NTT東日本 プランティオ タニタ 都市型スマート農園の開発など「食」と「農」と「健康」の課題解決で協業

NTT東日本、プランティオ、タニタの3社は、都市型スマート農園の開発や、新規就農に繋がる機会の創出など、都市部における「食」と「農」と「健康」の課題解決を目的とした新たなアーバンファーミング事業に向けた食農事業で協業を開始すると発表した。

NTT東日本が有するICTを活用した営農支援の実績とノウハウ、通信環境の構築で培ったエンジニアリング力、プランティオの持つIoTを活用した野菜栽培の仕組みとシェアリング型の農園運用のノウハウ、タニタの健康づくりや食のノウハウを組み合わせることで、新たな農体験を通じた地域活性化、健康寿命の増進、農の関心人口増加による都市部営農への貢献に繋がる都市型スマート農園の開発をはじめとしたアーバンファーミングの事業化と全国展開を目指すとしており、本協業の第1弾として、タニタ本社敷地内に本事業のテストフィールド「タニタふれあい農園」を開設、2023年8月より実証実験をスタートする。


アーバンファーミング事業に向けた食農事業で協業の背景

近年、国内の農業分野において、食糧自給率が40%を下回るなど食の安定供給に対するリスクが深刻な課題となっており、国全体での食料生産基盤の強化が求められている。特に都市部の農業においては、耕作地の狭小・分散化、個人農家の収益性の改善、生産緑地の維持、都市部の食料自給率の改善など、多くの課題がある。

こうした中、世界で急速に広がるアーバンファーミング(都市型農)の文化を国内で醸成する動きが注目されている。アーバンファーミングは消費地の近くで生産できることから、地産地消・旬産旬消で新鮮な野菜を環境負荷の低いプロセスで供給できる。また、地域コミュニティの創出、景観形成や生物多様性の維持、避難場所や環境緩衝地としての防災機能など、アーバンファーミングが持つさまざまな機能が期待されている。

今回、NTT東日本、プランティオ、タニタは、プランターを使うことでビルの屋上や舗装地などさまざまな形態の遊休地に開設することができ、またIoTの活用により誰もが気軽に「たのしく育てて、たのしく食べる」ことができる、都市型スマート農園(農園全体を参加者同士が交流しながら共同で野菜を育てていく「シェア型」となっていることが特徴)の構築と検証を進める。

さらに本農園を活用し、新規就農に繋がる機会の創出、食農への関心人口増加や地域経済の活性化に繋がる新たな体験や仕組みを創造する新たなアーバンファーミング事業の実現を目指すとしている。


実証実験の概要

都市型スマート農園の開発・有効性の評価

1:IoT / AIを活用した農園利用者の利便性向上
プランティオが独自開発したIoTセンサー「grow COONECT(グロウコネクト)」を活用し、内蔵する土壌温度計によって土壌の温度の積算をモニタリングするとともに、他の5つのセンサーデータを肉付けし、前後一週間の天候データと対比して予測するAI技術である「Crowd Farming System」と、専用のアプリ「grow GO」を通じて水やりや間引きのタイミングなどの栽培アドバイスを行うことで、未経験の人も含めて、誰でも手軽に野菜を栽培することができる。また、テストフィールドでは、アプリの評価と開発へのフィードバックも行う。

プランティオのIoTセンサー「grow COONECT(グロウコネクト)」

2:農園利用者のコミュニティを活性化させる付加価値の創造
アプリ「grow GO」には農園の利用者同士がコミュニケーションを取れる機能も備えており、リアルとオンラインの両面でコミュニティに参加し、楽しみながら食と農と健康づくりに気軽に触れることができる。

また、収穫した野菜をタニタ食堂やタニタカフェのレシピを基に調理して参加者に提供したり、バーベキューパーティーを開催したりするなど、コミュニティを活性化させるさまざまなアクティビティを展開し、地域住民を対象に今回テストフィールドとして開設した「タニタふれあい農園」におけるコミュニティやアクティビティへの参加を募り、参加者の行動態様や事業性を検証していく。

農園の利用者同士間のコミュニティを活性化

3:意識することなく取り組める健康コンテンツ
タニタふれあい農園で利用者が行うアクティビティ(水やりや土寄せ、追肥、間引きなどの農作業)は、それと意識することなくからだを動かすエクササイズになるとみており、農作物をつくる喜びや、コミュニティの仲間とつながる楽しさをフックに自然と健康づくりを促す「健康コンテンツ」となることから、健康増進のアプローチ手法として、その可能性を検証していく。


周辺地域への誘客・消費促進など地域循環モデルへの発展

「タニタふれあい農園」において栽培した野菜の近隣飲食店での消費、アプリを通じた栽培活動による特典の付与、周辺地域の施設への誘客など、地域経済圏の活性化を図る仕組みづくりを検討。利用者や導入企業のみに負担が集中することのない、持続可能な農園運営と都市部営農に貢献するモデルを目指すとしている。



実施場所、実施時期、各社の役割

実施場所・実施機関

タニタ本社敷地内に開設したテストフィールド「タニタふれあい農園」で実証実験を実施。

場所 タニタふれあい農園
(タニタ本社敷地内・東京都板橋区前野町1-14-2)
期間 2023年8月1日-2024年3月31日(予定)


NTT東日本

実証実験の共同企画、実証環境の開発・構築・検証、地域活性化や都市部営農への有効性評価・事業検討

プランティオ

実証実験の共同企画、農園のファシリテート、アプリ開発

タニタ

実証実験の共同企画、実証フィールドの提供、食と健康分野での有効性評価・事業検討

今後の展開

今後NTT東日本、プランティオ、タニタの3社では、今回の実証実験の結果を基に新たな食農体験を通じた社会課題のソリューションに関するノウハウと実績を蓄積し、アーバンファーミングの事業化へ向けた具体的な検討を進めていく。IoT/AIや、その他実証を通じて効果が見込まれた機能を備えた都市型スマート農園サービスをパッケージ化して遊休地所有者に提供するほか、生産した野菜のタニタ食堂・タニタカフェでの活用、付加価値の高い伝統野菜の一般流通などを視野に入れていており、地域の飲食店や施設と連携した誘客の仕組みによる地域経済の活性化についても検討していく。

ひいては、世界的に喫緊な課題である食料安全保障を背景とし、各国で加速するグリーンフードインフラ(従来の緑化を中心とした、自然環境が有する機能を社会におけるさまざまな課題解決に活用しようとする考え方に、食べ物を食べるという機能も付加することで、一般の方が安心安全な食と農を自身で担保できることに加えてアクセスも可能とするプラットフォーム)の構築を目指す。

今回の実証実験をショーケースとして全国の遊休地や自治体への普及拡大を図っていく計画で、3社それぞれの強みを生かした魅力的なアーバンファーミング事業の提供を通して、食と健康にまつわる社会課題の解消に寄与していくとしている。

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