佐川急便・セイノーHDとT2、日本初のレベル4自動運転トラックの物流輸送を2027年に実現へ 東京・大阪間の高速道路で実証実験

株式会社 T2と佐川急便株式会社、セイノーホールディングス株式会社は、2024年10月から2025年6月にかけて、T2が開発した自動運転トラックを用いて幹線輸送の実証実験を、東京・大阪間の一部高速道路区間で実施する。この取組みは、レベル4自動運転トラックによる幹線輸送実現に向けての大きな一歩となると期待されている。

左から、佐川急便 取締役 枝川和弘氏、セイノーホールディングス 執行役員 河合秀治氏、T2 代表取締役CEO 森本成城氏


2027年にレベル4自動運転トラックで幹線輸送の実現へ

いわゆる「2024年問題」として、トラックドライバーの労働時間見直しに伴うトラック輸送能力の低下が社会課題になっている。国の試算によると2030年には34.1%の輸送能力が不足すると言われている。

佐川急便・セイノーHDは、持続可能な物流の実現に向け、陸送を長距離フェリーや鉄道に置き換えるモーダルシフトの推進、ラストワンマイルでのAIによる配送ルート提案等、課題に対し様々な施策を講じている。また、T2は自動運転トラックの技術開発を行なっていて、2024年6月21日には新東名高速道路で公道実証実験をおこない、自動運転車優先レーン予定区間である駿河湾沼津SA-浜松SA間の116kmを連続自動走行(ドライバー未介入)で走行することに成功している。

自動運転で走行中の様子(新東名高速道路)

佐川急便・セイノーHDとT2が連携し、運送オペレーションノウハウと自動運転技術を融合することにより、新たな運送モデルを創造。2027年にはレベル4自動運転トラックを活用した幹線輸送の実現を目指す。

佐川急便の物流拠点を出発するT2の自動運転トラック(冒頭の写真はセイノーHDの物流拠点に到着するT2の自動運転トラック)


持続可能な物流を実現したいという3社の想いが結集

「幹線輸送」(路線便)とは、周辺エリアの大量の荷物を集めた拠点から、他のエリアの集積拠点まで大型トラックなどで荷物を大量輸送すること。
幹線輸送は経済や国民の生活を支える大動脈だ。今回の実証実験は、持続可能な物流を実現したいという3社の想いによって実現した。様々な条件下の公道において、運送事業者の佐川急便とセイノーHDの荷物を輸送することで、将来の事業化に向けた知見の獲得や改善点の洗い出しを目的としている。
また、今回の実証実験をきっかけに自動運転トラックでの幹線輸送実現に向けた協議会の設立も今後検討する予定だ。


実証実験の概要

●期間:2024年10月~2025年6月
●場所:東京~大阪間
 東名高速道路
 新東名高速道路
 伊勢湾岸道
 名神高速道路
 新名神高速道路
 京滋バイパス
●参加企業
 株式会社T2 
 佐川急便株式会社
 セイノーホールディングス株式会社
●実証内容
・トラックレベル4自動運転に向けた高速道路上での自動運転
・貨物を積載した幹線輸送における自動運転の路線検証
※すべての実証実験はドライバー乗車の上、レベル2相当と自動運転で行う。


各代表者によるコメント

T2 代表取締役CEO 森本成城氏

森本成城氏

今回の実証は、2025年の事業開始に向けた重要なステップです。「日本の物流を共に支える」という大義に共感頂き、素晴らしいパートナーと共に自動運転技術を活用した未来の物流に向けたチャレンジができること大変嬉しく思います。今後、セイノーHD・佐川急便と共に自動運転トラックでの幹線輸送実現に向けた協議会の設立を目指しておりますが、本取組みを加速化させるべく、自動運転トラック幹線輸送に関わる幅広い業界の方々からの御賛同・御参画を切に願っております。

佐川急便 取締役 輸送ネットワーク・施設投資担当 枝川和弘氏

枝川和弘氏

物流業界においてドライバー不足により輸送能力が不足すると懸念されている中で、自動運転トラックは有力な輸送力確保手段と考えています。官民でのインフラ整備計画も進んできておりますので、実証実験による知見の獲得と社会からの認知が加わり、自動運転トラックによる輸送が早期に実現されることを期待しています。

セイノーホールディングス 執行役員 オープンイノベーション推進室室長 河合秀治氏

河合秀治氏

当社では、2024年問題や環境問題等の社会課題に対し、オープン・パブリック・プラットフォームの概念のもと、中長期の経営方針として『Team Green Logistics』のスローガンを掲げ、ロジスティクス・貸切・特積みの3つの領域を中心として他社連携に取り組んでいます。このような中、T2様・佐川急便様と共に実証実験に挑めることは、持続可能な物流を実現し、お客様の繁栄に貢献できると考えており、今般の連携を大変光栄に思います。

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ロボスタ編集部

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