自動配送ロボット「Hakobot」商業宇宙港「北海道スペースポート」で実証実験 悪路走破性、実際の作業環境で走行テスト

北海道大樹町とSPACE COTAN株式会社は2022年3月、アジア初の民間にひらかれた商業宇宙港「北海道スペースポート」のロケット射場Launch Complex-0にて、株式会社Hakobotの自動配送ロボットの実証実験を行ったことを発表した。


雪道での悪路走破性などを検証

Hakobotは人口減少に伴う宅配クライシス・ラストワンマイル問題の解決を目指すための自動配送ロボット開発を行うロボットメーカー。今回の実証実験は自動配送ロボットの走行ユニット部分「Hakobase」(ハコベース)の試作機を用いて、雪道や凍結した地面での走行性能テスト、ものづくり現場等の実際の作業環境での走行テストを目的として行われた。また、実験ではLaunch Complex-0(以下、LC-0)を使用するロケット開発企業インターステラテクノロジズ株式会社の協力を得ながら、実際のロケット打上げ時のオペレーションを想定した工具等の配送テストを行った。


その結果、積雪3cm程度であれば十分走行可能であることが実証されるとともに、今後の商品改善のためのデータや知見が得られたこと、ロケット打ち上げ時でのロボットの使用ニーズや悪路での走行性能をいかした除雪ニーズ等の調査としても良い結果が得られたとしている。なお、北海道スペースポート(HOSPO)で航空宇宙分野以外の技術の実証実験が行われたのは今回が初となる。


今後はHakobotが2022年夏頃にも実証実験を計画し、さらに1社(航空宇宙分野以外)の実証実験を予定。HOSPOはビジョンでもある「宇宙版シリコンバレー」の実現に向けて、航空宇宙分野に限らず、スマートシティや脱炭素化等の未来技術の実証実験を積極的に受け入れていく。


北海道スペースポート(HOSPO)

HOSPOは2021年4月に北海道大樹町にて、アジア初の民間にひらかれた商業宇宙港として本格稼働した。「北海道に宇宙版シリコンバレーをつくる」というビジョン実現に向けて、ロケットおよび宇宙旅行等を目的とした宇宙船(スペースプレーン)の射場・実験場を整備し、打上げ支援業務を行う。HOSPOは世界の宇宙ビジネスを支えるインフラとして、航空宇宙の研究開発〜ビジネスのサポートならびに地方創生を含むビジネス機会を提供する。2025年までに2つの人工衛星用ロケット射場整備の資金を集めており、その資金確保にふるさと納税(企業版・個人版)や寄附の仕組みを活用している。


HOSPOでの実証実験の内容

今回HOSPOで実証実験を行ったのは、自動配送ロボットの走行ユニット部分「Hakobase」(ハコベース)の試作機で、重量60kg、幅660mm、長さ916mm、高さ760mm、リモコンでの操作によって電力で稼働するロボット。自動走行は実装しているが、今回は走破性の実験のためリモコンでの操作で行った。今回の実証実験では悪路(雪道や凍結した地面等)での走行性能テストと、ものづくり現場等の実際の作業環境での走行テストを行い、今後の商品開発のヒントとなる貴重なデータを得ることができたとしている。

悪路(雪道や凍結した地面等)での走行性能テスト
今回はノーマルタイヤで実証実験を行い、積雪量約3cm程度はノーマルタイヤでも十分走行可能であること、4輪駆動の走行性能を確認することができた。それ以上の積雪量での走行を見据えて、車高を上げること、オフロード仕様のタイヤやチェーンの装着、後付できるクローラーの装着等を検討し、来年度の冬期にて改めて実証実験を行う。また今後は、荷室部の振動などのテストも進めて行く予定。

ものづくり現場等の実際の作業環境での走行テスト
実証実験ではLC-0を使用するロケット開発企業インターステラテクノロジズ株式会社の協力を得ながら、実際のロケット打上げ時のオペレーションを想定した工具等の配送テストを行った。今後、さらに商品を改善することで実作業での使用のポテンシャルが期待できる。ロケット打上げ時では重い工具や重機等を運ぶ作業があるが、フォークリフトを使用するには資格が必要であることや作業練度が求められる。これらの作業を自動化することで誰でも作業ができるようになり、標準化や作業効率の向上、労働災害のリスク減少が期待できる。ロケット打上げ時の他にも、HOSPOでの航空宇宙実験等の作業時の使用も期待できる。




株式会社Hakobotについて

Hakobotは2018年5月に宮崎県で設立された配送ロボットを主に開発するロボットメーカー。『なんでも載せられる、しっかり運ぶ』をコンセプトに、走破性が高くシンプルな操作性を実現する配送ロボット開発を進めている。Hakobotでは、人口​​減少に伴う宅配クライシス解消のため、配送ロボットでラストワンマイルの自動化を目指している。既に欧州では自動配送ロボットが活用されており、日本でも法改正の動きが生まれている。Hakobotでは2020年の新CTO体制に移行後製品化に向けたロボット開発を開始し、現在開発したプロダクトにて実証実験を進めている。Hakobotの特徴でもある4輪駆動4輪操舵(4WD4WS)は雪道や悪路等でのパワフルな走行性能を実現する。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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