Amazonとヤマダが共同開発したFUNAI「Fire TV搭載スマートテレビ」実機レビュー ひと月使ってみての感想

Amazonとヤマダホールディングス(ヤマダHD)が3月に発売した「Fire TV搭載スマートテレビ」、ひと月間使ってみたレビューをお届けしたい。この製品はテレビにFire TVを内蔵したものとして日本国内初となる。なお「FUNAI」ブランドで販売されている。

届いたテレビは43V型の「Fire TV搭載スマートテレビ」。製品ラインアップとしては32(ハイビジョン)、43、50、55インチが用意されている(43以上は4K対応)。筆者が日頃使用しているのはソニーのブラビア49V型なのでやや小さいサイズだが、体感はさほど違和感はない

ヤマダデンキやベスト電器などヤマダグループ店舗と、Amazonとヤマダグループのオンラインショップにおいて販売されている。初年度の販売目標は25万台。

「Fire TV搭載スマートテレビ」の特徴

なお、実は筆者はリビングでは、ソニー製の4K液晶ブラビア「KJ-49X7000D」(49V型)のAndroid TVを使っている(生産終了品)。購入した当初はAndroid TVの動作が不安定で購入を後悔したが、今ではとても快適、FireTVとほぼ同等の機能がデフォルトで備わっている(FireTVも購入の必要がない)。


Fire TV搭載、Alexa対応の野心作

このテレビの最大の特徴は、”Amazonのストリーミングメディアプレーヤー「Fire TV」を搭載している”こと。地上波・BS・CS・4Kのチューナーを内蔵し、更に標準で「Amazon Primeビデオ」や「Netflix」「YouTube」などストリーミング動画の視聴もできる。アプリをインストールしたり、別途契約することで、その他のコンテンツ提供「Hulu」「DAZN」「U-NEXT」などもHOME画面から選択することができる。言ってみれば、地上波/衛星放送、4K放送から動画サブスクまで、ほぼ何でも対応できるテレビ、ということになる。

「Fire TV搭載スマートテレビ」のリモコン。中央あたりに地上波と衛星(BS/CS)の切り替えボタンがある。動画サブスク用として「Amazon Primeビデオ」と「Netflix」に直接切り替えるボタンが用意されている。その他の動画サブスクはリモコン上部の「ホーム」ボタンを押す(電池は同梱)

「ホーム画面」。アプリをインストールしておき、呼び出すことで動画サブスクを含めてサービスやコンテンツを利用することができる

使用したい動画配信サービスのアプリをインストールする画面。このあたりの操作はAndroid TVや単体の「Fire TV」と同じ。なお、動作は軽快で、Fire TV Stick 4K max以前のFire TV Stickと比較すると明らかにサクサク動く




「Fire TV」機能標準搭載のメリットとデメリット

とはいえ、別売の「Fire TV」を購入すれば、ほぼどのようなテレビにも装着して同様の楽しみが体験できるため、この製品のポイントは「Fire TV」機能を標準で搭載していることにメリットを感じるかどうか、という点に尽きる。
「Fire TV」機能を標準で搭載している最大のメリットはリモコンがひとつで済むこと。


リモコンがひとつで済む

Fire TVを後付けの場合は、テレビのリモコンとFire TVのリモコンの2つを使用することになる。地上波や衛星放送を見るときはテレビ用のリモコンを操作し、動画サブスクを操作する時はFire TV用のリモコンで操作する。これは結構煩わしい。「Fire TV搭載スマートテレビ」の場合は、地上波/衛星放送と動画サブスクがひとつのリモコンでシームレスに利用できるので、このメリットは大きい(ただし「Fire TV搭載スマートテレビ」のリモコンは小さすぎるため、リモコン自体の評判はかんばしくない)。

左は「Fire TV」本体とFire TVのリモコン。「Fire TV搭載スマートテレビ」のリモコン(右)はFire TVのリモコンに比べると大きいが、テレビのリモコンとしてはかなり小さい。特にボタンが小さいことで操作にストレスを感じる


テレビの性能を選ぶ楽しみがない

テレビの性能にもこだわることができない。バラバラに買う場合は、テレビ側の性能(例えば反射が少ないとか、表示速度が速いとか、サウンド機能にこだわりがあるとか)を選んで好きなテレビを購入し、Fire TVを後付けして楽しめるが、一体型であけばその楽しみや自由度はない。ちなみに「Fire TV搭載スマートテレビ」のテレビとしての性能は標準的だ。ソニーのブラビアと比較すると明るさと解像感が足りず、モヤッとした印象。ただ、画質の設定を変更してある程度は解消できる。

なお、一体型の場合は故障したときに両方が使えなくなる点も注意が必要。バラバラに購入していれば、例えばテレビが故障しても、別のテレビにFire TVを別のテレビに差し替えてサブスク環境をいつもどおり利用できる。


リモコンが小さすぎる問題

前述したが、「Fire TV搭載スマートテレビ」のリモコンが小さすぎて使いづらいという意見があがっている。確かに小さい。ソニーと比べてみても、リモコンのボディだけでなく、ボタン類や文字表示なども小さいため、「そろそろ老眼きたな」というユーザー以降には優しくないデザインになっている(特にテレビのチャンネルボタンと数字の表示が小さい)。老眼歴の長い筆者もストレスになっていたが、使っているうちに徐々に慣れてきた。筆者の場合はリモコンのデザインが馴染めないのか、上下逆に持ってしまうことが多く、これも意外と厄介に感じている。

ソニーのリモコンもコンパクトだが、それよりずっと小さい

一方で、家族の若い女性陣からは小さいリモコンは好評だ。むしろ通常のリモコンが日頃から大きすぎると感じているらしい。


音声の操作

リモコンの上部、水色のAlexaボタンを押している間に音声でAlexaに指示ができる。一番便利なのは「Netflix開いて」とか「Hulu開いて」と言った切り替え。カテゴリー検索など「アクション映画」といった具合に検索する時も便利だ。もちろんAlexaなので天気予報を聞いたり「今日のひと言」にも対応している。Android TVのブラビアにも音声入力が標準搭載されているのだが、それよりは使い勝手はよい。




インタフェース類

ゲーム機器やDVD/BDレコーダーなど、機器をいろいろと接続したい人はインタフェース類が気になるところだろう。コネクタは一箇所に集中して配置するデザインが採用されていて、こんな感じ。HDMIが3ポート、うちひとつがARC対応。USBは2ポート、有線LANと光出力とヘッドホン出力コネクタが付いている。なお、もちろん無線LAN(2.4/5GHz、IEEE802.11ac等)にも対応している。なお、外付けハードディスクを増設すれば録画もできる。






付属品

付属品は、テレビ本体、テレビを支える脚(ネジで固定する必要がある:ドライバーの用意が別途必要)、リモコンと電池、転送防止のバンド、設置の説明書などが付いてくる。なお、B-CASカードは使わない。
テレビを支える脚はネジで固定する必要があるので、ドライバーを用意しておく必要がある。脚をネジで固定するのは面倒だが、最近、地震が多いのでネジ固定の方がもちろん安心感は高い。

脚をネジ止めしているところ(ひとりでは難儀するかも)


まとめ

ひと月間、使ってみた時点での感想は、地上波や衛星と、動画ストリーミングがひとつのリモコンでほぼシームレスに切り替えできるのはとても快適だ。特にリモコンに予め設定されている「Amazon Prime」と「Netflix」ユーザーならこの上ない利便性の良さが体感できる。一方でリモコンが小さくて、中高年には操作しづらい点も否めない。画質やサウンドは標準的だが、家族の評判は悪くないし、設定である程度向上させることができる。
引き続き、使用しながら何か新しい発見があるか研究していこうと思う。カラオケとかできるかな。ホーム画面のカスタマイズなども研究したい。ドアベル「Ring」と連携できるかな?
また発見したら、記事を書きます。お楽しみに。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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