NTTデータがアバターロボット「ugo」を全国のデータセンターに導入へ 点検業務の遠隔化/自動化 作業時間を50%削減

株式会社NTTデータは、同社が運営するデータセンター「NTT品川TWINS DATA棟」(品川データセンター)において、アバターロボット「ugo」を使った設備点検業務の遠隔化/自動化の取り組みを行い、従来は人手で行なっていた設備点検業務を約50%削減できることを確認した。


この取り組みは2021年9月に技術検証を開始した後、2022年8月から11月まで、実現場でのテスト運用を経て、業務時間の短縮や遠隔からの業務実施等に効果があることを確認したため、2023年4月以降、全国にある同社のデータセンター拠点へのロボット導入を進めていく考えだ。



この取り組みは、設備点検業務のうち各種メーター計測やランプ確認、外観異常・異臭の発見などを対象としている。カメラやセンサーを搭載したロボットを自動巡回させることで、従来熟練者が毎日1~2時間かけて行っていた点検業務を代替することができるという。
これにより、業務時間の削減や業務の遠隔化による働き方変革、データ化による熟練者ノウハウの可視化といった効果を得ることにつながる。

NTTデータは、今後本取り組みを全国15の当社データセンターへ順次展開。また、AI等を使って現在担当者による実施が必要となる記録・報告作業を自動化することで、点検業務時間の最大80%削減をめざす。
さらに、ロボットやセンサーで得られたデータを活用した、より高度な異常検知や予知保全に取り組む。この取り組みで得られた知見をもとに、2023年度中に設備点検業務の遠隔化/自動化サービスとして商用提供することをめざすとしている。

ロボット等を使った点検業務の遠隔化/自動化による点検業務時間短縮効果


人手や熟練者が不足にロボットで対策

データセンターをはじめとしたビル管理業界では人手不足が深刻化しており、中でも設備管理業務は熟練者の不足が問題となっている。人手や熟練者が不足すると、データセンターの安定運営ができなくなるリスクがあり、デジタル技術等を活用した当該業務における省人化や効率的な業務実施が求められている。

一般的な設備管理業務では、事故や故障を防ぐための管理計画の策定・実施や、異常の早期発見を行うための点検、故障等から復旧するための修繕、さらにはこうした業務の記録・報告等が必要とされている。NTTデータは、このうちの点検業務が省人化による効果やデジタル技術活用による遠隔化/自動化の実現性が高いものと考え、当社の品川データセンターにおいて、実用化に向けた検証を進めてきた。

データセンターにおける設備管理業務の概要


点検ルートをロボットが自動巡回

本取り組みでは、あらかじめ設定した点検ルートをロボットが自動巡回し、メーターやランプ、設備外観の撮影、センサーによる臭気等環境データの取得を行うことで、人が行っていたメーター測定やランプ確認、外観異常・異臭チェックの業務を代替している。この方法の場合、1つのカメラやセンサーで複数箇所の点検を行うことができ、稼働中の現用設備に手を入れる必要もないため、点検対象ごとのIoTカメラ・センサーの設置やスマートメーター化といった他の方法と比較して安価かつ簡易に遠隔化/自動化を実現することができるという。

今回採用したロボットは、業務DXロボットのメーカーのugo社と共同で設備点検業務用「ugo Pro」を改良、以下の特長がある。

(1)4Kカメラを搭載
メーター値を詳細に撮影するため、標準モデルより高画質な4Kカメラを搭載。

(2)各種センサーの搭載など拡張が可能
においセンサーやマイク、サーモカメラなど、点検項目に応じて複数のデバイスをugo本体に搭載し、用途を拡大することが可能。

(3)簡易に操作・設定が可能
PCのみで操作が可能で、走行ルートもノーコードで設定できるため、現場担当者も気軽にロボットを利用することができる。

(4)自動走行と遠隔操縦のハイブリッド
自動走行と遠隔操縦を切り替えることができ、自動で点検業務を行うだけでなく、遠隔からの作業支援など複数の用途で利用することができる。

これらの特長により、さまざまな点検項目に対応できるだけでなく、遠隔からの作業支援や工事の立ち合いなど用途を拡大することが可能となる。

【動画】ロボット等を使ったビル設備点検業務の遠隔/自動化


人の感覚に頼っていた異常の判断を数値化

ロボットやセンサーを使って点検業務を遠隔化/自動化することで、業務時間が削減できるだけでなく、人の感覚に頼っていた異常判断の閾値を数値化し、熟練者に頼らない異常発見を実現することができる。また、作業支援や工事の立ち合いなども含め、現地でしかできなかった業務を遠隔で実施可能にすることで柔軟な働き方に対応し、新たな担い手の確保等の効果を期待することができる。


今後の展開

今後、メーター読み取りシステムや異常検知AIとの連携を進めることで、現在担当者による実施が必要となる記録・報告作業まで自動化範囲を拡大し、点検業務にかかる時間を最大80%削減することをめざす。また、ロボットやセンサーで取得したデータを活用した高度な異常検知や設備の予知保全といった、設備管理業務の高度化にも取り組む。同社「は2023年4月より、全国15のデータセンターを対象として、本取り組みを順次展開していきます」とコメントしている。
また、これらにより得られた知見をもとに、2023年度中に設備点検業務の遠隔化/自動化サービスとして商用提供することをめざす。商用提供にあたっては、ugo社がNTTデータとの共同検証で得られた知見を生かして開発した新型ロボット「ugo mini」を活用した設備管理業務の遠隔化/自動化ソリューションの開発を行い、導入のコンサルティングからシステム構築・運用までワンストップで顧客の課題解決をサポートしていく。

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ロボスタ編集部

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