生成AI活用の自動運転開発のチューリング、30億円の資金調達を実施 ドコモやヤンマー、みずほ系などVCらが出資

生成AIを活用した完全自動運転車両の開発に取り組むTuring株式会社(チューリング)は、独立系ベンチャーキャピタルANRIをリード投資家とした複数のベンチャーキャピタル、事業会社、個人投資家からの出資により、プレシリーズAラウンドの前半として30億円の資金調達を実施したことを発表した。


マルチモーダル生成AI「Heron」を活用

チューリングは、カメラから取得したデータのみでステアリング、ブレーキ、アクセルなど、運転に必要なすべての判断をAIが行うE2E(End-to-End)の自動運転開発に取り組むスタートアップ企業。


自社開発の世界を理解するマルチモーダル生成AI「Heron」を活用することで、走行データに存在しない状況でも倫理的に対応可能なシステムを構築し、ルールベースでは到達困難なレベル5の完全自動運転実現を目指す。


資金は大規模GPUクラスタの構築や「Tokyo30」の実行などに活用

今回調達した資金は、Heron専用の計算基盤として年内の稼働開始を予定している大規模GPUクラスタ「Gaggle Cluster」の構築や、2025年に人間の介入なしで都内を30分間走行できる自動運転システムを開発するプロジェクト「Tokyo30」の実行、および、上記取り組みを加速させるMLエンジニアを中心とした人材採用に使用する。これにより、同社はエンジニア一人あたりが使用できる計算資源において国内トップクラス(2024年4月時点 同社調べ)となるという。

同社は「今後も、技術で世界を前進させるために、生成AIを活用した完全自動運転の開発に取り組んでいきます」とコメントしている。


投資家からのコメント(アルファベット順)

ANRI 株式会社 代表パートナー 佐俣アンリ氏・Principal 丸山太郎氏
かのアラン・チューリングが言いました。“We can only see a short distance ahead, but we can see plenty there that needs to be done.” 自動運転Level 5の社会実装、気が遠くなるほど困難で全く先が見えない挑戦です。しかし、創業から3年弱走り続けた結果、次に超えるべき山は見えていて、今はその山を全力で登るだけ。どれほど「無理だ、不可能だ」と言われようが、決して諦めることなく常に上を狙い続けるTuringをANRIは全力で応援します。

株式会社デジタルハーツホールディングス 代表取締役社長CEO 筑紫敏矢氏
昨今AIの進化は目覚ましく、そう遠くない将来、完全自動運転も実現するでしょう。このような状況のもと、今後も日本の自動車が世界的に高い競争力を維持するためには、国内で完全自動運転技術の開発をすることが非常に重要です。チューリング社は、“AIをベースとした完全自動運転化のパラダイムシフトを起こす”という熱い情熱と、それを実現可能にする高い技術力を持つ優秀なエンジニアが在籍しており、日本の自動運転技術開発に新たな風を起こしてくれるのではないかと非常に期待しています。我々デジタルハーツホールディングスも、アノテーションをはじめ様々なソリューションを提供することで、日本発の完全自動運転の実現を力強く後押ししたいと考えています。

DIMENSION株式会社 ビジネスプロデューサー 家弓昌也氏
創業時から有言実行で開発マイルストーンを達成されてきた経営陣の実行力と、事業の魅力に惹かれ優秀な人材が集結されている様子を踏まえ、前回のシードラウンドに引き続き、追加出資をさせていただきました。米国や中国で自動運転車を手掛けるスタートアップが続出する中、Turingはそれを超えて、日本の技術で、より便利かつ安全な車社会を実現されようとしています。今後も、高い目標に向け力強く前進されることを期待しています。

未来創造キャピタル株式会社(みずほリース株式会社CVC) 代表取締役社長 竹内信房氏
Turing様の目指すルールベースではなく生成AIを活用した完全自動運転の実現は、非常に難易度の高いチャレンジであるものの、創業者や多くの優秀なメンバーとお会いする中で、Turing様なら実現できると確信いたしました。Turing様の技術により、完全自動運転の社会実装が進展していくことを大いに期待しております。みずほリースCVCファンドを通じて、Turing様に出資参画できる機会を得たことを⼤変嬉しく思います。

みずほキャピタル株式会社 投資第6部 インベストマネージャー 園田利弥氏
自動運転に関する研究はこれまでも多く実施されてきましたが、Turing様は従来のルールベースによるアプローチとは異なり、生成AIを活用することで完全自動運転を実現しようとされています。簡単な道のりではないと思いますが、素晴らしい経営チーム、チームメンバーの方々が集まっているTuring様であれば、必ずハンドルのない車を作ることができると信じ、今回出資させていただきました。みずほグループとしてもこの壮大なチャレンジに少しでも貢献出来るよう、全力でご支援させていただきます。

株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ Director 雨宮大地氏
日本の基幹産業である自動車産業がCASEの流れで海外勢優位に進む中、移動サービスの破壊的イノベーションともいえる完全自動運転に、日本企業として本気で取り組む山本さん、青木さん、田中さんの熱意に惹かれ、今回出資をさせていただきました。私が青木さんと初めて出会った2022年夏当時、新川崎のラボで市販車の解析をしていたところからすさまじいスピードで開発が進むのを目の当たりにし、私はチューリングならきっと完全自動運転を実現できると信じています。NTTおよびNTTドコモグループとしても、今回の出資を通じてチューリングの皆様とともに完全自動運転による新たな価値創造に挑戦し、世界の景色を変えていければと思っています。

ヤンマーベンチャーズ株式会社 シニアキャピタリスト 野田晴彦氏
この度、弊社の運用する2号ファンドからの第一号出資案件として、チューリング社のプレシリーズAラウンドに参画できたことを大変喜ばしく、そして光栄に思っています。チューリング社ほどの大きな志を掲げるスタートアップは国内外を見渡してもそう多くなく、最初にお話をいただいた時から是非ご一緒できれば、と思っておりました。山本CEOはじめとする経営陣に率いられた素晴らしいチームは、実現が困難とされる完全自動運転に最も早く辿り着くポテンシャルをお持ちであるものと確信しています。この領域のリーディングカンパニーとして世界を牽引していかれることを、期待しております。

Z Venture Capital株式会社 インベストメントマネジャー 内丸拓氏
”日本株式会社”の本丸、自動車産業に新風を吹き込むTuringの挑戦にご一緒できる機会を頂き、とても嬉しく感じるとともに、心からワクワクしています!私のようなペーパードライバーでも、安心して運転ができる世界をTuringが作ってくれることを楽しみにしています。ZVC一丸となって全力でサポートしていきます!

ABOUT THE AUTHOR / 

ロボスタ編集部

ロボスタ編集部では、ロボット業界の最新ニュースや最新レポートなどをお届けします。是非ご注目ください。

PR

連載・コラム