NECが行政機関と医療機関向けに「生成AI活用のホワイトペーパー」を公開 業務効率化・高度化に貢献

NECは、ホワイトペーパー「行政機関における生成AI活用に向けて―コンセプトと想定事例―」「医療機関における生成AI活用に向けて―コンセプトと想定事例―」を公開した。

公開されたホワイトペーパーでは、行政機関や医療機関が現在抱える課題の分析と、その解決をサポートする存在として生成AIを取り上げ、「行政職員・医療従事者をサポートするAI」をキーワードに業務効率化・高度化に寄与する想定事例を紹介する。NECは生成AIの活用を通して、行政機関・医療機関の業務を支援していく。

 「行政職員・医療従事者をサポートするAI」をキーワードに

NECが公開したホワイトペーパーでは、行政機関や医療機関が現在抱える課題の分析と、その解決をサポートする存在として生成AIを取り上げ、「行政職員・医療従事者をサポートするAI」をキーワードに業務効率化・高度化に寄与する想定事例を紹介している。

「行政機関における生成AI活用に向けて―コンセプトと想定事例―」では、総合窓口アシスタント、庁内ナレッジ検索、行政文書作成・要約・管理支援など11の具体的な行政業務における生成AIの想定事例を掲載した。NECの豊富な行政機関向けシステム開発経験・ノウハウをもとに、実務で役立つ事例を実現イメージとともに提案している。

「医療機関における生成AI活用に向けて―コンセプトと想定事例―」では、外来予約の自動化支援、オンライン診療時の記録支援、症状詳記や退院サマリーなどの各種医療文書の作成支援など、6の具体的な業務における生成AIの想定事例を掲載した。医療機関のDX、働き方改革の支援に貢献する事例を実現イメージとともに提案している。

NECは、セキュアで安全・安心な生成AIサービスの提供により、行政機関および医療機関のお客様の課題解決の実現を目指して取り組んでいくとしている。

NEC開発のLLM「cotomi(コトミ)」

NEC開発の生成AI「cotomi」の性能

生成AIは、自動で新たなデータやコンテンツを創作するAI(人工知能)で、例えば画像や動画、テキスト、音声、音楽、コンピュータプログラム、ロボット制御コードなどを創作することが可能なAIです。この中でもテキストを生成するAIをLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)と呼び、大量のテキストデータを使ってトレーニングされた自然言語処理のモデルを指す。

NECは2023年7月に、高い日本語性能を有する軽量なNEC開発のLLM「cotomi(コトミ)」の提供開始を発表し、さらに2023年12月に性能強化・拡充を行いった。「cotomi」には海外製LLMにはない以下の4つの優位点が存在します。

1:高い日本語能力

「cotomi」の最大の特長は、高い日本語能力にある。著名な海外製LLMと比較した場合も文章読解能力ではトップ、知識量でもトップレベルの日本語能力を有している。今後、さらに長文処理能力は他社比最大150倍の30万字まで対応可能となり、これにより、社内外の業務文書や社内マニュアルなど膨大な量の文書を扱う幅広い業務への活用を実現する。

2:軽量

軽量性も「cotomi」の特長。これにより、サーバコストや電力コスト抑制、レスポンスの高速化、個別環境での提供などといった様々なメリットを提供できる。

3:行政機関・医療機関特有の専門用語などへの個別対応が容易

海外製LLMでは困難な行政機関や医療機関に特有の専門用語や固有名詞などへの個別対応もこれらの情報を学習させることで対応が可能。

4:行政機関・医療機関向けの法令やガイドラインへの準拠

行政機関・医療機関向けの法令やガイドラインに準拠した提供が可能。
地方公共団体については、総務省「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」において、地方公共団体独自のセキュリティ対策が規程されており、ネットワーク環境の分離・分割がなされている。医療機関においては、3省2ガイドライン(厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」経済産業省・総務省「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」があり、インターネット接続において高度なセキュリティ対策が求められている。
「cotomi」であれば、オンプレミスによる専用ハードウェア(NEC Generative AI Appliance Server)での提供も可能となる。

行政機関向け生成AI活用に向けて

1:コンセプト

行政機関では人口減とこれに伴う労働人口減による税収の減少が顕著となり、公務員定数が減少、新卒職員を採用できなくなることで相対的に職員の高齢化が進むことが予想されている。しかし人口が減少したとしても行政職員の事務量は極端に減ることはないため、将来的に行政機関では少人数かつ高齢の職員で今まで同様の事務をこなすことが求められる。また、この課題解決策の一つと言われる「行政手続きのデジタル化」においては、スマートフォンなどのデジタルデバイスに不慣れな高齢者のサポートを行政職員が行う場合、逆に事務量が増加する可能性があるとも予想されている。

このように増大が予想される職員負荷を下げるために、「行政職員をサポートするAI」が注目されている。

例えば、法令の書籍を調べる代わりに「法令を学習したAI」が法令に準拠した文書案を作成してくれる、「ベテラン職員の知見を学習したAI」が異動して間もない職員に向けて住民向け文書案や決裁用文書案を作成してくれるなど、多くの事務において、AIで行政職員をサポートできると考えている。更に、様々なデータを活用した政策立案支援(Evidence-Based Policy Making:EBPM)など、高度な企画事務への活用も期待できる。

2:想定事例

※一例


医療機関向け生成AI活用に向けて

1:コンセプト

日本の65歳以上の高齢者人口は、2042年のピーク時には3,935万人(高齢化率36.1%)まで増加することが予測されている。医療費に目を向けると下図のように、高齢になればなるほど一人当たりの医療費が上がっていく傾向があることがわかる。このことから今後の日本は、高齢者率の増加より医療機関の負担が増えることが容易に想像できる。


年齢階級別1人当たり医療費(令和元年度)(医療保険制度分)(出典:厚生労働省ホームページ )

また、医療従事者の長時間労働も課題となっています。この対策として、2024年4月から医師の働き方改革の一環で、法改正により「時間外労働の上限規制」と「健康確保措置の適用」などの対策を政府が進めている。このような状況を整理すると、少子高齢化による患者数の増加に伴い、医療従事者が不足する可能性があるという医療機関の課題は、社会全体の課題とも言える。

下図はNECが某医療機関の耳鼻咽喉・頭頚部外科の外来・病棟における1か月間の医師の業務割合を調査したもの。ここからわ医師の労働時間削減には、「医療文書作成」と「記録」を支援する機能が有効であるとわかる。


医師の1か月間の業務割合

これらの課題の解決策として、「医療従事者をサポートするAI」が注目されている。例えば、医師の負担が大きいといわれる退院サマリー作成支援において、退院サマリーに記載するために必要な情報を電子カルテからAIが把握し、適切な規約に沿って退院サマリーの下書きをAIが支援してくれるなど、AIによって医療従事者の負担を軽減することが可能となる。

2:想定事例

※一例

NECは生成AIの活用を通じて、行政機関および医療機関の業務効率化・高度化に引き続き取り組んでいくとしている。

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ロボスタ編集部

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