「CES 2023」で、カナダのスタートアップGlüxkind Technologiesのスマート・ストローラー「Ella」が「CES Innovation Awards」で1位を獲得し、大きな反響を呼んだ。「CES Innovation Awards」には2,100件以上応募があったという(ストローラーはベビーカー(乳母車)のこと)。
同社は、NVIDIAのスタートアップ支援プログラム「Inception」のメンバーで、このスマート ストローラーには「NVIDIA Jetson」が搭載されている。周辺環境をマッピングして経路探索するなど、先進の安全機能を実現し、育児中の人々に提供しているという。
「Ella」は上り坂や不整地など、押すのにチカラが必要なときにはアシストしてくれる。下り坂では自動ブレーキ機能でアシストする。
■GluxKind Intelligent Baby Stroller – Ella Demo III Outdoor
Glüxkindの共同創業者/CEOであるケビン・フアン氏 (Kevin Huang)は次のように語っている。「乳児を優しく揺らす機能と、ストローラーを押す、止めるのを支援するシステムが好評です。ストローラーを気にせずにお子さんを抱っこできるのは、嬉しいことですよね」
3年前、フアン氏と共同創設者であるアニー・ハンガー氏(Anne Hunger)が小さな愛娘をストローラーに乗せ、ショッピングに出かけたときでした。二人は子どもの荷物をたくさんのせたストローラーを操作することの大変さを実感したという。
「ストローラーは30年間も、まったく(機能や形態が)変わらずにいる、と私は悟ったのです」とフアン氏は語り、例えば、最近の自動車には、坂道で停車したときに後退しないようにするシステムが装備されているが、今までのストローラーにはそれもなかったとフアン氏は続ける。
CESでは、子どもを持つ人々から圧倒的な反響が寄せられたという。
AI活用ストローラーで子連れの散歩がより簡単に
NVIDIAの「Jetson エッジ AI プラットフォーム」は、GlüxkindのAIスタック全体で活用されているという。
「Jetson」によって、ストローラーがビジョンシステムで周辺の環境をマッピングできるようになり、JetsonのGPUとCPUによって経路探索の処理および実行ができるようになった。
そのため、子どもがストローラーに乗っていないときは、両親は「Ella」のインテリジェントなハンズフリー・ストローリング・モードを作動させることができる。このモードによって両親はおむつやお菓子、その他の必需品が積み込まれた無人のストローラーを気にすることなく、子どもだけに意識を集中できるようになる、という。
「必要がないときは邪魔にならず、必要なときはそこにあるのです」とフアン氏は語る。「このストローラーはインテリジェントな機能を持ち、子どもを抱っこしている人のすぐ前を移動したり、人が離れると転がらないように停止します。勝手に移動していったり、単独で作動するようには設計されていません。Ellaの適応型のプッシュおよびブレーキ支援により、子どもを世話する人は、上り坂でも下り坂でも関係なく、あるいは食料品やおもちゃがたくさん乗せられている状態でも、無理せずに行動することができます」と続けた。
Ellaには、乳児が必要なときに眠ることができるように乳児を優しく揺らすモードや、内蔵のホワイトノイズ再生機能といったような、育児をより楽にするための機能も備わっている。
「私たちはテクノロジによって親の体験を向上させ、育児をより簡単かつ安全にできるようにすることを目指しています」とフアン氏は続ける。
育児はいつの時代でも大変ですが「Ella」によって、少なくとも乳児を連れた移動や散歩は、より気楽にできるようになるかもしれない。
Glüxkind Technologies