NTTの耳に差し込まないオープンイヤー型の完全ワイヤレスイヤホン「nwm MBE001」実機レビュー 本当に音漏れしない?

NTTソノリティ株式会社は、耳に差し込まないオープンイヤー型なのに、ほとんど音漏れしないイヤースピーカー2機種を発売した。完全ワイヤレスイヤホンと有線タイプの2種類が用意されているが、完全ワイヤレス「nwm MBE001」(オープン価格)を入手したので早速、レビューしていこう。


完全ワイヤレスイヤホン「nwm MBE001」(ヌーム)の特長をごく簡単に説明すると、耳をふさがないオープンイヤー型なので、イヤホンから流れてくる楽曲や音声だけでなく、外の環境音が聞こえる。読者の多くも同じかと思うが、筆者はイヤホンを歩きながらや電車移動の際に使うことが多いので、特に街頭では安全性を考えると外環境の音も聞こえるというのはとても嬉しい(他のイヤホンを使用しているときもノイズキャンセル機能はOFFにしている)。


ただ、オープンイヤー型だと気になるのが周囲への「音漏れ」だが、ここにNTTの「PSZ技術」が使われていて「音漏れ」を気にする必要がない。「PSZ技術」は、限られた小さな範囲に音響空間を制限(音を閉じ込める音場を作る)ことによって、音漏れを低減、ほぼ音漏れしない技術だ。これで電車でも安心。発表されたときから実はすぐにでも欲しかったのだ。

音漏れしているイメージ(左)と、「PSZ」技術で音を閉じ込めているイメージ例

イヤホン本体の重さは片側約9.5gとオープンイヤー型にしては軽い。ドライバーのサイズは12mm、最大約6時間の使用が可能だ(充電時間約2.5時間)。防水基準はIPX2相当で防滴。ちなみに他社製品の重さはAppleの「AirPods(第3世代)」が4.28g、Amazonの「Echo Buds」がイヤーチップ、ウイングチップを除いて5.7gだが、いずれもオープンイヤー型ではなく耳の穴に差し込むため、耳の特定の場所に荷重がかかって痛くなるというユーザーもいるだろう。オープンイヤー型はそれが少ないのも特徴だ。

完全ワイヤレスイヤホン「nwm MBE001」。サイズは51.6×52.4×13.2 mm。質量約9.5g(片側)。

完全ワイヤレスイヤホン「nwm MBE001」を装着したところ。耳の穴を塞いでいないことがわかる・・そうなると本当に音漏れがほとんどないのかが気になる

製品やコンセプトについては、関連記事「NTTがオープン型なのに音漏れしないイヤースピーカー発売 小さな範囲に音響空間を閉じ込める世界初「PSZ技術」搭載」にも掲載しているので、そちらも参照してください。




開封の儀と初期設定(ペアリング)

やってきた完全ワイヤレスイヤホン「nwm MBE001」はお弁当箱のようだった。


いや、ホントにお弁当箱に入ってるの?


お弁当箱風ケースをパカッと開けると本体の入ったキャリングケースが出てきた。キャリングケースは少し大きめで123×53×26 mm、質量約70g。



キャリングケースの中には「nwm MBE001」本体が左右1個ずつ、磁石で収まっている。



内容物の確認、ACアダプタが別途必要

内容物は本体「nwm MBE001」左右1個ずつ、充電キャリングケース、USB-Cの充電ケーブル、アプリをダウンロードするQRコードが書かれたカード、簡単な説明書となっている。充電用のケーブルは同梱されているが、ACアダプタはUSB Type-Aが接続できるものを別途用意する必要がある。


充電中の「nwm MBE001」キャリングケース。キャリングケース自体にはバッテリーは搭載していない(この点は残念だ)。




専用アプリのダウンロードとペアリング

同梱されているカードから、スマホのカメラ機能でQRコードを読み込み、アプリをダウンロードする。例はiPhoneでの操作例。


専用アプリ「nwm Connect」ダウンロードしてインストールする。


アプリが取扱説明書代わりに、ペアリング(イヤホンとスマホの無線接続)方法を教えてくれる。はじめて使用するときは、キャリングケースからイヤホンを取り出すと、自動的にペアリングモードになって赤色と青色の交互に点滅する、ということだったが、筆者の環境ではその通りにならずいきなりつまづく。


もしかしたら、本体の充電が充分ではなかったのかもしれない。まずは充電をしてから手動でペアリングに。
手動でペアリングするには、本体のマルチファンクションボタン(L/Rのどちらか)を約5秒間長押しする。実際には耳に装着してピピッと音が鳴ったらボタンをはなす(約5秒間押して、鳴ったらボタンを離すこと)。

実際には耳に装着してここを5秒間押して、ピピッと音が鳴ったらボタンをはなす

ステータスランプが赤色と青色の交互に点滅したらペアリングモードに。

本体のLEDが赤と青に点滅したら、スマホの「Bluetooth」設定画面を確認する。


スマホのBluetooth設定画面”その他のデバイス”(下部)に「nwm MBE001」が表示されていたら、それを選択してペアリング完了。無事に無線で接続ができた。


本体のボタンで操作できる内容

その他、本体のボタンで次のような操作ができ、アプリで設定内容を変更することも可能だ。



取扱説明書はウェブから入手できる

なお、詳しい取扱説明書は同梱されていないが、Webサイトで表示したり、PDFでダウンロードすることができる。

ちなみにインストールした専用アプリ「nwm Connect」には次のような機能が備わっている。

nwm Connect アプリ
バッテリー残量の確認
本体(L,R各)のバッテリー残量を確認することができる。
イコライザーの変更
5種類のイコライザーから選べる。
ノイズ抑制
通話時に相手伝わるノイズ抑制のレベルを調整することができる。
最大音量の制限
最大音量制限のON/OFFを切り替えることができる。
充電色の設定
充電中のステータスランプを6色から選べる。
ファームアップデート
本製品のファームをアップデートすることができる。


イコライザー設定の例

アプリで5種類のイコライザー設定から選択することができる。下記がその選択画面の一例。(左上)全帯域にバランスのよいチューニング、(右上)抵高音域を協調してチューニング、(左下)高音域を強調したチューニング、低音域を強調したチューニング。





使用レビュー、音漏れは若干する

最後に、気になる「使用感」と「音漏れ」について所感を述べたい。

使用感は良好

「使用感」は快適で楽チンだ。ペアリングができていれば、ケースからイヤホンを出して耳に装着するとスマホに接続されて、すぐに楽しむことができる。イヤホンを耳からはずすとセンサーで検知して、再生は自動的に一時停止(停止)となる。オープンイヤー型なので、音質は通常のカナル型等と比較したり、細部をこだわっても利はないが、特に悪い点もなく、全域でクリアに楽曲を楽しむことができる。


音漏れは気にならない程度

「音漏れ」については完全に音漏れしないということではなく「音漏れを最小限に抑える」「音漏れを気にしないレベルにする」機能だと考えるべきだろう。静かな部屋で、約50cm以内に近づくと曲調によっては音漏れしていることがわかる。ただ、実際使用する環境の歩道や電車、プラットフォーム、街中などでは環境音があるのでほぼ音漏れは感じない(逆に本人が神経質になるようならオススメはしない)。
強いて言えば、電車の座席に座っていて、駅に停車中は隣の人に若干音漏れを感じさせるかもしれない。図書館で近い隣の席の人、混雑したエレベータの中では感じるかもしれないが、曲名がわかるほど漏れはしない。その程度だ。下記の動画を参考にして欲しいが、動画よりも実際の耳では音漏れしているのを感じていない。


■音漏れのチェック

上の動画で使用した音漏れしにくい曲調(1曲目)
「乱世の花」 @ フリーBGM DOVA-SYNDROME OFFICIAL YouTube CHANNEL

上の動画で音漏れした2曲目
「Blue Rhythm」 @ フリーBGM DOVA-SYNDROME OFFICIAL YouTube CHANNEL



朗読を聴くには環境を選ぶ

一方で、著者は「Amazon Audible」のユーザー、つまり朗読を聴く機会が多い。ハキハキと通る声で話すナレーターもいれば、ボソボソと話すナレーターもいる。後者の場合、「nwm MBE001」で環境音が入るとほとんど聴き取ることができないケースが多い。電車の中では最大音量に設定しても聴き取れない。著者にとっては、この点が音漏れよりも課題となった。

小柄な女性と大柄な伝声(著者)では、装着したときのデバイスの位置も異なる。位置の調節はできないので、この影響もあるかもしれない

オープンイヤーデバイス市場は始まったばかりだし、個人的にはとても期待している。今後、改良・改善が図られていくと思うので、その点は大いに期待したい。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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