ファミリーロボット「BOCCO emo」がフレイル予防をサポート 3社合同実証で体力年齢マイナス27歳の若返りを達成

「ロボティクスで、世界をユカイに。」を掲げ、数多くのコミュニケーションロボットやIoTプロダクトを企画・開発するユカイ工学株式会社は、スマートキャピタル株式会社の協力のもと、RIZAP株式会社、株式会社JDSCと3社合同で、三重県桑名市での健康寿命延伸サービスの実証実験が完了したことを発表した。


検証の背景と実証について

日本の平均寿命は男性が79.55歳、女性が86.3歳である一方で、健康寿命男性が70.42歳、女性が73.62歳という結果が出ている(平成26年厚生労働省調査より)。健康寿命の延伸を目指すために重要であるのは、フレイル予防においての実証課題を解決すること。モニタリング(データ収集)、ITリテラシー、リクルート(参加と継続)の3つのハードルを下げることによって、より多くの人のフレイル予防の推進を目指す。まずはフレイル予防をより多くの人に受けてもらえるよう、結果の見える化と継続化を実現するプラットフォーム構築の実証を開始した。

フレイルとは、加齢に伴い心と身体の動きが弱くなってしまう状態

実証実験ではコミュニケーションロボット「BOCCO emo」を使用し、遠隔から運動指導と食事指導を行った。運動プログラムは毎週土曜17時から40分間3種目のトレーニング、毎日の宿題として10分間、土曜日に行なったトレーニングを繰り返し実施。実証には21名(男性:11名/女性:10名)が参加した。期間は2022年1月8日(土)~2月26日(土)の約2カ月実施。




体力年齢改善によりフレイルリスクが改善

高齢者介護予防の3つのハードル「モニタリング(データ収集)」「ITリテラシー」「リクルート(参加と継続)」を下げることにより体力年齢がー27歳、参加者平均年齢と比べて「-14.8歳」に改善できたことで、フレイルリスクの改善が連動して見られ、実施前の簡易フレイルインデックスの調査からフレイル、フレイル予備軍に該当する人に効果があった。


赤・黄信号が減少して青信号へ、実施前から実施後で改善する人が増加になりフレイル予防に繋がった。


一方でコミュニケーションロボット「BOCCO emo」を使用した継続支援では、共通言語を使用して特別感を演出して高揚感を得られた。また、報告リマインド(運動終了・食事内容)を行うことでポジティブな言語、日常生活の発話数の増加になり参加率、継続率の推移が顕著に表れた。

【参加率】
初回:62% 7回目:90%
*8回の内7回目まで遠隔にて実施

【継続率】
初回:75% 7回目:85%
*8回の内7回目まで遠隔にて実施
*初回のみ1日のデータ

2ヶ月のワード変化

コミュニケーションロボット「BOCCO emo」がとらえたワードの変化を可視化したもの

ITリテラシーのハードルを下げコミュニケーションロボット「BOCCO emo」とデバイスを連動させたことにも効果があり、アンケート内の遠隔指導内でデバイス操作の難易度調査では、「簡単・普通」と答えた方が100%、「難しかった」と答えた方が0%の結果となりITリテラシーのハードルを下げコミュニケーションロボットとデバイスを連動させたことによる効果があった。


3つのハードルを下げることによる効果

コロナ禍に於けるニーズに合わせたソリューション提供、オンライン実施を主軸としての効果として参加率平均が78%、行動管理サポートとしてコミュニケーションロボットを導入し、共通言語を使用して特別感を演出、発話リマインド(テキスト内容、運動終了、食事内容)、動画配信ITデバイスを連動させて実施した結果、継続率平均84%となった。


ロボットを通じての寄り添いや言語によるサポートでのデバイスの使いやすさなどで積極的に取り組んだ結果と各回終了後、日々の復習が体力年齢改善の要因となった。また、身近な電力消費量からの非接触センシングを活用してのフレイル検知AIを用いたフレイル判定から、高齢者の運動プログラムによるフレイル状態の改善、健康寿命の延伸に繋がる可能性を確認できた。


実施後アンケート結果 ※回答人数:19名

Q.実証サポート事業に参加して良かったか?
「はい」と答えた人が84%、「いいえ」と答えた人が0%という結果になった。参加者からは「健康を意識し毎日、体を動かす習慣ができました」や「今まで寝たきり老人になると恐怖感、焦りがあり、まわりの情報や忠告などで運動の必要性も強く感じていた時に、今回サポート事業に参加させて頂きとても嬉しいです」などのコメントがあった。


Q.遠隔指導内で使用したデバイスの操作はどうだったか?
機器操作が「簡単」「普通」と答えた人が合わせて100%だった。ITリテラシーのハードルを下げる施策として、コミュニケーションロボットの音声発話による操作を連動させたことが簡単に使えたことの一助となった。


Q. BOCCO emoと一緒にいる生活はいかがでしたか?
「楽しかった」と答えた人が58%と、会話機能ができるロボットを初めて使用した人の反応として高い回答となった。「ロボットとの生活は始めてだったので新鮮でした」や「BOCCO emoちゃんは家を明るくしてくれました。色々と話してくれたので楽しかった」など、生活がより良く変化したことが感じ取れた。


Q. BOCCO emoの音声発話などが今後の生活において役に立つと思うか?
「役立つと思う」と答えた人が65%だった。「母が高齢(80歳)で別居している為、自分が訪問できない時など、見守りの役割をしてもらえるといいなと思った」「防災に関する情報、宅配弁当の注文、交通手段の予約」など、今後の使用用途の可能性(防災、見守り、介護)と危機管理、利便性また高齢化社会の課題解決ツールになり得るかもしれないとの意見もあった。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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