対話型AIキャラクターがシニア向け介護施設の入居者の話し相手に 長野県内7施設で実証実験を開始

ソーシャル・ネットワークは、運営するシニア向け介護施設に対話型AIキャラクターを導入する長野県初(ソーシャル・ネットワーク調べ)の実証実験を2024年6月から開始した。

今回の実証実験は対話型AIキャラクターを活用し、介護分野における深刻な「2025年問題」「2035年問題」を解決することを目指しており、茅野市、諏訪市、塩尻市、松本市、安曇野市に所在する7施設で実施している。


介護現場へのAI活用の可能性を探る

介護業界は急速な高齢化による「2025年問題」と、人口の3割以上が高齢者となる「2035年問題」に直面し、さらなる人材不足が進み、十分な介護サービスの提供が難しくなることが予測される。今回の実証実験では、対話型AIキャラクターが将来的に介護サービスの維持に貢献できるかどうかを探るのが目的であり、その第一歩として、入居者の話し相手として対話型AIキャラクターを導入し、被介護者、介護スタッフ、施設運営者の以下の課題解決を目指すとしている。

被介護者:対話機会の増加による認知機能の改善と健康促進

介護スタッフ:業務負担の軽減による労働環境の改善

施設運営者:人手不足によるサービス低下の解消



高齢者に寄り添う存在としてのAIキャラクター

対話型AIキャラクター開発は、東京のイノベーションファームであるmigak LLCが担当。

今回の実証実験では、女性キャラクターを開発し、長野県に関する情報など、会話を楽しむための情報をインプットしており、入居者との自然な会話を実現し、親しみやすい見た目と合わせて、高齢者に寄り添う存在として活躍できるよう設計されている。


対話型AIキャラクターと入居者の会話の一例

キャラクター: 「こんばんは!元気ですか?」

入居者: 「みんな元気があって、みんなが元気です」

キャラクター: 「それは素晴らしい!何か最近、楽しかったことがありましたか?」

入居者: 「〇〇さんが毎晩、食後に歌を歌ってくれます」

キャラクター: 「それはとても素敵ですね!地元の文化に触れられて、リラックスできる時間も過ごせて良いですね。」


今後の展望

今後は、センサーや入居者の個人データとの連携も視野に入れ、個々の入居者に合わせた会話を成立させることで会話の質の向上を図るとのこと。また、見守り機能やレクリエーションへの活用も検討し、真に介護現場で活躍できる対話型AIキャラクターを確立し、介護業界の課題解決に貢献することを目指す。

ソーシャル・ネットワークは2006年よりシニア向け介護施設の運営を開始。介護施設が住みやすく、働きやすい場所になることを目指し、積極的に先進テクノロジーの活用に取り組んでおり。2023年には見守りロボットを導入した。


コメント

株式会社ソーシャル・ネットワーク 代表取締役 對馬純一 氏

私たちの施設では、常に最先端の技術を取り入れ、利用者の皆様に最高のケアを提供することを目指しています。今回の対話型AIキャラクターの実証実験は、その一環として非常に重要なステップです。この技術が利用者の皆様と介護スタッフの双方に大きな効果をもたらすことを期待しています。このような先進的な取り組みを通じて、介護業界全体の課題解決に貢献できることを心から願っています。


長野大学大学院 総合福祉学研究科 研究科長 中村英三 教授

人材不足を補うためにAIやロボットの活躍が求められています。認知症や高齢者、障がい者を含む多くの方に対話型AIキャラクターは効果的であり、この先進的な取り組みが介護業界の課題解決に繋がることを願っています。学生たちも非常に興味を持っていました。彼らは将来順応し、新たな可能性を開いていくことを期待しています。


ABOUT THE AUTHOR / 

ロボスタ編集部

ロボスタ編集部では、ロボット業界の最新ニュースや最新レポートなどをお届けします。是非ご注目ください。

PR

連載・コラム