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少年ジャンプで連載中の人気漫画『ONE PIECE』 (ワンピース)の連載25周年を記念して、2022年7月23日(土)から8月21日(日)まで、ポップアップイベント『Meet the “ONE PIECE”』が開催されている。そこには会話できる「AIルフィ」が設置されていて、誰でも気軽にあの「ルフィ」との会話体験を楽しむことができる。「AIルフィ」が一般公開されるのは今回が初めて。
『Meet the “ONE PIECE”』の会場は、渋谷の「MIYASHITA PARK」(RAYARD MIYASHITA PARKとsequence MIYASHITA PARK)と「渋谷キャスト スペース・ガーデン」と、3ヶ所に分かれているが、歩いて回れる近距離だ。
『Meet the “ONE PIECE”』の見どころ
『Meet the “ONE PIECE”』最大の見どころは下記の4つだろう。
「巨大ガシャ」(ALL FACES GASHA)
とてつもなく巨大なガシャ。1人1回無料でガシャできる。大変な人気で既にこの日も長蛇の列ができていた。
「AIルフィ」
セコムとDeNA、集英社・東映アニメーションが共同開発した会話できるルフィ。ワンピースの映画やキャラクターのことはもちろん、雑談のように日常会話をすることもできる。
サウザンド・サニー号トラック
海賊船「サウザンド・サニー号」をモチーフにしたラッピングトラック。ファンには垂涎、はじまりのあの場面を再現する25周年フォトスポットもある(後述)。
ミュージアムショップ
「Meet the “ONE PIECE”」は、懐かしのグッズから最新のアイテムまで、25年間のお宝グッズを厳選して展示するイベント。ミュージアムはそれにふさわしく、懐かしいグッズ等が展示されている。
「AIルフィ」と話してきた
「AIルフィ」の違和感のない合成音声には驚いた!
ロボスタ読者が最も気になるのはなんといっても「AIルフィ」だろう。「AIルフィ」はみんなの憩いの場となっている「MIYASHITA PARK」屋上4Fの奥にそびえるホテル「sequence MIYASHITA PARK」の入口に設置されている。(混在時などには入場制限がかかる場合がある)
誰でも「AIルフィ」との会話を楽しむことができる(無料)。入口に入ってすぐ「AIルフィ」が目に留まるので、少し近付くと「AIルフィ」から話しかけてきてくれる。音声は吹き替えではなく、100%がコンピュータによる音声合成、つまり作られたルフィの声だ。声優の田中真弓さんの声をAIが学習し、テキスト文字から田中真弓さんが発話しているかのように変換して生成するしくみだ。実に違和感のない合成音声に驚く。
あとは「ここで何をしているの?」「何を話せばいいかな?」「チョッパーはどこ?」など、「AIルフィ」との会話を気軽に楽しもう。
いざ、「AIルフィ」の前に立つと緊張して何を話していいか解らなくならないように、予め聞きたいことをリストにしておくといいかも。
■動画 AIルフィとの会話
一度、目が合うと、こちらが移動しても目で追ってくれたり、子どもなど身長が高くない人と話すときはAIルフィもしゃがんで、目線の位置を合わせて会話してくれるなどの気配りが仕様に組み込まれている。
会話の内容によって、顔の表情やポーズなどが変わるので、多彩なバリエーションも楽しもう。©尾⽥栄⼀郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
「AIルフィ」の会話システムは5G通信+クラウド
「AIルフィ」の会話は5G通信を使ってクラウドに送られ、クラウドで回答と表情、ポーズなどを生成して送信、「AIルフィ」が表現することで実現している。
クラウドの場合、タイムラグが懸念されるが、ほぼ違和感を感じない速度で処理されている。なお、「AIルフィ」開発の経緯や担当している企業情報などは、この記事の末尾でも改めて紹介する。
「巨大ガシャ」(ALL FACES GASHA)が大好評
麦わら帽子を被った「巨大ガシャ」(ALL FACES GASHA)は「RAYARD MIYASHITA PARK」内にある(屋内)。
ガシャの景品は、ワンピースの著者、尾⽥栄⼀郎さんが単行本1~60巻の中で描いてきた個性豊かなキャンラクターの顔が載った「缶バッジ」(顔バッジ)。なんと10,000種類。1人1回限定なので、好きなキャラクターの「顔バッジ」が出るかは運次第。 ©尾⽥栄⼀郎/集英社
単行本1~60巻のすべての原稿の中からAIがピックアップした顔を収録したビジュアルブック『ALL FACES』3冊が同時発売される。そして、それらの原稿を描いてきた尾⽥栄⼀郎先生が今まで使用してきた3400本以上のペン先もズラリと飾られているのでお見逃しなく。
ガシャの会場に行ったら、会場のすぐ隣「THE SHIBUYA SOUVENIR STORE」も覗いて見よう。貴重なワンピース・グッズがみつかるかも。
ミュージアムショップ
ミュージアムショップは宮下公園から道を挟んだ向かい側「渋谷キャスト」にある。
『Meet the “ONE PIECE”』は、『ONE PIECE』連載25年分の歴史や思い出を詰め込み、これまで販売・配布してきたグッズを厳選して展⽰するミュージアム&グッズ販売のイベント。実は全国を巡回する予定だ。その東京会場が、ここ「渋⾕キャスト」となる。屋外エリアには、⻨わらの⼀味の海賊船「サウザンド・サニー号」をモチーフにしたラッピングトラックや25周年フォトスポットが出現。会場のワクワク度を盛り上げている。
フォトスポットでパチリ・・これは撮らねば。
屋内のミュージアムショップは、前半がミュージアム展示。ワンピース関連のフィギュア、ぬいぐるみ、複製原画など、お宝グッズが多数展示されている。はじめてワンピースが表紙を飾った少年ジャンプも展示されている。
なお、このミュージアムショップは無料だが、あらかじめ「ぴあ」でチケットをゲットしておかないと入場することができないので注意(7月は)。
また、そのチケットをゲットするときに、このイベントでしか購入できない「サニー号トラック」フィギュア購入券付きチケットもあるので、「サニー号トラック」フィギュアが欲しい人はそっちのチケットを選択してゲットしよう。
「AIルフィ」は「バーチャル警備システム」から生まれた
「AIルフィ」はセコムとDeNAが共同で開発した「バーチャル警備システム」(バーチャル警備員)が元になっていて、集英社や東映アニメーションとの協力によって、ルフィとのキャラクターの融合が検討がはじまった。
「バーチャル警備員」はセキュリティをメインに開発されたが、そのシステムを受付業務やエンタテインメントに活かしたいと考え、「AIルフィ」の開発に踏み切った。
「AIルフィ」はまず、集英社の受付に試験的に設置し、ひと月間、案内や会話の実証実験を行い、課題や問題点、評価された点を収集し、更に開発を進めた。例えば、「AIルフィ」の左上にはシステムの状態(人を検知した状態/話者の発話を聞いている状態/ルフィが話している状態などを「電伝虫」のキャラクターで表している。これも当初「バーチャル警備員」では無機質なアイコン表示だったが、ワンピースの世界観に合わせて改良した。
また、今回の展示に至るまでに、シナリオは2倍程度に増やして、より多くの質問に回答できるように工夫した。
「バーチャル警備員」では、子どもや車椅子の方を見下ろすのは失礼だという意見からしゃがんで話す機能を実装している。当初は「AIルフィ」ではそのしゃがむ機能は不要ではないかという意見から実装させていなかったという。しかし、警備員よりむしろ、子どもが興味を示して会話する可能性は高いキャラクターを使ったシステムのため、「AIルフィ」でも実装されることになった。こうして、「バーチャル警備員」と「AIルフィ」はニーズと機能をそれぞれ考慮しながら、影響し合って成長している。
イベントや「AIルフィ」の一般公開は8月21日(日)まで。ルフィとの会話体験をぜひ楽しんでみてください。
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神崎 洋治![](https://robotstart.info/wp-content/uploads/2015/12/3b2c7513493f5c9cc69817ee7c819b33-82x82.jpg)
神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。