ソフトバンクの農業AIブレーン「e-kakashi」をカルビーポテトのジャガイモ栽培に実験導入 収穫量が最大1.6倍増に!!

ソフトバンク株式会社は、農業AIブレーン「e-kakashi(イーカカシ)」を、カルビーポテト株式会社(カルビーポテト)のジャガイモ栽培の実証実験に導入した結果、収量が最大約1.6倍に増加したことを2022年2月16日に発表した。

カルビーポテトでは、干ばつなどの気象変動の影響下でも高品質なジャガイモを安定調達することを目的に、2021年6月から10月まで北海道地区のカルビーポテトおよび契約生産者のほ場に「e-kakashi」を導入。
環境データを活用したかん水(灌水:農作物や植物に水を与える作業)の最適化について検証する実証実験を行っており、3品種のジャガイモを対象に検証(トヨシロ、ぽろしり、スノーデン)した結果、「e-kakashi」を活用して最適なかん水管理を行ったほ場では、従来通り降水だけで栽培を行ったほ場に比べ、ジャガイモの収量が最大約1.6倍に増加した。(最大値となった品種:ぽろしり)

※冒頭の画像:ほ場に設置された「e-kakashi」の端末(提供:カルビーポテト)



「e-kakashi」について

「e-kakashi」は、IoTセンサーを活用して屋内外のほ場から収集した環境データを、植物科学の知見を取り入れたAIで分析することで最適な栽培方法を提案し、農業従事者を支援するサービスだ。2021年10月には大幅な機能拡充と低価格化を実現し、さらなる普及を図っており、同社は、今後も「e-kakashi」を活用した科学的栽培の普及を推進し、自治体や農業協同組合、農家、契約生産者、食品メーカーなどが抱える農業課題の解決を支援し、農業振興に貢献できるように努めていくと述べている。

■【動画】「概要篇」e-kakashiサービス




実証実験の概要

今回の実験では、干ばつなどの環境下でも安定的な調達を行うため、データを活用して最適なタイミングでかん水作業を行うことの有効性を検証しました。効果検証のため、従来通り降水だけで水分を補うほ場(「慣行区」)と、データを使って最適なタイミングでかん水作業を行うほ場(「試験区」)に分けて、それぞれに「e-kakashi」を設置して土壌体積含水率※4などの精緻なデータを収集。「慣行区」ではデータのモニタリングのみを行い、「試験区」では、データを分析して最適なかん水作業のタイミングを契約生産者のスマホに直接通知し、作業の実施を促した。さらに、各種アプリを活用して、ほ場のデータや栽培作業を可視化・管理・共有し、科学的な栽培と効率的な作業管理・指導を行う環境を整備した。

【「e-kakashi」導入の背景】
今回「e-kakashi」を導入したカルビーポテトは、大手食品製造・販売会社であるカルビー株式会社の子会社で、「ポテトを改革する」「契約生産者を世界一にする」「じゃがいもを魅力的な野菜・商品にする」をミッションに、北海道から鹿児島まで約1,900人の生産者と契約し、ポテトチップスなどの原料となるジャガイモの調達を担っている。近年、北海道の一部地域では、気象変動の影響で干ばつになる年において、ジャガイモの収量が減少する場合があり、カルビーポテトでは、約3年前からデータを活用した栽培に取り組んでおり、この取り組みを一層進め、より精緻な科学的栽培を行うことを目指して、北海道地区にある同社および契約生産者のほ場に「e-kakashi」を導入し、かん水の最適化について検証する同実証実験を行った。



実証実験で活用した「e-kakashi」の機能
慣行区・試験区 ・外部電源への接続が不要な※5完全独立駆動式の端末を設置。場所を選ばず設置できるため、広大なほ場でも効果的なデータ収集を実現。
・ほ場のデータを可視化できるアプリ「e-kakashi Navi」で、土壌体積含水率などを常時モニタリング。
試験区のみ ・データを基に独自の栽培方法を作成できるアプリ「e-kakashi Recipe Studio」で、土壌体積含水率が一定数値を下回ると、契約生産者のスマホにかん水作業を促す通知が届くように設定。
・作業内容やスケジュールを簡単に管理できるアプリ「e-kakashi Note」で、日々の作業記録を複数人で共有してタスクの漏れや重複を防ぎ、効率化を実現。
・データを基に高度な分析が可能なアプリ「e-kakashi Analytics」で、環境および作業データを一元管理。データを基にかん水状況を分析。


実証実験の結果

同実験の結果では、「試験区」におけるジャガイモの収量が「慣行区」に比べて最大約1.6倍に増加した。この結果により、「e-kakashi」を活用したかん水管理の有効性が確認された。

「試験区」(青枠)と「慣行区」(緑枠)を上空から撮影した画像/図:「試験区」と「慣行区」におけるジャガイモ収量の比較(品種別)※画像提供:カルビーポテト

カルビーポテト株式会社 女満別支所 支所長 小林 篤史氏

カルビーポテトでは、気象変動に影響されることなく、契約生産者の皆さまに高品質のジャガイモを安定的に収穫していただけるよう、データに基づく科学的栽培に取り組んできました。今回『e-kakashi』を導入したことで、より精緻なデータ取得や分析、作業の効率化を実現し、収量の大幅増という成果を得ることができました。この成功事例を生かして、引き続きソフトバンクと連携し、『e-kakashi』を活用した科学的栽培を推進することで、契約生産者と共に効率的かつ収益性の高いジャガイモ栽培を追求し、高品質なジャガイモをお客さまにお届けすることを目指します。

「e-kakashi」のサービス概要:https://www.e-kakashi.com/

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