ABBロボティクス、世界初のロボット塗装を施したアートカーを公開 インドの8歳の神童とドバイのデジタルデザイン集団がコラボ

ABBロボティクスは8歳のインドの神童Advait Kolarkarさんとドバイを拠点とするデジタルデザイン集団Illusorrという世界的に有名なアーティスト2組と共同で、世界初のロボット塗装によるアートカーを制作したことを発表した。


ABBのPixelPaintロボットが幾何学的概念を再現

ABBのPixelPaintロボットは高DPIインクジェットヘッドを搭載した2台の塗装ロボットIRB 5500とプログラミングソフトウェアABB RobotStudioで構成されている。このロボットは高解像度ツートンカラーや個性的なデザインを1度の操作で車体に直接描画する。



今回はPixelPaintロボットが国際的に有名なアーティストである神童Advait Kolarkarさんの抽象芸術作品とデジタルデザイン集団Illusorrの幾何学的概念を再現。プリンタヘッドに1000個のノズルを搭載したABBの塗装ロボットIRB 5500が非常に複雑なアートワークを30分以内に完成させ、ロボットセルの柔軟性と効率性をアピールした。なお、アートカーの制作にあたり、ABBは2021年夏にドイツで発生した大洪水で被災したフォルクスワーゲンSUVを改修している。







ABBのPixelPaint技術は、塗装工程を再構築し、自動車業界、特に外板塗装における持続可能なパーソナライゼーションへの需要の高まりを反映したもの。多色の自動車塗装は、従来、何段階ものマスキングとマスキング解除を含む手間とコストのかかるプロセスだが、ABBの技術により、どんなデザインも細かく、色鮮やかに、正確に再現することが可能。

また、PixelPaint技術は、マスキング材や余分な換気が不要なため、排出ガスの低減、水やエネルギーの節約につながり、製造の持続可能性を高める。ABBの3DビジョンシステムとRobotStudioソフトウェアとの組み合わせにより、塗装ヘッドは車体に非常に近い位置で追従し、空気中のミストを排除して100%の塗装を行うことができる。異なるペイントカラーが迅速に適用され、製品は塗装工程を1度だけ通過する。自動車メーカーにとっては、生産時間を半分に短縮し、最大で60%のコスト削減が可能になる。


ABBのロボティクス&ディスクリートオートメーションビジネスエリアプレジデントであるサミ・アティヤ氏は、次のように述べている。

「ABBのPixelPaint技術は、単なる進化ではなく、革命です。ロボットによる自動化とRobotStudioソフトウェアが、より持続可能な製造への道を開くだけでなく、人間の精神の独創性と美しさを称える繊細な芸術作品を完璧に再現できることを示す輝かしい例です。消費者がよりカスタマイズされた製品を求めている現在、PixelPaint はゲームチェンジャーであり、どんなデザインも持続可能かつ手頃な方法で複製することを可能にします」



アーティストについて

Advait Kolarkar さん
天才画家と呼ばれ数々の賞を受賞しているインド人アーティスト。わずか8歳にして抽象画を描き、その作品は数千ドルの値で取引されている。2022年5月12日から22日まで、ロンドンのGagliardi Galleryにて、ABBロボットアートカーのデザインの一部を含む、展覧会が開催される予定。

Illusorr
ドバイを拠点とするデジタルデザイン集団。建築やデザインといった前衛的な分野のクリエイターが集まったチームで、彼らのデジタルデザインは自然とSFが混ざり合ったものからインスピレーションを得ている。

関連サイト
ABBロボティクス

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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