川崎重工とティアフォー開発の自動搬送ロボットが生活必需品を配送 2種類のロボットを同時に制御する実証実験

損害保険ジャパン株式会社、SOMPOケア株式会社、株式会社ティアフォー、川崎重工業株式会社の4社は、ティアフォーおよび川崎重工が開発した2種類の自動搬送ロボットを活用し、地域包括ケアシステムにおける人手を介さない物流システムの実現に向けた実証実験を東京都墨田区および江東区エリアで2021年11月15日より実施していることを発表した。


実証実験の背景と目的

世界に先駆けて超高齢社会が到来した日本においては、高齢者に対する包括的な支援体制の構築が急務であり、住み慣れた地域において、医療・介護・介護予防・住まい・生活支援を途切れることなく受けられる社会づくりが望まれている。しかしその一方で、介護士や薬剤師の不足に加えて物資の運び手であるドライバーの人手不足もますます深刻化し、地域包括ケアシステムの実現には物流の更なる効率化が不可欠。

これら社会課題の解決策として、4社は地域包括ケアシステムにおける自動搬送ロボットの活用可能性に着目し、その社会実装の検証を目的とした実証実験に取り組んでいる。

実証実験ではティアフォー、川崎重工がそれぞれ開発した自動搬送ロボットの機体にティアフォーが開発を主導する自動運転ソフトウェア「Autoware」を搭載し、東京都内の公道において医薬品や食品、日用品などの生活必需品の配送を行う。配送対象となるのは、SOMPOケアが墨田区で運営する介護付きホーム「SOMPOケア ラヴィーレ錦糸町」の入居者ならびに近隣に居住するSOMPOケアの在宅介護サービス等利用者。

【川崎重工製の走行車両】


医薬品配送時に使用

【ティアフォー製走行車両】


日用品配送時に使用

実証実験では自動搬送ロボットによる配送をより多くの人に利用される社会の実現を想定し、ティアフォーが開発した「Web.Auto」上の運行管理システムにおいて、複数種類の自動搬送ロボットを同時制御する取組みも行っている。

2台同時走行の様子

運行管理システムにおける同時制御の様子


実証実験概要・各社の役割

実証実験概要

実施期間 2021年11月15日(月)~12月3日(金)
実施場所 墨田区にある「SOMPOケア ラヴィーレ錦糸町」周辺の公道 片道約 1km(最長)
実証内容 川崎重工およびティアフォーがそれぞれ開発した自動搬送ロボットの機体を、ティアフォーの自動運転ソフトウェアおよび運行管理システムで同時制御する近接型自動走行実証
実証目的 ・地域包括ケアシステムにおける自動搬送ロボットの活用可能性に関するニーズ検証
・東京都内の公道における複数種類同時制御の技術検証
走行ルート ・ルート1
出発:わかばスター調剤薬局 住吉店
到着:SOMPOケア ラヴィーレ錦糸町

・ルート2
出発:SOMPOケア ラヴィーレ錦糸町
到着:近隣の在宅介護サービス等利用者宅

【各社の役割】

損保ジャパン ・実証実験計画の策定
・自動搬送ロボット運行にかかるリスクアセスメント
・自動搬送ロボット向け保険の提供
SOMPOケア ・実証実験フィールドの提供
・実証実験におけるご利用者さまとの各種調整
・介護士の協力体制構築
ティアフォー ・オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を活用した自動搬送ロボットの開発・提供
・自動搬送ロボットを運行するために必要な運行管理システムなどの開発・提供
・自動搬送ロボットの自動走行オペレーションの遂行
・実証実験に係る高精度3次元地図の開発委託と提供
川崎重工 ・自動搬送ロボットの開発・提供
・自動搬送ロボットの公道走行許認可取得に必要なハードの設計・改造
・自動搬送ロボットのハードの改修・点検整備対


今後について

実証実験での技術検証・ニーズ把握を踏まえ、4社は地域包括ケアシステムおける自動搬送ロボットの活用可能性を模索し、より高齢者が過ごしやすい社会の実現に貢献していく。また、さまざまなユースケースを検証し、社会全体のラストワンマイル課題の解決にも幅広く取組み、自動運転社会の実現を目指す。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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