅おかべ、JR深谷駅などを経由する路線。


平日は7便、休日は13便を運行。なお、立ち席の乗客が出た場合などは、自動運転可能区間であっても手動運転に切り替えて運行している。緊急事態宣言解除に伴い立ち席の出る区間・時間帯も増えてきた。現在のところ、土日祝日の2便と6便の時間帯が比較的立ち席が出にくい状況。自動運転バスに乗車の際は、深谷観光バスのHPで最新の運行予定情報を確認した上での利用を呼びかけている。


自動運転バスについて

埼玉工業大学が開発した自動運転機能を後付けで搭載した大型バスは、路線バスとして営業運行するために緑ナンバー(業務用)を取得。
車両の仕様は、日野レインボーをベースにした長さ:910cm、幅:244cm、高さ:307cm、定員58人乗り、5.19Lディーゼル車で、Autowareを採用した自動運転の実証実験用車両。
Autowareを利用し、AIによる障害物の検知(識別・分類する)機能を強化して、複数のライダーやカメラの画像情報をディープラーニング(深層学習)により周囲環境としてAIで認識して、障害物を回避して走行することも可能。
埼工大は、埼玉県先端産業創造プロジェクトのスマートモビリティ実証補助に2年連続で採択された。今年度は、令和3年度埼玉県デジタル技術活用製品開発費補助に採択されている。

同車両の開発は株式会社ミクニライフ&オートの全面的な技術協力により産学官連携で実現している。

*:「Autoware」はThe Autoware Foundationの商標。

■関連情報
●「大河ドラマ館」の公式ホームページ:https://shibusawaeiichi-fukaya.com/
●『渋沢栄一 論語の里 循環バス』運行詳細(深谷観光バス株式会社)
・循環バス路線図:http://www.fukayakanko.com/pdf/TaigaRotationBus_Map.pdf
・循環バス時刻表:http://www.fukayakanko.com/pdf/TaigaRotationBus_Time.pdf


●自動運転関連情報
・埼工大 自動運転特設サイト:http://saikocar.sit.ac.jp/
・県内初「自動運転バス」の営業運行開始 https://www.sit.ac.jp/news/210212_1/
・県内初「大型の自動運転バス」営業運行開始 https://www.sit.ac.jp/news/210430_1/
・動画:スマートモビリティ実証事業の成果のご紹介 埼玉県産業労働部先端産業課
 https://saikocar.sit.ac.jp/movie/200421/


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ロボスタ編集部

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