NTTのスマートビル技術「Cradioとロボット連携」やマルチロボット最適制御技術を活用 品川シーズンテラスでロボット配送実証

NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)、日本電信電話株式会社(NTT)、NTTアーバンソリューションズ株式会社(NTT アーバンソリューションズ)の3社は、2024年2月5日~3月15日に、品川シーズンテラスにて、ビル内ロボット配送実験を実施。

NTTグループが保有するロボット最適制御技術やマルチ無線プロアクティブ制御技術の適用により、到着時間の正確性向上、配送時間の短縮、早期異常検知など、より効率的かつ安全なマルチロボット運用を実現した。



同実証の背景

近年、少子高齢化が進み、減少する労働人口への対応や高齢化社会に対応した街づくりが求められる中、配送や警備、移動手段などとして、ロボットの活用ニーズが一層高まると想定されている一方で、複数のロボットが同時に走行する際の衝突や、走行中の通信断による稼働停止など、効率的かつ安全にロボットを活用していくためには多くの課題がある。NTT Com、NTTおよびNTTアーバンソリューションズの3社は、これら課題の解決をめざし、同実証を実施した。


同実証の概要
時期 2024年2月5日~2024年3月15日
実証場所 「品川シーズンテラス」(東京都港区港南1丁目2番70号)
使用ロボット 株式会社ZMP「DeliRo(デリロ)」2台、アスラテック株式会社「RICE」2台
実証内容 オフィス入居者がオーダーアプリを用いて注文した商品について、ビル内のコンビニ店舗(デイ・ナイト株式会社による運営)からの配達作業を自律走行型サービスロボットが代行し、注文者へ商品を配達する。



各社の役割
NTT Com Smart Data Platform for City/マルチロボット最適化ソリューションの提供
NTT オーダーアプリと「街づくりDTC」技術を活用したロボット最適制御技術、マルチ無線プロアクティブ技術Cradioの開発・提供
NTTアーバンソリューションズ ロボットが走行する実証環境の提供ならびに運営管理、店舗やテナントとの交渉・調整



実証概要イメージ




同実証の結果

同実証において下記のような有用性を確認した。


1.ロボット最適制御技術を用いた効率的なロボット配送
・ロボットによる配送時間を約30%削減
・注文者に事前提示する到着時間の誤差を約15%削減

これまで、ビル内の混雑状況を基にした走行経路の設定および所要時間の見積もりの有効性について実証実験を通して確認しており、同実証では、ロボット最適制御技術を用いて異種・複数のロボットが競合を回避しつつビル内の最短経路を選ぶことで、固定的にルート設定する従来手法に比べて配送時間を約30%削減することに成功。また、走行時間に加え店舗での作業時間も予測することで、注文者に事前提示する到着時間の誤差を過去実績平均値を用いる場合よりも約15%削減することができた。

【ロボット競合回避の様子】左:競合回避なし、右:競合回避あり



2.Cradioを用いた安全なロボット走行
・弱電界エリア(75dBm以下)の走行を完全回避(0m)
・電波品質MAPと実測値の誤差はRMSE(Root Mean Squared Error:二乗平均平方根誤差)で約5dB

Cradioを用いることで、無線基地局の運用状況と連携するとともに高精細な建物情報や無線装置の特性を考慮した精緻な電波品質MAPの作成が可能となる。今回作成した電波品質MAPと実測値の誤差はRMSEで約5dBであり、ロボットの走行経路選定に十分な精度であることを確認した。作成した電波品質MAPの情報をロボット最適制御技術と連携させることで、-75dBm以下の弱電界エリアの走行距離を0mにでき、ロボットが制御不可になるリスクを低減できた。また、Cradioによる無線通信品質の予測技術をロボットの走行制御に連携させることで、無線通信品質の劣化前にロボットの速度制御・停止制御を実施し、安全なロボット走行への有用性も確認した。

Cradioシミュレーション結果

■【動画】NTT Comが提供するスマートビル「Cradioとロボット編」



3.SDPF for City/マルチロボット最適化ソリューションを用いたロボット運用
・複数ロボットを統合した管理画面により異常を検出

これら1、2の技術をSDPF for City/マルチロボット最適化ソリューションに適用することで、異なるロボットプラットフォームを統合的に管理し、複数・異種のロボットを一元的に運用することが可能に。これにより、複数ロボットの現在地や稼働状況の可視化、遠隔からの管理・操作を一元的な管理画面上でできるようになり、より効率的な運用・管理が実現できることを確認した。

複数ロボットの管理画面

■【動画】NTT Comが提供するスマートビル「マルチロボット編」




今後の展開

今後もNTT Com、NTT、NTTアーバンソリューションズの3社は、人とロボットが協働・共生する街の実現をめざし、さらなる取り組みを進めていくと述べている。またNTTグループは、引き続き品川港南エリアをはじめとして周辺企業や地域と連携しながら、ICTを活用した街づくりに取り組んでいくとのことだ。

無人宅配ロボット「DeliRo」:https://www.zmp.co.jp/products/lrb/deliro
自律走行型配送ロボット「RICE」:https://www.asratec.co.jp/products/rice/
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