勇者ロボ「ファイバリオン」も操作可能! 「Akibaロボラボ@シークベース」開催中

大型人型ロボット「ファイバリオン」が、JR秋葉原駅〜御徒町駅高架下の商業施設「SEEKBASE」のイベント展示スペースで開催中のイベント「Akibaロボラボ@シークベース」にて操作デモ可能な状態で出展されている。展示期間は2024年1月10日(水)から22日(月)まで。場所は東京都千代田区神田練塀町13-1 SEEKBASE01号棟内イベントスペース。入場料は無料だ。

JR秋葉原駅〜御徒町駅高架下の商業施設「SEEKBASE」で開催中の「Akibaロボラボ@シークベース」

■勇者ロボ「ファイバリオン」

勇者ロボ「ファイバリオン」。有志が開発中の巨大なホビーロボットだ

ファイバリオン(FIREBARION)」は株式会社 BRAVE ROBOTICS代表の石田賢司氏と制御担当のみっちーこと尾路紘一氏を中心とした有志メンバーが集まった団体「勇者技術研究所」が、2018年から設計・開発中のオリジナル巨大ロボット。アニメのいわゆる「勇者系ロボット」のデザインが特徴だ。

ファイバリオンのバストショット

顔部分も変形する。マスクがオープンすると鼻や口のある「勇者フェイス」の顔が出てくる。顔も動く。なお「勇者ロボット」とは石田氏によれば「カッコいい人型ロボット」で、顔があり、しゃべって、合体したり変形したりできるロボットのこと。



「ファイバリオン」は電動。今回は膝立ち姿で展示されている。現在完成しているのは上半身部分だけで、下半身部分はハリボテ。2024年内の完成を目指しており、完成したあかつきには、4輪のビークル形態から人型ロボット形態へと変形する2.5mくらい、重量400kg台のロボットとなる予定だ。ビークル形態では一人が乗車できるパーソナルモビリティ(ミニカー規格準拠)となる。

今回は展示スペース高の関係もあって膝立ち姿での展示

2.5mの人型ロボットから乗車可能な乗り物に変形する予定

「将来的にはバリエーションも展開したい」という構想のもと、勇者技術研究所が独自開発している勇者ロボット基礎構造フレーム「ジェムストンフレーム」を内部構造としており、各部には「ドッキングポイント」がある。アシストツールや合体メカと合体して拡張やパワーアップができる構成だ。

ファイバリオンのスペック(予定)

アクチュエーターは「既存の産業用ロボットでは特性が合わない」とのことで、既成のブラシレスDCモーターとオープンソースのモータードライバー「moteus MJBOTS」、これにハーモニックドライブ製の減速機を組み合わせて使っている。正面から見ても側面から見てもかっこいいプロポーションの実現と、扱いやすさの両立を目指した。

アクチュエーターは独自開発

外装素材は今は鉄板だがFRPを使うことも検討中

バッテリー電圧は37Vくらいに抑えてある。人と近い場所で動くロボットなので、万が一断線した場合も考慮して、安全性を重視している。なお今回のデモでは外部電源を使用している。将来は内部バッテリーを搭載し、自立化する予定だ。完成時の外装素材は検討中。


■勇者技術研究所はメンバー募集中

株式会社 BRAVE ROBOTICS代表の石田賢司氏

「ファイバリオン」は巨大なホビーロボットである。これまで、「Maker Faire Tokyo」などのリアルイベントでの展示のほか、CADデータとUnityを使ってVRChatやNeosVRなど仮想空間上でも3D展示やアバター配布などの活動を行ってきた。

参画メンバーは全国各地に散らばっていることもあり、UnityやROSをフル活用して開発

仮想空間のVRファイバリオンと現実の実機とのインタラクション、ChatGPTを使った会話と表情動作の連携なども開発中だ。各プロセス間通信にはROSを活用している。

VRChatの世界から実機を操作する実験も

ChatGPTを使った会話と、ロボット表情との連携実験も行っている

勇者技術研究所の2023年9月現在のメンバーは約10名。前述のBRAVE ROBOTICSの石田賢司氏、制御担当のみっちー氏のほか、「タタメルバイク」で知られる生駒崇光氏がデザイン担当として参画している。新規メンバーも募集中とのこと。なお、費用は持ち出しである。

プロセス間通信にはROSを活用

BRAVE ROBOTICSは巨大変形ロボットを含む全長1m以上の大型機のハードウェアを製作するノウハウを持ち、その技術を使った受託開発や、オーダーメードのカスタムバッテリー作成なども行なっている。

「ファイバリオン」のデザインは自分たちにとっては『ど真ん中』とのこと

「ファイバリオン」自体を売ることはあまり考えていないが、このための技術開発や、アクチュエーター、バッテリーの販売は考えているという。「自分たちにとっては『ド真ん中』のデザインだが、今のアニメロボットの主流ではないし、これ自体が一般ウケするとは思ってない。お客さんがいれば、それ向けに作る」とのことだ。

なお設定では開発者は「勇者ロボ建造Vtuberの華姉りあん」(右)と、「みっちーさん」(左)ということになっている


■操縦体験も可能

操作体験も可能(有料)。

さて「ファイバリオン」は外部の操縦席に座って、データグローブをつけると、いわゆる「マスター・レプリカ」(リーダー・フォロワー、マスター・スレイブとも)で操作することができる。腕や手を動かすと、そのとおりに動作する。操作デモの体験は有料で、料金は一人あたり1000円。

外部操縦席から操作する

ファイバリオン制御画面

可動範囲は制限されているのであまり広くはないが、両腕を操作できる。指も動かしたとおりにパシパシと動く。なお石田さん自身は、操作するよりも自律で動いたり喋ったりしてほしいと考えているそうだ。


■Akibaロボラボ@シークベースは2024年1月22日まで開催中

会場では中国Robosen社のロボットのデモ・販売も行われている

「Akibaロボラボ@シークベース」は、秋葉原の情報を日々発信するインターネット放送局「Akiba.TV」や、オリジナルのメイドガイドやVtuberなどを使って秋葉原のDeepな体験ツアー「Akiba Deep Travel」などを運営しているAkiba.TV株式会社、株式会社Cerevo、勇者技術研究所が共同で開催したイベント。

「Akibaロボラボ@シークベース」主催者の一人であるAkiba.TV株式会社 代表取締役 吉岡有一郎氏。Vtuberによる秋葉原ツアーなども実施中とのこと。

Akibaロボラボ@シークベースでは、「ファイバリオン」以外にも中国Robosen社による世界初の完全自動変形ロボット「トランスフォーマー フラッグシップオプティマスプライム」や「フラッグシップ グリムロック」、ソフトバンクロボティクス株式会社の「Pepper」、株式会社Cerevoの「Tipron」などの展示・販売も行われている。

ソフトバンクロボティクスの「Pepper」も活動中

特にRobosenのロボットはスペシャルプライスで販売されているので、欲しい人はチャンスだ。福袋セットもある。

ロボセンのロボットはスペシャルプライスで販売中。福袋価格は特にお得


繰り返しになるが、場所は東京都千代田区神田練塀町13-1 SEEKBASE01号棟内イベントスペース。秋葉原駅のすぐ近くだ。会期は2024年1月10日(水)から1月22日(月)まで毎日11時~20時。なお、スタッフ不在の際は不定期にイベントスペースを閉めることがあるとのこと。

Cerevoの配信システム「LiveShell」も配信用に活躍中

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森山 和道

フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。WEB:http://moriyama.com/ Twitter:https://twitter.com/kmoriyama 著書:ロボットパークは大さわぎ! (学研まんが科学ふしぎクエスト)が好評発売中!

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