Slackが生成AIを有料プランのアドオンとして提供 チャンネルとスレッドの要約、まとめ、検索の拡張など 活用企業の事例も公表

Salesforceは企業の会話データを活用し、迅速でスマートな仕事を実現するSlack AIが日本語を含む多言語に対応し、Slackの有料プラン全てにおいて提供開始となることを発表した。これにより、あらゆる規模の組織が、現在使用している安全なSlackのプラットフォーム上にネイティブ搭載された、信頼性が高く直感的な生成AIにアクセスできるようになるとしている。

Slack AIの主な機能

新しい「まとめ」機能

ユーザーがフォローしたいチャンネルの要約を毎朝ダイジェストで配信する新しい機能。

対象のチャンネルをまとめに追加することで、見逃した可能性のある会話のダイジェストを毎日受け取ることができる。また、Slack上のユーザーアクティビティに基づいて、Slack AIがまとめに追加するべきチャンネルをおすすめする。

回答の検索

会話形式の質問に対して、パーソナライズされたインテリジェントな回答を提供する機能。

関連するSlack上の会話から直接引用された平易な言葉で、明確かつ簡潔な回答を得ることができる。また、必要に応じて引用元を検証し、さらに深く掘り下げた回答を検索することも可能。

会話の要約

アクセス可能なチャンネルやスレッドから要点を抽出する機能。

未読メッセージの把握や、過去7日間の会話の要約、あるいは任意の期間を設定して要約を作成することができる。それぞれの要約には明確な情報源が示されているため、ユーザーは重要な部分をより深く掘り下げることもできる。

Slack AIによる成果

社内分析の結果、Slackの顧客は、Slack AIを活用して回答の検索や知識の抽出、アイデアの創出に役立てることで、すでに1ユーザーあたり毎週平均97分の業務時間を短縮している。

一方で、SlackのWorkforce Labが実施した最新の調査によると、経営幹部の94%が自社にAIを導入することが喫緊の優先事項だと述べているにも関わらず、職場でAIツールを試したことがあると回答したデスクワーカーは4人に1人にとどまったことが明らかになっている。

顧客事例

大企業から中小企業まで、Slackのユーザー企業はSlack AIを活用して、必要な情報を必要なタイミングで把握し、優先順位付けに役立てている。

Wayfair

Wayfairは2016年にメッセージングソフトウェアをSlackに移行し、現在は収集したデータをより効率的に抽出するためにSlack AIを活用している。また、強化された検索機能から自然言語で質問を投げかけ、関連するチャンネルから簡潔な回答を見つけている。

Wayfair 従業員技術担当ディレクター Asad Rahman 氏

Wayfair がグローバル規模で拡大するなか、情報をすばやく発見できるようにすることで、メンバーが情報収集に費やす手間を減らし、成果につながる仕事により多くの時間を使えるようにしたいと考えています。Slack AI の優れた機能が、それを可能にしてくれました

Wayfair エンタープライズソリューション シニアエンジニア Taylor Keck 氏

Slack AI を使えば、どのチャンネルの情報もすばやく正確に把握できます。従業員が手間のかかる情報収集をする必要がなくなれば、満足度や生産性の向上につながります


Beyond Better Foods

Beyond Better Foodsは、主要なコミュニケーションプラットフォームとしてSlackを導入している。ヘルシーなデザートブランドである同社のオペレーションチームは、Slack AIの強化された検索機能を活用してロジスティクス計画に必要な回答を迅速に把握し、特定のチャンネルの内容を要約で把握することにより、時間を節約しながら仕事の集中力を維持している。

Beyond Better Foods オペレーション担当VP Andy Kung 氏

Slack は当社にとってきわめて重要です。Slack AI による検索機能の強化は、特にロジスティクスに関する回答をいち早く得るのにとても役立っています。例えば、金曜の午後 2 時に CEO からすぐに質問に回答するよう求められた時、Slack AI の検索機能が役立ちます。Slack AIを使い始めてまだ1ヵ月ほどですが、すでに何度も迅速な回答の獲得に助けられており、少なくとも1日に30分は節約できています。まとめは非常に将来性のある機能です。毎日のダイジェストに、フルフィルメントの動向、やることリスト、ロジスティクスの計画など、自分に大きく関係する分野の情報がすべて正確に抽出されています


ProService Hawaii

人材プロバイダーのProService Hawaiiの従業員は、Slack AIによる会話の要約機能を活用して、複数のミーティングに連続で出席した後でも、常に情報を把握し、遅れを取り戻せるようにしている。

ProService Hawaii プロダクトオーナー Jason Morita 氏

Slack AIで、曜日、週、月を選んでキャッチアップできるのは非常に有意義なことです。会議がいくつも続くような時には、会話の要約が大いに役立ちます。見逃していた情報も後から把握できるので、ほかのことに注力できます


今後の展開

Slack AIの検索および要約機能は今後、アクセスできるコンテキストをさらに拡大させ、ファイル、Slackアプリ、canvas、クリップなどの新しいデータソースにも対応する予定であることも明らかにした。

例えば、Slackの簡単な音声・ビデオ通話機能であるハドルミーティングにもSlack AIが適用されると、ライブディスカッションの中から重要なポイントとアクションアイテムの要約を作成し、迅速に次のステップへ進むことができるようになる。

また今後、Salesforce CRM向け対話型AIアシスタントであるEinstein Copilotとの連携により、Slackはアシスタントの活用に最適なプラットフォームとなる。AIを活用したCRMのインサイトをSlackに直接取り込むことができるため、チームと会話するようにSalesforceのデータを簡単に活用することができるようになる。

信頼とセキュリティ

Slack AIはSlackのインフラストラクチャ上で動作し、Salesforceと同様のセキュリティプラクティスとコンプライアンス基準に準じている。

Slack AIの大規模言語モデル (LLM)は、Slack独自の仮想プライベートクラウド(VPC)でホストされており、顧客データは社内で保持され、その組織でのみ使用されるため、顧客データが、直接的または間接的に他の顧客へのサービス提供目的で使用されることはないとしている。また、Slack AIがLLMのトレーニングに顧客データを使用することもない。

価格と提供開始時期

Slack AIは、すべてのSlack有料プランにおける有料のアドオンとして提供を開始しており、プロプラン、ビジネスプラスプランにてユーザーあたり月額1,200円(米国では10ドル)となる。

尚、Slack AIは現在、英語、スペイン語、日本語で提供されており、今後さらに多くの言語に対応する予定であるとしている。

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ロボスタ編集部

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