AWS「ローカル5G」提供サービスに参入 「re:Invent」基調講演でデジタルツインやコネクテッドカー/自動運転支援ツールも発表

AWSは「AWSの最新アップデートを誰よりも早く入手できる5日間」を掲げて、セッションを中心にした「re:Invent」(リインベント)を米国ラスベガスとオンラインでハイブリッド開催した。期間は11月29日(月)~12月3日(金)で、キーノートにはCEOのAdam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏が登壇した。

AWSのCEOのAdam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏

AWSは「re:Invent」を「学びのためのイベント」とし、AWSの各サービスを活用したユースケースや課題の解決を共有する場だと位置づけている。AWSは2006年に創業して15周年。「re:Invent」は10周年となる。

AWSは2006年に創業して15周年。既に多くのパートナーとの連携や協業が発表され、ユースケースも豊富だ

日本企業では今回はNTTドコモが数ペタバイトに及ぶデータハウスでAmazon Redshiftを活用し、オンプレミスの10倍の高速性能を得ていることが発表された

基調講演のあと、AWSジャパンの瀧澤氏より、報道関係者に向けた説明会が開催された。

アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 パブリックセクター技術本部 本部長 / プリンシパルソリューションアーキテクト アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 瀧澤 与一氏

今回のセリプスキー氏によるキーノートでは次のように、多くの新サービスの発表等があった。


中でも、ロボスタ読者が特に興味を持つだろう内容は下記の3つ。

・ローカル5G提供サービスを発表「プライベート5G」
・デジタルツインの実現を支援「AWS IoT TwinMaker」
・自動運転やコネクテッドカーの開発/運用支援「AWS IoT FleetWise」




ローカル5G提供サービスを発表

AWSは米国でローカル5Gをワンストップで提供する「プライベート5G」サービスを発表した。工場や倉庫、キャンパスなどの敷地内、オフィスなどで、独自に5Gを設置するプライベートなモバイルネットワークを提供する。


基地局に相当するハードウェアや通信サービス等もAWSから一括で提供される。利用料金は使用した分だけで初期費用が不必要なプランも用意される。
ローカル5Gネットワークから、クラウドの各種AWSサービスの活用も可能となる。提供する地域は米国のみで、今後、日本も検討対象になってきそうだ。


デジタルツインの実現を支援

AWSはシュミレーション空間の世界を生成する「デジタルツイン」の構築を支援する「AWS IoT TwinMaker」を発表した。


自動運転のシミュレータや、NVIDIAのイベントでBMWが3D仮想空間で工場を丸ごとデジタルツインで構築するなどで注目されている。仮想空間でロボットの教育、スタッフのシフト、事故や故障の推測など、将来起こりうることをデジタルツインの世界の中でシミュレートや推測できることが強みとなる。





AWS IoT FleetWise

自動車分野での活用を想定した「AWS IoT FleetWise」も発表した。Fleetは複数台の自動車を統合的に管理することを意味している。
カメラデータやセンサーデータの収集、共有、解析を行うことで、自動運転、先進運転支援システム、EVのバッテリー制御(効率利用)など、自動車やコネクテッドカー等に関わるビッグデータの収集と分析を支援するシステムを提供していく考えだ。



「AWS IoT FleetWise」については、12月6日に詳細のプレスリリースが配信されているので、その中から内容を下記に引用しておく。


AWS、AWS IoT FleetWiseを発表
自動車メーカーによる車両データ収集と、ニアリアルタイムのクラウド転送を高いコスト効率で実現、車両品質、安全性、自律性の向上を目的とした、アナリティクスと機械学習を活用するアプリケーションの構築を可能に

NXP、WirelessCar、Otonomo などの企業やパートナー各社が AWS IoT FleetWise を活用
Amazon.com, Inc.の関連会社であるAmazon Web Services, Inc.は本日、AWS re:Inventにおいて、自動車メーカーの円滑な車両データ収集とニアリアルタイムのクラウド転送を高いコスト効率で可能にする新サービス AWS IoT FleetWise を発表しました。AWS IoT FleetWise の活用により、自動車メーカーは車両に蓄積される(製造元、モデル、オプションの有無を問わず)あらゆるフォーマットのデータをスムーズに収集・一元管理し、データ形式を標準化することで、クラウドでのデータ分析を容易にします。また開発者は、このサービスのインテリジェントフィルタリング機能を利用し、気象条件、位置情報、車両タイプなどのパラメーターに基づき、転送するデータの選別と転送タイミングのルール定義が可能になり、ネットワークのトラフィック削減につながることから、データがニアリアルタイムで効率的にクラウドへ転送されます。クラウドに転送されたデータは、各種アプリケーションで利用され、個々の車両で発生した不具合をリモートで診断したり、車両フリートの状態を分析してリコールの可能性や安全性の問題を回避するほか、自動運転、先進運転支援システムといった、分析と機械学習を用いる最先端技術の精度向上に役立てることができます。なお、AWS IoT FleetWise を利用するための事前作業や費用は必要なく、利用するサービス費用のみを支払うことになります。AWS IoT FleetWise の詳細は以下のウェブサイトをご覧ください。aws.amazon.com/iot/fleetwise

自動車メーカーはこの 10 年ほどの間、標準的な車両センサーからデータを収集し、エンジンの温度や車両の安定性といった運転状況や安全性に関わる指標を計測してきました。現在は、レーダーやカメラを含め、車両の安全性を向上させると同時に、指数関数的に増大するデータを生成する、これまでにないレベルの高度なセンサーを搭載した車両を製造しています。たとえば、車両当たり 1 時間に最大 2 テラバイトものデータを生成する高度な車両センサーもその 1 つですが、このタイプのデータをクラウドへ転送するコストは莫大なものとなります。自動車メーカーは、より優れたコスト効率でこうしたデータの収集、標準化、クラウドへの転送を可能にしつつ、これらのデータから車両の品質、安全性、自律性を向上させるためのインサイトを引き出したいと考えています。一方、さまざまなメーカーで多様な車両モデルが製造され、搭載オプションがこれまで以上に増えるとともに、異なる独自フォーマットで生成されるため、データは増え続け、路上を走る自動車全体でデータが複雑に入り組んでいる状態です。この車両データのすべてを収集・転送し、クラウドで分析できるようにするには、幅広いフォーマットをまたぎデータを標準化できるカスタムのデータ収集システムの構築が望まれますが、難易度が高く、時間も必要です。自動車メーカーはその代わりに、固有のユースケースに合わせて収集するデータを選択し、ニアリアルタイムでクラウドへ転送したいと考えていますが、このタイプのインテリジェントなデータフィルタリング機能はまだ存在しません。そうした理由で、個々の車両のパフォーマンスに関わる不具合の診断やフリート全体における重大化する前での問題の特定、車の性能と自律性の向上に向けたデータの活用といった、発生頻度の高い問題の解決にデータを投入できずにいます。

AWS IoT FleetWise は、円滑かつ高いコスト効率で数百万台の車両からデータを収集してニアリアルタイムでクラウドへ転送するマネージドサービスを自動車メーカーに提供します。AWS IoT FleetWise は、車両ごとに固有のデータフォーマットへアクセスし、そのデータを構造化・標準化することもできるため、自動車メーカーは独自のデータ収集システムをカスタムで構築する必要がありません。自動車メーカーは、まず アマゾン ウェブ サービス(AWS)のマネジメントコンソール上で、車両タイプごと、またはフリート全体で複数の車種について、車両の属性(例: 2 ドアのクーペ)、センサーとメーカー名、車種、搭載オプション(例: エンジン温度、フロント衝突警告、駐車アシスト機能など)を定義してモデル化を行います。車両のモデリングが完了した後は、AWS IoT FleetWise アプリケーションを車両ゲートウェイ(データの監視と収集を実行する車載の通信ハブ)にインストールすれば、AWS と相互に情報の読み込み、デコード、送信ができるようになります。AWS IoT FleetWise のインテリジェントフィルタリング制御によって、収集・分析対象のデータをフィルタリングする条件付きルール(緊急ブレーキの作動イベントを検出したセンサーデータと車両メーカー/モデルと関連付けるなど)を設定し、ユースケースに合わせて必要なデータを選択できるため、クラウドへ転送するデータ容量が制限され、コスト削減にもつながります。AWS IoT FleetWise を介してデータがクラウドへ転送されれば、AWS の広範で豊富なサービスを利用して、車両データからあらゆる価値を引き出せます。たとえば、自動運転システムが路上のサイネージに表示されたテキストを 90% 未満の確度で識別した場合、自動車メーカーは、インテリジェントフィルタリングを使い、新設の高速道路を走行する車両の車載カメラで撮影したデータを収集するなど、クラウドへ転送されたデータごとに、精度レベルのラベル付けをして、自動運転システムに組み込まれる機械学習モデルの精度を向上させることも可能です。またインテリジェントフィルタリングによって、気温が氷点下になると電気自動車のバッテリーからデータを収集して、そのデータの分析結果からクラウド内でシミュレーションを実行し、寒冷状況でのバッテリー性能の向上につなげることも可能です。

AWS IoT FleetWise は、世界中の自動車業界とモビリティ業界の企業から選ばれてきた AWS サービスと AWS パートナーネットワーク(APN)ソリューションの包括的な機能を備えた、AWS for Automotive の一環として提供される新サービスです。コネクテッドモビリティ、デジタルでの顧客エンゲージメント強化、製品デザインとエンジニアリング、製造、サプライチェーンといったビジネス専用に、デジタルトランスフォーメーションをサポートします。AWS for Automotive の詳細は以下のウェブサイトをご覧ください。https://aws.amazon.com/automotive


車両データ収集の標準機能を備えた AWS IoT FleetWise は、米国東部(バージニア州北部)と欧州(フランクフルト)で本日からプレビュー版の提供が開始され、その他の AWS リージョンでは、まもなく提供開始予定です。なお、AWS IoT FleetWise が実現する最先端のカメラセンサーによるデータ収集は、2022 年前半に利用可能になります。

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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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