モルフォグループの株式会社モルフォAIソリューションズ(モルフォAIS)は、滋賀県立図書館に同社のOCRソフト「FROG AI-OCR」のトライアルサービス提供を開始した。一般に図書館が蔵書のOCRに取り組む理由として、郷土資料のデジタルアーカイブ化の推進、スタッフや利用者が蔵書アーカイブや全文検索が可能になるほか、視覚障害者向けの読み上げ機能も実現しやすくなること等があげられる。
同社は「県立図書館で活用されることで、今後も全国的な普及がさらに進んでいく可能性がある」とコメントしている。
国立国会図書館「近代活字資料」を全文テキスト化
モルフォAISはモルフォグループでAIの事業化を担う企業で、同社は国立国会図書館の明治期以降の書籍や雑誌といった「近代活字資料」を全文テキスト化技術を開発協力した実績がある。近代活字資料は書体が現代とは異なり、更には旧字旧仮名遣いも多く困難なテキストデータ化を成し遂げた。
国立国会図書館はこれらの技術を「NDLOCR」としてオープンソース(CC BY4.0)で提供している。
「NDLOCR」の特徴
読書バリアフリーを進める「FROG AI-OCR」
モルフォAISは、2022年7月1日より地方図書館や自治体から「デジタル田園都市構想」を背景とした「デジタルアーカイブ事業」や「読書バリアフリー法対応」のニーズを受け、「NDLOCR」を活用した市販ソフト「FROG AI-OCR」の提供を開始した。
さらに、手軽にOCRの適用業務が行えるよう、OCRの処理プログラムだけでなく、校正・テキスト出力機能(透明テキスト付PDFも対応予定)も1つのパッケージとして提供している。これらの機能は全てクラウドで利用可能で、別のPCや複数台のPCで確認・修正作業を効率よく行うことも可能だ。
■動画 わかりやすく説明!校正ツール「FROG-AI-OCR」とは?
滋賀県立図書館のコメント
滋賀県立図書館は、次のようにコメントを寄せている。
「当館では主に障害者サービスでOCRを活用しており、今回のトライアルを通して「FROG AI-OCR」の読み取り精度の高さを実感しています。図書館にとって使いやすいOCRソフトとなるよう、 当館ほかユーザーの意見をとりいれ、随時機能を修正・更新されているのも、ウェブアプリならではの強みだと感じています」
モルフォAISでは、下記のページでトライアルの受付けをしている。
https://www.morphoai.com/ai-ocr
株式会社モルフォAIソリューションズ
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。