東京理科大発ベンチャーのイノフィス、林業事業体に計42台のマッスルスーツを導入 伐採・植林業務の身体的負担を軽減

東京理科大学発ベンチャーの株式会社イノフィスは、森林率80%を占める福島県東白川郡で林業を営む真名畑林業有限会社に、マッスルスーツSoft-Powerを15台、同会社代表が理事長を務める奥久慈林業協同組合に同機27台(6社分)の計42台を、2月下旬に導入した。林業への導入はイノフィスとしては初めて。

マッスルスーツSoft-Power。力仕事を支援するパワーアシスト機構。


林業の現在地と課題

農林水産省によると、日本は森の面積67%以上。先進国(OECD諸国)の中では世界第2位の森林国。昨今では、花粉症対策としてスギ人工林の伐倒・植え替え・利用の取組に関する関係閣僚会議での打ち出しや、木質バイオマス発電所増加によるバイオマスチップの需要増、さらにドローンを使った航空レーザー測量、運搬技術の向上など、林業のイノベーションはいろいろな工程で行われている。


山間部の地形がイノベーションを阻む

しかし、欧米諸国と違い、日本は山間部の地形が複雑で傾斜が急で、また、ぬかるみも多く崩れやすい地質といった難点があり、広い道幅を確保しづらいうえに、泥道に機械がはまってしまうなどの課題もあるという。
先端技術が導入され、イノベーションが進んでいる林業ではあるものの、まだまだ人の手を頼らざるを得ない現状だという。


高齢化も進む

林業従事者の総数は年々減少し、高齢化が進んでいる現状もある中で、各社林業の課題に取り組んでいるため、同社はマッスルスーツを活用し、労働者の保護や、身体的負担感の削減に貢献していく考えだ。


導入先企業のコメント

マッスルスーツを導入した真名畑林業有限会社の代表取締役、菊地正人氏は次のようにコメントしている。

菊地正人氏

従業員の身体的負担感を軽くするために、導入を決定しました。スタッフが非常に喜んで使っています。技術や機械が進歩しているとはいえ、まだまだ現状は山を歩き回る毎日。機械が使えない下刈り現場では、常に前傾姿勢となり腰の負担が大きく、毎日腰の痛みに苦しんでいました。大体3年ぐらい勤めれば定着するかなと思っていますが、その前に体力的な面で辞めてしまう人も多く、人手不足は非常に深刻です。
これまでは普段夕方になると毎日のように、腰が痛いと言っていた従業員が、今までとは疲れが全く違うと言っています。作業中も、腰がつらいために体を伸ばす動作も少なくなり、効率も上がったと思います。高齢の従業員に元気に働き続けてもらうのは勿論大事ですし、若い人にも体をしっかりケアしながら働いてもらいたい。
そのためにも導入をして正解でした。


「マッスルスーツSoft-Power」とは

マッスルスーツシリーズで培った人工筋肉のアシスト技術をサポーターの背面部に組み込むことで、サポータータイプでは上位クラスの補助力を実現している。


また、身体への接触面積が小さいため暑さを感じにくく、夏場も気軽に着用できるように工夫されている。肩のバックルでサポートをオン・オフに切り替えることができるため、着用したままで車両運転もできる。一日中着用し続けていても疲れを感じないという。

関連サイト
株式会社イノフィス

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