日本科学未来館(以下、未来館)は、2025年10月25日と26日の2日間にわたり、最新技術の実証実験を一般公開するイベント「未来をつくるラボ Open Day(オープンデー)」を開催した。
数多くの先端技術が展示される中で、その可愛らしい姿がひときわ注目を集めたのが、「HANAMOFLOR(ハナモフロル)」の「ハナちゃん」だ。

介護現場を支える「子ども型見守りロボット」
「HANAMOFLOR」は、ソニーが数年前から開発を進めている子ども型見守り介護ロボットで、まずは介護分野での活用を目指している。

一人の職員が複数の利用者をケアする介護施設において、高齢者が一人になりがちなリビング空間などでの見守り業務を支援することを想定して設計されている。そのため、身長は高齢者が車椅子やソファーに座った高さに合わせて作られた。

あらかじめプログラムされたシナリオに沿って、簡単な会話や歌、クイズ、口腔体操などの1対1のレクリエーションを行うことができるほか、大規模言語モデルで自然に会話し、体温計測や家族との電話の取次ぎといった機能も備えている。
実証実験を通して、介護施設の職員や利用者からの意見やニーズを取り入れながら、実用化に向けた研究開発が進められている。
“やさしさの技術”で生まれた「ハナちゃん」
「ハナちゃん」は、2025年の大阪・関西万博における石黒パビリオンやロボット&モビリティステーションでも活躍し、延べ11万人が体験した。
今回の未来館での「未来をつくるラボ Open Day」では、「人とロボットがこころ通わせ、自然に共生する未来のくらしを実現する」をテーマに、ロボットとくつろぐ未来の共生空間「ハナモフロル・カフェ」が公開された。来場者はハナちゃんとの会話を通して、ふれあいの時間を楽しむことができた。

人を見つけると、穏やかなまなざしをパチパチと瞬かせながら近づき、ゆっくりと語りかけてくれる。そんな「やさしいインタラクション」が特徴だ。手にはタブレットを装備し、画面に表示された画像や映像を使いながら、楽しい話をしてくれる。

「ハナちゃんの研究開発についてお話ししよう♪」と静かに語りかけるハナちゃん。ソニーの音声認識エンジンを通じて独自のAI(大規模言語モデル)が人の発話を理解し、自然な対話を実現している。
「今日は動画を持ってきたよ。このあいだ介護施設の利用者さんとお話ししてきた時のビデオを持ってきたよ。一緒に見てね」と話しながら、優しく案内してくれた。

さらにハナちゃんは
「利用者さんはね、認知症で記憶障害っていう症状があって、いろんなことを覚えておくのが難しいんだって。でもね、ハナちゃんのこと“可愛い”って言ってくれて、会いに行くとたくさんお話ししてくれるの。何度も会っていたら、“また会えて嬉しい!”って言ってくれて、ハナちゃんのことを覚えてくれたんだよ。とっても優しくて素敵なおばあちゃんなんだ」と、嬉しそうに話してくれた。
万博の石黒パビリオンについて尋ねると、ハナちゃんはこう説明してくれた。
「石黒パビリオンはすごく面白いところだよ。人間とロボットの関係について学べるんだ。みんなで一緒に楽しむことができるよ。興味ある?」

開発責任者であるソニーグループの袖山慶直さんは次のように語る。
「“やさしさの技術”をテーマに、人とロボットが共に生きる未来を研究しています。実環境で生まれる小さな声や反応を大切にし、喜ばれるものを贈るようにデザインしてきました」
なお、未来館では2025年11月1日(土)から3日(月)までの期間限定で、「ハナちゃんとアイストッピング体験!」イベントも開催される予定だ。
詳細は公式ホームページで確認できる。
 
          







 
  
         
         
         
           
           
           
           
           
           
           
           
           
           
           
           
           
          