ヴイストン株式会社は、株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)と共同で、柔らかい毛皮素材で構成され、自動対話や遠隔対話を通じて着席者とコミュニケーションを行うロボット「未来の椅子」を試作した。本試作品は、大阪市此花区夢洲で開催中の2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)における「大阪のものづくり おもろいミライ展」にて展示される。
会話と触れ合いを実現する新たなロボットシステム
「未来の椅子」は、可愛らしいクマの外観を持つロボットシステムである。遠隔対話や自動対話のシステムを搭載し、着席者と会話が可能だ。さらに、着席者を優しく抱擁できる腕部の可動軸を備え、会話に加えて物理的な触れ合いを通じたコミュニケーションを実現している。
本ロボットは、ATRが開発した人を抱きしめて頭を撫でるロボット「Moffuly-II」から派生した試作品である。ヴイストンはATRと共同で「人とロボットとの触れ合い」に関する研究を推進し、オープンプラットフォーム化を目指す取り組みの一環として本試作を行っている。
椅子形状がもたらす高い実用性
ロボットシステム全体を椅子の形状にしていることが主な特徴。スピーカーやマイクは着席者の耳元近くに配置され、椅子に座ったまま自然な姿勢で会話が可能だ。椅子形状のため設置場所や運用方法に制限が少なく、公共施設などでの設置・運用も視野に入る。
また、本試作品は研究・開発用途を想定しており、触れ合いを伴うコミュニケーションの研究に活用できる。特に子供の学習意欲など非認知能力に関する研究で、通常困難な身体接触を伴うアプローチが可能となり、研究の深化に貢献する。
将来的な研究プラットフォーム
この先国内外のコミュニケーション研究のためのプラットフォームとなることを目指すとしている。多くの研究者や企業が利用できるオープンプラットフォーム化により、触れ合い研究の活性化に寄与する見込みだ。
万博での展示
本試作品は2025年9月5日(金)から7日(日)まで大阪・関西万博 ギャラリーWEST「大阪のものづくり おもろいミライ展」にて展示される。