TOPPANデジタル「漁業DXソリューション」実証実験を開始 重量管理や品質判定をAIで効率化 沖縄県うるま市漁業協同組合と

TOPPANデジタルは、沖縄県うるま市にある勝連漁業協同組合(勝連漁協)と協力し、モズク生産の効率化を目的とした漁業DXソリューションの実証実験を2024年3月1日から2024年6月末まで実施することを明らかにした。

行われる実証実験では、TOPPANデジタルが開発した「重量管理アプリ」「品質判定AIアプリ」からなる漁業DXソリューションを活用することで、これまで手作業で行っていたモズク収穫量の管理・品質判定などをデジタル化し、作業負荷の軽減や品質管理を支援。これにより、水産物の生産から収穫までの工程全般において、生産の効率化や最適化に貢献するとしている。

次世代DX開発拠点「ICT KŌBŌ URUMA」設立

沖縄県におけるモズク生産量は全国の9割以上を占めており、中でもうるま市勝連地域は沖縄県内で約4割の水揚げを誇っている。うるま市のモズク生産の基盤となる勝連漁協は、2024年2月26日に新たにモズク加工工場を開設し、従来流通の問題で生産量が限られていた生モズクの出荷量を増やすことやブランド化の推進による販路拡大を目指しており、今後も生産量は伸びる見込みだが、少子高齢化による人手不足・後継者不足などの課題を抱えている。

TOPPANデジタルは、次世代DX開発拠点である「ICT KŌBŌ URUMA」を2021年6月に沖縄県うるま市に開設し、システム開発事業に加え、事業を通じた地域課題解決への支援に取り組んでおり、2023年11月末からは、沖縄県うるま市と共同でドリフト走行などの危険運転行為の抑制に向けた騒音自動検知の実証実験を行っている。(2024年3月末に実証終了予定)

これらの背景から、TOPPANデジタルはこの度、うるまの主要産業であるモズク生産の課題を解決する漁業DXソリューションを開発。2024年3月から勝連漁協と協力して実証実験を開始。実証実験を通じてアプリの有効性を検証し、2024年秋に第1弾のアプリ提供開始を目指すとしている。

期間 2024年3月1日~2024年6月30日まで
場所 勝連漁業協同組合
目的 漁業DXソリューションによるモズク生産の効率化、品質管理などの有効性を検証
概要 勝連漁協組合におけるモズクの生産工程で、漁業DXソリューションを運用し各ソリューションの有効性を検証。
<2024年3月~2024年6月末:モズク水揚げ工程>
「重量管理アプリ」を活用し、導入前後の工数削減効果の検証を行う。
「品質判定AIアプリ」を活用し、判定精度の確認と精度向上を目指す。
各実証終了後、アプリのユーザビリティのアンケートや改修検討などを予定。
実証参加者とその役割 勝連漁業:実証環境提供
TOPPANデジタル:漁業DXソリューションの開発、提供


TOPPANデジタルが開発した「漁業DXソリューション」について

うるま市勝連地域でのモズク水揚げの様子

モズク生産工程を支援する2つのアプリを開発し、作業負荷の軽減や品質管理を支援する。

1:重量管理アプリ

従来、モズク水揚げの際に発行する伝票は、重量・カゴ数・ロットを手書きで記入・計算する運用だったが、「重量管理アプリ」では、水揚げ時に漁師毎のモズク重量をタブレットへ入力すると、カゴ重量が差し引かれ正味の重量が自動計算されるため、手計算によるミス防止やペーパーレス化による作業効率化を支援する。また、アプリに入力された重量はロット毎に保存されるため、水揚げ後の加工工程以降のトレーサビリティ管理にも役立つとしている。

2:品質判定AIアプリ

モズクの品質判定は、従来、太さやぬめりの状態を熟練担当者の勘や経験に基づき目視で行ってきたが、品質判定AIアプリでは、品質判定のポイントとなる「太さ」「ぬめり」の状態をタブレットなどで撮影した画像を基に認識し、TOPPANデジタルが独自に開発したロジックでAI判定が可能となっている。これにより、人手に頼らず高品質のモズクの選別を可能とし、人手不足・後継者不足の課題を支援する。

今後の目標

実証実験ではアプリの有効性の検証や運用上の課題整理による改善などを経て、モズクのみならず他の海産物を含め漁業全般に対応できるサービスとして2024年秋から提供を開始する。また、今回の実証協力先である勝連漁協が、新たに開設したモズク加工工場において、漁業DXソリューションで取得したデータを活用し、加工工場のスマート化も支援していくとしており、 今後も、TOPPANデジタルは、「ICT KŌBŌ URUMA」を起点として、DX事業を通じた沖縄県の地域課題解決に貢献するとしている。

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ロボスタ編集部

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