【業界初】飛び出る3D画面で空中タッチ操作「空中タッチインターホン」を公開 大和ハウス/パナソニック/アスカネットが共同実験

コロナ禍にあって、マンションのエントランスにある呼び出しボタンやセキュリティ解除ボタンが非接触になって欲しいと感じる人も少なくないだろう。街のあらゆるタッチ画面やボタンに触らずに済ませたい、と感じる人も増えている。


大和ハウス工業とパナソニック、アスカネットの3社は、空中で操作できるインターホン「空中タッチインターホン」の共同実証実験を2022年1月15日(土)より本格的に開始することを発表した。1月13日に記者発表会を開催し、実演デモと体験を実施した。

発表会に登壇した(左から)、パナソニック株式会社 楢本陽介氏、大和ハウス工業株式会社 瀬口和彦氏、同 山下信雄氏、株式会社アスカネット 大坪誠氏

実証実験の期間は約半年、その後、約1年後を目途に実用化を予定している。
集合住宅における空中タッチディスプレイを活用した本実験は、業界では初めてとなる(3社調べ)。

「空中タッチインターホン」7インチ版を仕様


「空中タッチインターホン」の開発経緯

コロナ禍にあって、不特定多数の人が触れるところや装置に直接触ることに抵抗や不安を感じる人が増加している。大和ハウス工業はマンション全体の非接触化を進めているという。床材や建具などに抗ウイルスや抗菌剤を施した材料を採用したり、ハンズフリーエレベーターの導入、各戸の鍵は自動車のスマートキーのように鍵穴に挿し込まなくてもキーを持っているだけで開錠するなどのしくみの導入などを推進している。


一方、共用部で最も困難な部分のひとつがマンションのエントランス部の非接触だという。居住者はもちろん、来客や宅配業者などが利用するエントランス部のドアの開錠に非接触を導入するための技術を模索していたところ、アスカネットが開発した空中タッチディスプレイ「ASKA3D」に注目、既に導入しているパナソニックのボタン型インターホンと連携することで、画面やボタンに触らずに各戸の住人を呼んだり、暗号キーで自動ドアのエントランスを開錠するしくみを開発した。

写真の上がパナソニック製ロビーインターホン、下に「空中タッチインターホン」は配置され、「空中タッチインターホン」が入力デバイスとして使われる

システムの仕組み。パナソニック製ロビーインターホンに拡張する形で「空中タッチインターホン」を設置。「空中タッチインターホン」の入力情報をロビーインターホンが照合して、エントランス自動ドアの開閉や各戸のインターホン接続(呼び出し)につなげる

将来、この技術を採用することで、入居者や来訪者が非接触でエントランス内のインターホン操作が可能となり、「共用部の総非接触化」や「消毒作業の省力化」が実現できるとしている。

■空中タッチインターホンのデモ




空中タッチディスプレイによる完全非接触のインターホン操作

今回の発表で最も面白い点は、空中に浮き出て見えるボタンと、画面には触れずにボタン操作できるタッチ操作だ。
体験会では、ボタンとディスプイのある通常のインターホンと「空中タッチインターホン」が連携したシステムを空中でボタン操作(完全非接触)することで、エントランスの自動ドアが開錠して開くデモが行われた。


「空中タッチインターホン」は、空中ディスプレイに集合住宅のパナソニック製ロビーインターホンの画面を操作表示し、空中で操作できるインターホン。

上がパナソニック製の通常のロビーインターホン。下がそれに連携した「空中タッチインターホン」(ASKA3D)、ボタンで非接触で操作することができる

「空中タッチインターホン」とロビーインターホンは連携している。人が近付いたことをパナソニック製インターホンの人感センサーが検知するとインターホン画面が自動表示し、連動して「空中タッチインターホン」の操作パネルが浮き出て見える。

斜めから見ると操作ボタン等は歪んで見えるが・・

操作者(正面)からは正常に見える

ユーザーがボタンを空中で選択すると、空中タッチディスプレイから送られるボタンの入力情報を信号変換して、ロビーインターホンへ入力することで、情報を照合して正しいものであれば開錠するしくみ。


住戸番号の入力を完全非接触で操作できる。直接接触しないため、指紋等で汚れることもなく、濡れた手や汚れた手でも操作が可能だ。

空中のタッチを検出しているのは画面上部にある赤外線センサー。海外の企業が開発した技術を活用した。

■動画 デモと解説 (長いバージョン)



最先端空中映像技術を活用したデザイン

この技術の背景にはアスカネットが開発した革新的な最先端空中映像技術がある。「ASKA3D」は、通常のタッチパネル部より奥に実際のディスプレイパネルが内蔵されている。その実際の画面で表示した映像を、光の反射を利用して1対1で空中に結像し、タッチパネルより手前の空中に表示される。


そのため、正面から見ると画面から映像が浮き出して見え、横や斜めから見ると歪んだり、ズレて見える。この特性はセキュリティ性から見ると、画面が見えづらいため安心度が高くなる。

■動画 アスカネットの「ASKA3D」プレートのデモと技術解説




映像を表示する最先端の空間映像技術

アスカネットの「ASKA3D」プレート自体は、2021年12月にマクセルが開発した空間映像マンマシンインターフェイス「Advanced Floating Man-machine Interface(以下AFMI)」に採用されたことが発表され、キオスク端末などタッチパネルユニットなどでの活用が期待されている。既に月産3千枚の体制を確立し、量産ははじまっていて、キャパシティとしては1万枚前後までいける状況のようだ。現在は受注生産の形態だが、普及か進んで生産量が増えれば、当然、価格も下がってくるだろう。

「ASKA3D」プレートは「ひろぎん」や「マクセル」等で採用されはじめている。マクセルのプレスリリース「AFIDを進化させた空間映像マンマシンインターフェースを量産 仮想空間映像情報を表示・直接操作でき、非接触による感染対策にも利用可能

空中ディスプレイを開発した第一人者のアスカネット 大坪氏によれば、「コロナ禍で非接触のニーズがとても高まっている。また、ドバイで「GITEX Global 2021」の展示も行なったが、海外からもとても多くの関心と評価をもらっている。中国や米国も興味を持っている印象だ」と語った。
なお、現時点で「ASKA3D」プレートは、7インチ、10インチ、13インチ版が開発・生産できるとしている。

「ASKA3D」プレートの「空中タッチディスプレイ」、左が10インチ、右が7インチ版。今回の空中タッチインターホンでは7インチ版を使用

■「空中タッチディスプレイ」のデモと技術的なしくみ


今後の展開

この共同実証実験は1月15日より、モデルハウスの見学者(コロナ禍により人数限定の予約制)を対象に開始、半年間実施して情報や意見・感想を収集する。この結果を踏まえて、分譲マンションだけでなく、店舗やオフィスビルなど大型施設における導入の可能性も検討し、実証実験後から1年後を目途に実用化を目指すとしている。

実際に操作してみたいという読者も多いと思うが、現地に行って体験できるかどうかは、別途問い合わせた方がよいだろう。

■ASKA3D – 空中ディスプレイ


【空中タッチインターホン共同検証の概要】
名称:空中タッチインターホン
検証期間:2022年1月15日~6か月程度
設置場所:分譲マンション「プレミスト津田山」マンションサロン
川崎市高津区溝口(2022年1月8日グランドオープン)

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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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