ソフトバンクがAI・DX人材育成サービス「Axross Recipe」本格提供 AI基礎からBERT/YOLO/GANも 300以上の実践的コースを用意

ソフトバンクは、企業向けのAI・DX人材育成サービス「Axross Recipe for Biz(アクロス・レシピ・フォー・ビズ)」の提供を、2022年6月から本格的に開始した。一般のエンジニアやこれからAIを学びたい社員に向けて300以上の実践的かつ専門性の高いコンテンツを全てオンラインで学習できるサービス。
料金は、法人向けに設定されており、利用規模と契約期間で利用料金は変動する。目安は月額3,800円/ID前後と利用しやすい(要問合わせ)。


具体的には、e-ラーニング的な学習教材、講師によるハンズオン形式のセミナー、AIに関する疑問や最新情報について情報交換するコミュニティなどで構成されている。AIの基礎を学ぶだけでなく、実践的なテーマでAI活用できるような学習教材とサービスを目指す。


なお、ソフトバンクおよびグループ会社の従業員を対象とした新規事業提案制度「ソフトバンクイノベンチャー」から生まれた新規事業となる。担当者によると「AI初心者だけでなく、最先端AIの情報交換をしたり、GANやBERT、YOLOなど、比較的新しい技術も試したり学べるものになっている」と語った。



AI開発の内製化を支援するAI・DX人材育成サービス

AI・DX人材育成サービス「Axross Recipe」は既に一般向け(B2C)には提供してきたが、法人向けに本格提供を開始することになった。


ソフトバンクの現役のエンジニアや、「Axross Recipe」が連携する外部のエンジニアが、実際のビジネスの現場で取り組んだAI(人工知能)の活用事例や、そこで得たプログラミングなどのノウハウを教材化した。

近年、企業や官公庁におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を背景に、幅広い業界や職種においてAIやDX人材へのニーズが高まっており、自社内で人材育成に取り組む企業が増加。しかし、AIやDXを推進するビジネスの現場では実践的なスキルが求められる一方で、従来型の研修やeラーニングの内容は、基礎知識の習得にとどまっていることが多く、実務に応用できるような学習が少ないという課題があるという。

約6割がAI開発の内製化を検討。これを支援するユニークなしくみを導入した「Axross Recipe」

特にAIの領域では、利用用途に応じた個別の開発が求められることが多い他、新しい開発手法が次々と生まれるため、画一的なプログラミング学習や基礎的な研修だけでは十分に対応できず、より実践的な学習サービスへのニーズが高まっている。

「Axross Recipe」は、従来の学習サービスと実務で求められるスキルのギャップに着目したソフトバンクのエンジニアが発案したサービスで、現場の実務に生かせる実践的な学習コンテンツを提供している。


なお、比較的、利用が多いのは「メーカー」や「製造業」で、工場や製造現場でのAI導入などが人気のだという。


分野別に具体的なAI応用事例の学習コースが好評

同社は「他のサービスにはないものとして、AI基礎教育だけでなく、実践的、応用的な内容のものを多く取りそろえているところに魅力を感じて企業様に利用して頂いている。例えば、メーカーや製造業であれば、機械の異常検知を発見するAI、AIによるカメラ検品システムのなど、業界別に詳しくテーマで提供している」と語っている。


学習コンテンツは、プログラミングのノウハウなどに関する技術ブログと、ユーザーに合った体系的なコースを学習できるeラーニングを組み合わせ、動画やテキストの形式で提供しています。具体的なテーマに沿って、実際にコードを書きながらAIの開発やデータ分析のプロセスを疑似体験することができる。
ユーザーは、全てのコンテンツを繰り返し演習することができる他、テストなどで自身のレベルを確認することもできる。


「Axross Recipe for Biz」の特長

1.ビジネスの最前線のノウハウを教材化
さまざまな業界で活躍する外部の現役のエンジニアなどが、実際のビジネスの現場におけるAIの活用事例やプログラミングのノウハウなどを教材化し、学習コンテンツを作成している。そのため、基礎教育が中心の学習サービスとは異なり、高い専門性と具体性を備えたコンテンツを提供することができる。

2.300以上の豊富なコンテンツが全て利用可能
AIを中心としたさまざまなテーマで300以上のコンテンツをそろえており、法人ユーザーになると全て利用できる。AIの開発の基礎から応用はもちろんのこと、幅広い事例や業種を想定した実践的なカリキュラムを用意、企業が目指すAIの活用やDXの推進のニーズに合わせて効率的にスキルを習得できる。

【主なコンテンツ例】
<コース 主な学習内容>
自然言語処理演習コース
・1冊の本のテキストデータを要約し、頻度に応じて可視化
・文章の「あいまい検索」機能をつくる
データ分析演習コース ・オープンデータを活用したデータ分析/地図の可視化
・飲食店の購買履歴データから傾向を分析
物体検出のAI演習コース ・動画から簡単なジェスチャーを推定
・防犯カメラの映像から人物の動きをトラッキング
製造業DXおすすめコース ・工場の生産ラインでの活用を想定したGANを応用した異常検知
・深層学習モデルで航空写真に写る対象物を検出
流通小売業DXおすすめコース ・ECサイトで在庫の商品を無駄なく発注するデータ分析
・ECサイトのレビューコメントを分析

3.専任講師による体験型のAIハンズオン研修を提供
冒頭にも解説した通り、専任の講師と一緒に一つのコンテンツを集中的に学び、求める技術を最短で習得できるハンズオン型(体験型)の研修が利用できる。日々の業務スケジュールやモチベーションなどに左右され、定期的に学習することが困難なユーザーが、短期間の研修で講師と一緒に実際にコードを書きながら、実務に近い学習テーマでAIの開発やデータ分析の流れを体験することができるよう配慮している。初心者から上級者向けに、10テーマ以上のハンズオン研修プランを用意。

ソフトバンクでは、自社のAIおよびDX人材育成の施策の一つとして、エンジニアを中心とする希望者を対象に、2021年7月から「Axross Recipe for Biz」を導入。また、製造業や流通・小売業など、他業種の企業でもすでに導入実績があるという。

■【Axross Recipe for Biz】 サービス紹介

同社は「今後は、お客さまのニーズに沿ってコンテンツの拡充を図る他、現役エンジニアとユーザーが参加するオンラインコミュニティーの立ち上げや、データセットの共有機能やセキュアなコード実行環境の提供などを検討し、企業の人材育成やDXの推進をさらに支援していく」としている。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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