除草作業時間80%削減へ 自律型親子式除草ロボット「ウネカル」が農水省スマート農業事業に採択

株式会社FieldWorksは、同社が開発を進める「親子式ウネカル(特許出願中)」が、令和6年度補正予算「スマート農業技術の開発・供給に関する事業」に採用されたと発表した。あわせて農林水産省の「スマート農業技術認定計画」にも認定された。

本事業は代表機関にFieldWorks、共同研究機関に農社・アイアグリファーム守谷、開発・供給支援機関にアイアグリが参画する体制で実施される。販売開始から5年後には年間300台の販売、累計売上24億円(採択金額の約10倍以上の市場増加)を目指す。



深刻化する農業現場の課題に対応

日本の農業は現在、平均年齢67歳という高齢化と人手不足という深刻な課題に直面している。農林水産省統計によると、国内農業就業人口は136万人で、この20年間で半減した。

中でも除草作業は、露地野菜栽培における労働時間の約20%を占めるとされ、1ヘクタールあたり年間10~15回、1回あたり4~6時間の作業が必要で、年間合計40~90時間の除草労働が発生する。

除草のための刈払機作業は、1時間あたり約300~500㎡の処理が限界で、夏場35℃を超える高温下で行う場合、農家の腰痛・肩痛などの慢性的な身体疲労や熱中症リスク、刈払機事故といった危険性が高まる。

有機農業や減農薬農業の現場では除草剤の使用が制限されるため、除草にかかる作業時間は慣行農業の1.5~2倍に増加し、圃場維持コスト全体の中で除草関連コストが約20~25%を占める場合もある。



作業時間従来比80%以上削減を目指す

「親子式ウネカル」は、こうした現場の痛みに対して、作業時間の大幅削減(従来比80%以上削減、1時間で500~800㎡の処理を目標)や、除草剤使用量の削減による環境負荷低減と有機農業支援、夜間作業・複数台運用による全体生産性の向上といった成果を目指している。さらに、農家自身の身体的負担の軽減と作業事故リスクの低減、地域サービス事業者による新たな除草支援ビジネスの可能性拡大も想定している。




「親子式ウネカル」はキャベツ、ネギ、ブロッコリーなど、多様な野菜圃場で使用可能で、品種を問わず発生する除草作業に対応できる汎用性の高い設計を進めている。これにより、様々な畝幅・畝形状への適応が可能で、事業開始後3年目には5種類以上の作物圃場で自律除草を実現予定だ。


強固な供給体制で市場拡大を目指す

供給体制は、FieldWorks独自の販売網、SNSを通じた県内外への直接販売、アイアグリの直販、卸機能を軸とした農機具代理店を通じた販売とレンタル展開を組み合わせ、強固な供給基盤を構築する。

これらにより、販売開始から5年後には年間300台の販売、累計売上24億円(採択金額の約10倍以上の市場増加)を目指している。

同社は2024年に試作機の完成と小規模圃場での実証を経て、2025~2026年度にかけて機能強化とユーザー検証を進める計画だ。2027年には量産モデルの提供を開始し、2030年には年間300台の供給体制を確立、国内主要産地への普及展開を本格化させる見込みである。

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ロボスタ

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