ウミトロン AIスマート給餌機「UMITRON CELL」でハマチ養殖に成功 全国くら寿司で「特大切り AIはまち」として販売

ウミトロン株式会社は回転寿司チェーン「くら寿司」を運営するくら寿司株式会社の子会社、KURA おさかなファーム株式会社と協働し、AI・IoT技術を活用したスマート給餌機「UMITRON CELL」(ウミトロンセル)を活用したハマチのスマート養殖に日本で初めて成功したことを発表した。ハマチは回転寿司チェーン「くら寿司」の全国店舗にて「特大切り AIはまち」として、6月24日(金)から6月26日(日)まで限定販売される。価格は220円。


ウミトロンとくら寿司の取り組み

近年、漁業における「人手不足」「不安定な収入」「労働環境の厳しさ」などが大きな課題となっている。くら寿司では2010年より「漁業創生」をテーマに様々な活動を行っており、2021年11月に業界初の水産専門会社である子会社、KURA おさかなファームを設立。スマート養殖による委託養殖を進める取り組みとして、2021年春からウミトロン開発のAI・IoT活用のスマート給餌機「UMITRON CELL」の導入を開始。2022年3月にはスマート給餌機で養殖したマダイを「AI桜鯛」として、初めて全国販売した。


スマート給餌機「UMITRON CELL」を活用した初のハマチ養殖

ウミトロンでは過去ハマチの稚魚期でスマート給餌機「UMITRON CELL」を活用した生育試験は実施していたものの、成魚まで生育した実績はなかった。2021年6月より開始した、KURA おさかなファーム及び委託養殖先である養殖事業者との生育実証試験により、ハマチを成魚まで生育し出荷するのは初となる。

「UMITRON CELL」は搭載されているAIが魚の食欲をリアルタイムで画像解析することで給餌の量やタイミングを最適化できる。また、スマートフォンなどの端末から遠隔で生け簀の魚の様子をモニタリングしながら給餌が可能。これにより、社会情勢の影響で価格高騰が続くエサ代や漁船の燃料費の削減、作業負荷の軽減、無駄な餌が海に流出することを防ぎ、環境負荷の低減に貢献する。

ハマチは一度に多くの餌を食べるため、無駄なく生育に必要な量を食べさせられるよう、一度に短時間で大量の餌を船上から生け簀に機械で投入しながら、人が目視で食欲状態を確認する給餌方法が一般的だった。

今回の実証実験ではスマート給餌機に切り替えても従来通りに成育することが分かり、さらにAIで解析した魚の食欲に応じて給餌することで、餌の量を従来比約1割削減することに成功した。また、給餌のために生け簀まで船で毎日往復していたところを遠隔操作に切り替えることで、2〜3日に1回の頻度に軽減。労働負担の低減や燃料代の削減にも繋がっている。初出荷となる今回は約20トンを水揚げし、全国のくら寿司で「特大切り AIはまち」として販売する。




今後の展望

実証結果を踏まえ、ウミトロンとKURA おさかなファームはスマート給餌機「UMITRON CELL」を愛媛県宇和島市の養殖事業者2社へ導入する契約を締結し、AI・IoTによる委託養殖を本格的に進めていく。今後も、ウミトロンはハマチの給餌・生育データの蓄積、及びAIの精度を高めて自動化していくことで、さらなるハマチの生産効率アップと省力化、安定供給をKURAおさかなファームと連携しながら目指す。

委託養殖したハマチは、KURA おさかなファームが全量買い取り、くら寿司で今後も販売する。また、くら寿司は2024年を目処に、くら寿司で扱うハマチの約3割をKURA おさかなファームによる委託養殖によって賄う計画。

国内の水産業は担い手不足や高齢化に歯止めがかからない状況が続いている一方、魚介類の世界的な需要の高まりや原油高騰、また円安の影響を受け、魚価は高騰傾向にある。ウミトロンとくら寿司は、今後もAIやIoT技術の導入による更なる効率化・省力化を進めることで、消費者に安定した魚の供給量確保、リーズナブルで高品質な商品提供の継続に貢献していく。

関連サイト
ウミトロン株式会社

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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