身長4mの柔らかい巨神が万博で動き出す!神秘性と安全性を両立、未来感あふれるニューマティックロボ体験レポート

アスラテック株式会社は「2025年日本国際博覧会」(大阪・関西万博)の会場にて、2025年9月16日(火)~9月28日(日)の13日間にわたり「未来のロボット展 Geared by V-Sido(ブシドー)」を開催する。

この展示会では、初公開を含む5体のロボットが登場。その中で巨大ロボットのひとつとして展示されるのが、身長約4m、柔らかな素材を用いたニューマティックロボット「HL-ZERO」だ。巨大な外観ながら重量はわずか約200kgと超軽量。

ニューマティックロボット「HL-ZERO」。4mの巨神が動き出す

デザインは「マクロス」や「ガンダム」シリーズ等、多くの関連作品でメカニックデザイナーやイラストレーターとして活躍している天神英貴氏が担当。開発には、アスラテックの吉崎航氏が手がけたロボット制御システム「V-Sido」を活用し、安全かつ高精度な動作を実現している。ベース技術にはエアー着ぐるみを応用、ピアニジュウイチと連携した。

「HL-ZERO」の圧倒的な存在感。その巨大さに圧倒されると同時に神々しさを感じる


制御にはアスラテックの「V-Sido」を採用し、全身(腕、首、腰など)を動かすことができる

柔らかい素材を使用しているため、巨大ロボでありながら、触れあうことができる(事前の内覧会での様子。万博の展示で触れるかは不明)

骨組みは強度を確保しつつ、可能な限りコンパクトに設計。サーボモーターも小型のものを採用している。


新境地「ニューマティックロボット」を提案

今回展示される「PNEUMATIC BOT(ニューマティックロボット)」は、空気で形をつくり、骨組みで動かすという新しいコンセプトのロボットだ。

従来、ピアニジュウイチとアスラテックはコミカルで可愛らしいエアー着ぐるみを展開し、触ったり抱きしめたりできる“柔らかいロボット”を公開してきた。

コミカルで可愛らしい「ニュースケ」。触れあえる柔らかいニューマティックロボット

そのコンセプトを発展させて「柔らかい可動する巨大ロボット」という新境地を展開、世の中に驚きと感動を届けるプロジェクトとして「HELIOSLIVE(ヘリオスライブ)」を立ち上げた。


天神英貴氏はデザイナーとしてだけでなく、天神氏の様々なイベント演出ディレクターとしての実績と経験を活かし、ヘリオスライブのショーディレクターとして魅せ方も担当する。こうして、天神英貴氏、アスラテック、ピアニジュウイチの3者連携が実現した。


今後はさまざまなIPとの提携も想定されており、想像するだけで胸が高鳴る。(背中の2本の腕は翼のようにも見える…)



バイラテラルシステム制御対応「V-Sido」で高精度かつ安全に

万博会場での「HL-ZERO」は、自動デモ動作と遠隔操作のハイブリッド仕様で展示予定。遠隔操作には人の上半身のような、独自の形状のコントローラを使用する。


制御には、「動くガンダム」や「クラタス」、巨大4足歩行ライド「SR-02」、変形マクロスロボ、けものフレンズ「アライさんロボ」など数々の実績を持つ「V-Sido」を搭載。危険な姿勢を回避する自動制御機能や、トルク(力加減)の最適化により、安全で安定した動作を可能にしている。


巨大な体を持ちながら、圧縮空気を利用するニューマティック方式により外装は超軽量。その動作には一定のトルクが必要だが、大型サーボを用いると外装破損の恐れがあるため、小型で廉価なサーボを採用。軽量化と十分な駆動力を両立している。

■公式動画




「HL-ZERO」はデザインも魅力

「HL-ZERO」の大きな魅力の一つがデザインだ。未来感を漂わせながらも、一見するとロボットには見えないフォルムを採用。目や表情を持たないことで、見る人に「もしかしたら意思があるのでは」と想像させる、心を読み取れないミステリアスな存在感を備えている。

V-Sidoの開発者、アスラテック株式会社 チーフロボットクリエイターの吉崎航氏(左)と、メカニックデザイナーやイラストレーターとして知られる天神英貴氏

デザインを手がけた天神英貴氏は、「ただ立っているだけでも神秘性を感じさせる、スタチュー(彫像)としての魅力も意識しました。また、このニューマティックロボットのコンセプトは、将来的にさまざまな展開を想像できるものです。低コストでの実現性も考慮しながらデザインをまとめました」と語ってくれた。


また、デザインのモチーフについては「当初は多くの案を検討しました。例えば、4mの怪獣を見ても今ではあまり驚かないでしょう。怪獣は巨大である、という既成概念があるからです。しかし、身長4mの人間が目の前に現れたら、誰でも驚きますよね。だからこそ『巨大な人間が柔らかく動き、しかも安全に触れることができる』という、これまで存在しなかったコンセプトを意識しました」と説明してくれた。

■身長4mのニューマティックロボット「HL-ZERO」を万博で公開!(ロボスタ)


展示期間は9月16日~9月28日

展示期間は2025年9月16日(火)~9月28日(日)の13日間。場所は万博会場、未来社会ショーケース事業における「スマートモビリティ万博」の一環として実施される「ロボットエクスペリエンス」で、「未来のロボット展 Geared by V-Sido」として開催(アメリカ館、フランス館のとなりにあるロボット&モビリティステーション)。この展示では、「HL-ZERO」を含むロボット5体を展示する。

この展示会は、アミューズメント、モビリティ、建設など幅広い分野でロボット開発に携わってきたアスラテックが、「人に寄り添う未来のロボット」をテーマにした複数のコンセプトロボットを公開するもの。展示するロボットは、いずれもアスラテックが開発するロボット制御システム「V-Sido」で駆動する。「HL-ZERO」および「ハルモニア・コンパス」は、この展示会が初の一般公開となる。

● 「HL-ZERO」
● 「SR-02 Ver. GOI」
● 「BALGOI」
● 「ハルモニア・コンパス」
● 「にゅーすけ」
関連記事「巨大ロボ含む5体のロボットを展示、アスラテック「未来のロボット展 Geared by V-Sido」大阪・関西万博会場で開催

天神氏、アスラテック、ピアニジュウイチがニューマティックロボットで新境地を切り拓く

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神崎 洋治
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神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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