3月22日、デジタルハリウッド サービスロボティクス専攻の授業が行われました。今回の講師は谷口直嗣さん。講義内容は「ロボット共生社会のクリエイター像とHuman Robot Interactionとは?」です。
谷口さんの自己紹介です。
谷口さんは、ナブラというCGスタジオでR&D業務を行っており、例えば3Dや画像などのインハウス向けツールの開発を行っていました。
谷口さんが開発した画像エフェクトや液体シミュレーターのツールを、デザイナーは想像を越えた使い方をしていたそうです。その時に新鮮な驚きを感じたと共に、面白さも感じたそうです。
その後、ゲームやコンテンツ企画開発を行うフリーランス(現業)となりました。
今回のロボティクスアカデミーが開催されるキッカケは、数年前にFacebookにアップしたこのNAOの写真でした。
NAOのSDK(Choregraphe)を初めてみた時、谷口さんはこう思いました。
CGといえばデジタルハリウッドだろうと考え、知り合い経由でデジタルハリウッドの方を紹介してもらい、そこでプレゼンを行って今回の授業が開催されるに至りました。
授業ではその時に使用したプレゼン資料を披露していただきました。
この時期にアトリエ秋葉原でワークショップを開催したこともありました。このときには、ディズニーのアニメーション手法の書籍を教科書にしたそうです。
ロボットの仕事をこう作った
谷口さんが今まで手がけてきた事例を紹介頂きました。
Pepperスケーラー
2015年6月のPepper一般発売の頃、お声がかかってPepper公式アプリの作成を行いました。Pepperの手を頭に乗せて身長を測るというものです。
アプリ作成の話が来た時に、Pepperが人型であることを活かそうと考えました。Pepperが人に触れ合うこと重要視して、Pepperが子供の頭に手を載せて身長を測るというアイデアを考えました。
当時アプリの演出チェックをしていたよしもとロボット研究所の高橋さんから「言葉の最後に動作を合わせると生きた感じになる」というアドバイスをもらい、タイミング合わせのチューニングを相当行ったそうです。
KUKA Robotanica
2015年の国際ロボット展の「KUKA」ブースで披露されたデモです。
KUKAは産業用ロボットのアームメーカー。デモで使用されたロボットアームのLBR iiwaは宇宙ステーションで使われるために開発されました。敏感なトルクセンサが搭載されていて、人がアームに触れても怪我をすることがありません。人と協調する産業用ロボットです。
この時、谷口さんは2つの企画案を考えました。1つは絵かきと一緒にアームが絵を描くというもので、もう1つが人とアームが花を生けていくというものです。製品の特徴と、人とロボットがセッションしている感じを出したいと思い、生け花のアイデアに決めました。
谷口さんはアームがどこの位置に花を生けていくかのエディタを事前に作成し、現場でスタッフの方と相談しながらアームがどこに花を生けていくかを決めていきました。
Pepperだらけのケータイショップ
ソフトバンクロボティクスが期間限定で行ったロボットだけの携帯ショップです。ロボットだけで携帯電話の契約まで行うことを目指したショップで、実際に契約を行うことも可能でした。
接客をPepperが行い、KUKAのロボットアームが商品を渡すというものです。谷口さんが担当したのは、Pepperとアームを繋げる部分とアーム側のモーションです。
スター・ウォーズに登場するC-3POとR2-D2を見てみると、C-3POは喋るけど仕事はしない、R2-D2は喋らないで仕事をするロボットです。作りながら、コミュニケーションロボットと産業用ロボットが協調して仕事をするのがロボットが人間の社会に組み込まれている現実的な姿になるかもしれないと思っていたそうです。
Stopmotion robotics
Stopmotion roboticsは、Mayaの新しい可能性を広げるために、ロボットとの連携をしようと思って作ったものです。2台のロボットアームがブロックの移動とコマの撮影を行い、アニメーションを自動作成するというデモです。
Mayaは3Dアニメ制作ソフトウェアで、CGの空間をオーサリングすることが可能です。空間の位置情報をロボットアームに送ることで、実際の位置空間をオーサリングしています。
また、3次元のカメラワークを人間が行うのは大変ですが、ロボットアームを使うと難しいことが簡単にできます。
KUKAからのテーマは、ロボットと人が協調して作業をするということだったので「ロボットと人間がセッションする」というコンセプトで、デザイナーの人にリアルタイムで演出をいれてもらいました。
作っている過程も面白いので、デモ展示の時に足を止めて見る人もいたそうです。
「ロボットの可能性を他の人と考える Scratch × Pepper (ワークショップ)」
初心者向けのプログラミングツールScratchとPepperの連携のワークショップです。主に小学生が参加者でした。

3時間のワークショップでKinectとPepperを連携させた小学生もいました。このワークショップでは、Pepperと他のものを組み合わせると色々な可能性が広がると感じたそうです。
「ロボットの可能性を他の人と考える Unity × Pepper (ワークショップ)」
Unityを使ってPepperをしゃべらせるワークショップも行いました。
エンタメ業界の人がPepperアプリ開発に入ってくると面白い使い方が生まれるんじゃないかと考え、Unityの開発者にPepperを触らせるワークショップを企画しました。
HoloLens × Pepper
HoloLensで環境の形状を読み取り、物理シミュレーションでPepperのホログラフィックを現実の地面の上にMixed Reality 表示させるのにも最近チャレンジしてみました。
以上が谷口さんが行ってきたロボット仕事です。今までの経験から、谷口さんは「全ては組み合わせ」と考えています。ロボットと色々なモノや人を組み合わせることで何ができるかを考えてきたそうです。
後半では「心理学 × ロボット」と題し、他のプロフェッショナルと考えることについてお話頂きました。
谷口さんが色々なロボットの仕事に関わってきた中で、「人間がロボットにどう思うか」を整理していくと、「人間と人間の関係性を考えること」ではないかと思うようになりました。心理学がロボットアプリケーションを作る際のフレームワークとなりうるのではないかと仮説を立て、心理学の博士にこの話をしてみたところ興味を持ってくれたそう。
ここから心理学を通じてロボットを考えて見るようになりました。
授業では心理学での家族療法の説明や臨床セラピストの事例紹介を行い、そこからロボットとの関係を考えることについてお話を頂きました。
授業は以上です。
質疑応答では以下のような質問が出ました。
・人間との関係を良くするロボットについて興味があります。今日お話頂いた以外に心理学のアプローチでどういうものがありますか。
・ロボットにどれくらいのリアクションがあると人間に伝わると思いますか?
・心理学の部分に興味がありました。原始反射についてもうちょっと詳しく教えてください。
・色々な人間の仕草をモーションにしていくとき、参考になるものがあれば教えてください。
・谷口さんがプログラムをしている時間と新しいアイデアを仕入れる時間は1日でどれくらいの割合ですか?
・コミュニケーションロボットの提案をする時にコスト削減を求められることが多いです。ロボットを設置すると面白いことになりますよというアイデアを引き出すためにはどのようにすればよろしいでしょうか。
・「ロボットが感情を持つ」ということについて、谷口さんがどう考えているかを教えてください。
今日の講義は以上です。ロボットに関する様々な連携事例に取り組んできた谷口さん。ご自身の経験を踏まえた上で、心理学的なアプローチでコミュニケーションロボットを捉えるお話は興味深かったです。色々と勉強になりました。
みなさまお疲れ様でした。
おまけ:懇親会
今回、授業終了後の教室で懇親会が開催されました。希望者が各自5分間で自己紹介をするというものです。受講生の中にも既に深くロボットのお仕事をしている方もいて、各自の自己紹介を聞いているだけでも勉強になりました。
デジタルハリウッド サービスロボティクス専攻(シャープ:ロボホン)の授業が行われました
デジタルハリウッド サービスロボティクス専攻(トーマツベンチャーサポート)の授業が行われました
デジタルハリウッド サービスロボティクス専攻(アスラテック)の授業が行われました
デジタルハリウッド サービスロボティクス専攻(ユカイ工学)の授業が行われました
デジタルハリウッド サービスロボティクス専攻(IMJすまのべ!)の授業が行われました
デジタルハリウッド ロボティクスアカデミーの授業がスタートしました
デジタルハリウッド ロボティクスアカデミー










