介護の床ずれを予防するロボットベッド「Haxx」Ax Robotixが開発 一燈会の「メゾン・二宮」で実証実験
睡眠の質をアップデートするプロダクト・サービスの開発に取り組むAx Robotix株式会社(アックスロボティクス)は、要介護者の体を自動的に動かすことで褥瘡(じょくそう、「床ずれ」ともいう)を予防するロボットベッド「Haxx」(ハックス)を開発したことを発表した。同社は2022年4月より、介護療養施設を運営する社会福祉法人一燈会(いっとうかい)とともに実証実験を開始する。
ロボットベッド「Haxx」(ハックス)について
ロボットベッド「Haxx」(ハックス)はマットレスの上に張られたハンモック状のネットが動くことにより、自動で要介護者の揺り動かしと体交ができる機能を備えている。体圧を分散させ、人を介さずに褥瘡(じょくそう)を防ぐ。また、ネットを支える7つのシリンダーを自由に動かし、個々に合わせて寝姿勢の調整ができることも特徴。ロボットベッドが体交を代行することで職員の業務負担を減らし、また要介護者にも人が介在しない体交により快適な睡眠を提供する。将来的には寝姿勢の自動判定や排泄の感知、バイタル機能などの実装を目指している。
介護現場での褥瘡について
厚生労働省が2020年8月に発表した「介護事業所保険事業報告(年報)」によると、2020年3月時点の要介護及び要支援認定者数は669万人で、過去10年で184万人の増加となった。今後も増え続ける見込みであり、介護職員の人手不足が懸念されている。
介護の現場では自力で体位を変えることができない要介護者に対し、偏った皮膚圧迫による褥瘡(じょくそう)を防ぐために姿勢をこまめに変える必要があり、これを体位交換(以下、体交)と呼ぶ。褥瘡(じょくそう)を防ぐには少なくとも2時間ごとの体交が必要であると言われ、介護職員の労働時間・業務量の増加に加え、身体的負担も高いのが現状。一方、要介護者からも「寝ていてもスタッフによる体交で目が覚めてしまう」という声があがっており、介護職員と要介護者の双方にとって体交は課題となっている。
「メゾン・二宮」にロボットベッド「Haxx」を2台設置
一燈会が運営する介護老人福祉施設「メゾン・二宮」にロボットベッド「Haxx」(ハックス)のプロトタイプ2台を設置。入所者にベッドによる自動体交を行うことで、褥瘡が予防できるか、また介護職員の負担が軽減されるのか等を検証する。実証実験は2022年4月18日〜7月31日を予定。
実証実験についてのコメント
社会福祉法人一燈会 メゾン・二宮施設長 柴谷寛人氏からのコメント
Ax Robotix株式会 代表取締役 川村裕一氏からのコメント
実証実験パートナーを募集
医療・介護における課題解決に向け、実証実験パートナーを募集している。同社は医療・介護施設および同業界に従事する事業者のほか、寝具等の製造が可能なメーカー、動く寝具の有用性に関する研究機関、医療介護への機器レンタル会社、高強度生地を扱う化学繊維メーカーなど広く連携できればと考えている。
Ax Robotix株式会社について
Ax Robotix(アックスロボティクス)は「ロボティクスの力で人類の進歩を加速させる」というミッションのもと、睡眠の質をアップデートするプロダクト・サービスの開発に取り組んでいる。スマートロックAkerun(株式会社Photosynth)の初期メンバーであるロボットエンジニアの川村氏が、自身の長年の悩みであった「日によって欲しい枕の高さが変わる」課題を解決するために2019年に創業。AIで成長するハンモック型のスマート枕「Pixx」(ピックス)をはじめ、既成概念にとらわれない製品を開発している。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。