KDDIと「B.LEAGUE」所属の富山グラウジーズがロボットを活用した実証実験 運営の省人化・体験価値向上を目指す

KDDIは2024年12月14日、プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」のB2リーグに所属しているプロバスケットボールチーム、富山グラウジーズのホームアリーナである富山市総合体育館において、3種類のロボットを活用した運営業務の省人化と本アリーナの体験価値向上を目指す実証実験を実施した。

会場運営スタッフの不足が喫緊の課題

国内では、2030年にサービス業を中心に644万人の労働力が不足すると推定されており、また、プロスポーツクラブでは、試合日の来場者対応などの会場運営に従事するスタッフの不足が喫緊の課題となっている。

特に試合当日は、来場者数の増減などによりスタッフの業務の量や対応内容が変動するためスタッフ一人当たりの負担が大きくなり、提供するサービス品質の低下を招く懸念があった。

運営業務の省人化と体験価値向上につながることを確認

今回行われた実証実験では、人に代わり、自律走行型かつ大型ディスプレイ搭載の案内誘導ロボット、AIカメラで表情を認識し来場者に合ったカクテルを提供するロボット、AIカメラで表情とカクテルを認識し最適なおつまみを提供するロボットの3種類の最新ロボットを活用することで、本アリーナの運営業務の省人化と体験価値向上につながることを確認した。

また、デジタルチケットサイトを通じて、事前に飲食物の注文と決済ができるサービスを提供し、本アリーナの混雑緩和と飲食物の在庫リスク解消にも取り組んだ。

なお、KDDIは2024年9月26日、富山グラウジーズと協業契約を締結し、本アリーナでの体験価値向上による平均来場者数の増加と、企業・地域との共創促進による賑わいの創出を目指している。

実証実験について

日時

対象試合:2024年12月14日 (土) 富山グラウジーズ対ライジングゼファーフクオカ
実施時間:15:00~17:35

実証概要

1:省人化よび体験価値向上に向けた3種類のロボット活用
本アリーナの来場者の案内誘導から飲食提供までを3種類のロボットが実施



案内ロボット
来場者を本アリーナ入口から飲食ブースへの案内誘導



カクテルロボット
AIカメラで来場者の表情を読み取り、全24種類のレシピ中から、来場者に合ったカクテルをロボットがその場で作り提供



乾杯ロボット
ロボットが飲み物を片手に持ち、来場者と乾杯。さらにAIカメラで来場者の表情を読み取り、7種類のおつまみの中から、来場者の気分に最適なおつまみをロボットが選び提供


2:デジタルチケットサイトの活用

デジタルチケットの注文画面

デジタルチケットのサイトから、飲食物提供の時間帯別体験チケットを事前に申し込めるサービスを提供

実証の成果

・人に代わって、3種類のロボットが約200名の来場者の案内誘導、飲食物の調理、提供を行い、省人化を実現することに成功。

・表情を認識して最適なカクテルを提供するロボットなど、最新のロボットを活用し、来場者の体験価値向上に貢献。当日実施した満足度評価アンケートで、回答者の約70%が「非常に満足」もしくは「満足」と回答。

・ 試合当日のロボットの体験にかかる待ち時間を平均約5分以内に短縮。これにより、来場者は行列に並ぶことなく、スムーズにロボットの体験ができたことを確認。

・試合の1日前までに注文を受けることで、商品の需要量を適切に把握することができ、従来に比べ、効率的な在庫管理・運営オペレーション最適化を実現。

各社の役割

富山グラウジーズ:実施施策の検討、試合日の試合会場における施策の運営

KDDI:本実証の企画および推進、公式アプリ・デジタルチケットシステムの提供および運用、ロボット向けネットワーク回線の提供

富山グラウジーズ 代表取締役社長 高堂孝一 氏 コメント

富山県において、人口の減少や高齢化は大きな課題となっております。このような課題解決のため、ホームゲーム会場でAIやロボットを使うことで省人化につながる取組を実施でき、よかったと考えております。今回の実証結果を踏まえて、KDDIのサポートを受けながら、今後もよりよいサービス提供を実現していきたいと考えています。


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ロボスタ編集部

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