NEC、三井住友海上の社員向け生成AIチャットツールに損保業務の専門的な照会応答機能を追加

NECは2023年10月25日から三井住友海上の全社員が利用する生成AIチャットツール「MS-Assistant」に生成AIが損害保険の商品規定や事務手続ルールに関する照会等を自動で回答する照会応答機能を開発し、機能を追加したとを発表した。

両社は、最先端の生成AIテクノロジーの活用により、業務プロセスを変革し生産性向上と新たな提供価値の創造に取り組んでいくとしている。

生成AIチャットツール「MS-Assistant」を全社員が利用できる環境を整備

三井住友海上では、2023年5月17日に情報セキュリティの安全性を確保した生成AIチャットツール「MS-Assistant」を全社員が利用できる環境を整え、「Azure OpenAI Service」を通じて、GPT4を活用した文章作成・校正、翻訳、ブレインストーミング、プログラミング等の一般的な業務に活用している。

損害保険業務の専門知識を必要とする照会への対象範囲拡大に向け、NECのソフトウェア「NEC Generative AI Framework」を活用し技術検証を進めた結果、専門知識が必要とされる商品・事務手続マニュアル等の複雑なドキュメントを参照した回答を自動生成する機能においても高い精度を確認できたため、「MS-Assistant」に機能を追加し、2023年10月25日から全社員で利用を開始した。


取組の概要

検索AIと生成AIを組み合わせた対話型AIを構築し、自動車保険の商品・事務手続マニュアルを学習することで、専門知識を必要とする照会への回答を自動生成する機能を開発。また、「MS-Assistant」による回答内容へのフィードバック入力機能や、社員からの改善要望窓口を設置し、利用ログの分析による回答内容の精度向上や対象範囲の拡大につなげていくとしており、これらの機能を活用することで、マニュアルを調べるといった内務的な業務を効率化し、補償前後のソリューション等、新たな価値をお客さまにお届けする業務に注力していくことが可能となる。

なお、三井住友海上ではハルシネーション(AIが事実と異なる情報を回答する現象。生成AIを活用する上で注意すべき生成AIの特徴の一つ)等の生成AI特有のリスクを踏まえた利用ルールを、全社員向けの情報管理研修等で周知することで適正な利用を徹底している。


今後の展望

三井住友海上は、照会業務の効率化や顧客対応の品質向上に向けて、保険約款やFAQ等の学習データ追加による機能拡充を図っていくとしている。また、保険代理店システムにおける生成AI活用検討も進めていく。

さらには、既に三井住友海上も参加している、NECと顧客が共に生成AI活用を促進するプログラム「NEC Generative AI Advanced Customer Program」を通じて、より業界に特化した専門的なLLMの導入等も協議していることを明らかした。

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ロボスタ編集部

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