ストアロボット「Armo」のMUSE、5.7億円の資金調達 ベルク店舗で6月より稼働開始

株式会社MUSEは、VCと事業会社、金融機関11社より総額5.7億円の資金調達を実施したことを発表した。みずほキャピタル、三菱HCキャピタル、東芝テックなどが名前を連ねる。MUSEはこの調達資金を活用し、ストアロボット「Armo」(アルモ)のサービス展開を加速する考え。

また、店舗内での「Armo」の運用検証を2023年12月から行ってきた株式会社ベルクが、検証の成果をもとに2024年6月より埼玉県の和光西大和店や北坂戸店にて、通常オペレーションでのArmoの稼働を開始することも発表した。


資金調達の概要

VC/事業会社/金融機関
エクイティファイナンス
・インキュベイトファンド株式会社(2度目の追加出資)
・XTech Ventures株式会社(2度目の追加出資)
・農林中金イノベーション投資事業有限責任組合(運営者:グローバル・ブレイン株式会社)
・Spiral Capital株式会社
・東芝テック株式会社
・キャナルベンチャーズ株式会社
・三菱HCキャピタル株式会社
・みずほキャピタル株式会社
・山口キャピタル株式会社

デットファイナンス
・日本政策金融公庫 (資本性ローン)
・株式会社みずほ銀行 (プロパー融資)


ストアロボット「アルモ」とは

Armoは、物流・製造業や小売店舗向けに開発された自律移動ロボット。コンパクトで低コスト、そして最大の特徴は、店舗内で複数の拡張ユニットに接続し、マルチユースで活用できること、としている。


店舗内で必要な日々の業務である「品出し」「売り場管理」「顧客対応」といったそれぞれのユースケースに対応するだけでなく、商品棚を中心とした売り場の貴重な情報をデータベース化し、解析するといった、幅広いマーケティング活動にも活用できるロボットで、小売店舗に「新しい店舗体験を提供する」ロボットとしている。



2023年11月に、大手食品スーパーマーケットチェーン「ベルク」が店舗で先行導入を開始した。下記はその時のリリース発表より。


小売店舗の環境、オペレーションに最適化された製品設計

これまで倉庫や工場の中ではAGVやAMR、飲食店では配膳ロボットといった各種搬送ロボットは導入が進んできた。しかし、日本含め海外においてもスーパーマーケット、ホームセンター、ドラッグストアなどの小売店舗において日常的に稼働しているロボットはほとんどない、としている。
一方、小売企業も深刻化する人手不足や人件費の高騰の影響を受けており、店舗内の品出し作業などの省人化ニーズは強い。それでもロボットを導入できない背景は、小売店舗固有の環境及びオペレーションに起因する。
具体的には、1.通路に買い物客が多く通行する、2.通路幅が狭い、3.店内にロボット誘導用のラインやマーカーの設置が困難、といった環境制約に対し、4.多様な重量や形状の商品を搬送し、5.マルチタスクで作業するスタッフを柔軟にサポート、しなければならないというオペレーションの両立が必要となるため。

仮に活用できたとしても、買い物客のいない営業時間外、などでその限られた時間内では費用対効果を確保することが難しい、ということが一般的だった。そこで、同社は小売店舗のそのような特徴に最適化したロボット「Armo」を設計し、環境及びオペレーションの両面に配慮したソリューションを実現する。


品出し搬送の自動化によって1.5倍の作業生産性の改善

「Armo」を活用したオペレーションでは、店舗内で行われる品出しなどの搬送作業は自動化される。さらに、バックヤードでの商品の積み替え作業や店内での陳列作業はスタッフがそれに専任化することで、習熟も早くなり生産性も向上する、としている。(下図:作業フロー参照)


実証実験を行った「ベルク」では、品出し作業の約1.5倍の作業生産性の向上につながることが分かった。ベルクのオペレーション部門責任者から、「Armoの利点は、店舗環境に走行が最適化され、既存のロボットに対して導入しやすいこと、また効果のポイントが分かりやすく、導入コストも魅力的です。やっと店舗で従業員と協働できるロボットが出てきたな、という感じです。」との評価を得たという。





人とロボットが共存できる社会を目指して

MUSEは「店舗に最適化したロボットで、人とロボットが共存できる社会」の実現を目指している。
コロナ禍により、社会には大きな変化があった。また、加速する労働人口の減少を背景に、物流・製造業を中心に完全自動や無人化を目的としたロボットの普及が進んできている。一方で、ロボットがより一般の人々と近い場所で活躍するうえで重要なのことは『ロボットを使う人々がどう変わるか』だと同社は考えている。

そこで、本来の人間が持つ力、創造性やひらめき、やさしさ、他者とのコミュニケーションなど、日々の暮らしのなかで欠かせない要素を何よりも大切にしつつ、人々にインスピレーションを与えるのがストアロボット「Armo」を開発した。

関連サイト
MUSE 公式サイト

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ロボスタ編集部

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