人間共存ロボットの実現を目指す東京ロボティクス株式会社は『モバイルグリッパ』の製品版プロトタイプを開発したことを発表した。モバイルグリッパは2022国際ロボット展に展示され、実物・デモを確認できる。
小規模~中規模の物流施設向けロボット「モバイルグリッパ」
モバイルグリッパは東京ロボティクスが得意とする力制御技術を活用することで、異なる段ボールのサイズでも潰さずに把持、運搬することができる。小中規模の物流施設や工場、市場などにおいて短距離配送や仕分、パレタイジング・デパレタイジングを行うロボットとして、2021年10月に試作機が完成。プレスリリースや展示会での発表以降、大手物流企業やメーカーから多数の問い合わせがあった。今回発表された製品版プロトタイプはユーザーの要望を反映し、各種機能が大幅に向上したものとなる。
敷き詰めパレタイジング
手先のグリッパが左右独立して上下回転と横方向スライドができるため、片方のグリッパを上に回転し反対側のグリッパで横から押し込むことで、荷物を敷き詰めて置くことができる。
ダンボール認識
ダンボールの位置・姿勢を画像から認識し位置合わせすることで、安定したピッキングを実現している。
情報提示式ライントレース
ライン上を移動しながらマーカーを読み取ることで、適宜動作を切り替えることができる。現在、SLAM技術を用いた無軌道ナビゲーションの開発も行っている。
可動範囲
屈曲軸と昇降軸の組み合わせにより、床上の物から160cm程度の高所の物までアプローチ可能。また、全方位移動台車を用いることで小回りができるため、狭い場所での運用にも適している。
独立グリッパ
グリッパ部分は4自由度あり各軸が独立して可動できるため、前述の敷き詰めパレタイジングだけでなく、台車の停止位置が荷物の中心からズレた場合でも安定して把持することができる。
接触検知
東京ロボティクスが得意とする力制御技術を応用し、荷物の底が当たったことを検知する機能を実装。載置動作の際に荷物を傷つけずにリリースすることができる。
販売形態
現状、次のような複数の販売形態を検討している。
2.パレタイジング等のアプリケーションをパッケージとして販売
3.ロボットハードウェアを単体で販売
モバイルグリッパは全身12軸でROS(Robot Operating System)にも対応しているため、物流アプリケーションに限らず、モバイルマニピュレーション全般の研究開発にも役立つ。また、現在開発途中ではあるが、現場実証に協力できるパートナーを探している。
連絡先:info@robotics.tokyo
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。