長谷工グループの企業ミュージアム「長谷工マンションミュージアム」(東京都多摩市・多摩センター)は、大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのちの未来」(通称:石黒館)で展示されていた“注目のアンドロイド”を常設展示すると発表した。それに伴い、2026年4月30日に記者内覧会を開催した。

「長谷工マンションミュージアム」では、これまでの同社の実績やマンションに関する展示を楽しむことに加えて、未来の暮らしを象徴するアンドロイドの実機展示や実演が行われる展示へとリニューアルされる。

記者内覧会では、ロボット工学の第一人者である大阪大学・石黒浩教授も出席した。更に万博の公式キャラクター「ミャクミャク」も駆けつけた。





長谷工マンションミュージアムの入場は無料。通常は予約制だが、アンドロイドの設置を記念して、2026年5月9日 土曜日(朝10時~夕方5時)がアンドロイドのみを公開する特別公開初日となる。日曜日は休館で、5/11の週は午前中がアンドロイド見学、午後はアンドロイドを含むミュージアム全般が公開される予定。この期間は予約なしで入館できる。5/18の週から全館展示で予約制となる(会館時間や休館日、詳細や最新情報は事前に公式サイトで確認してください)。
■アンドロイドは「アスカロイド」と「MOMO」を展示
展示するアンドロイドは身長約128cmの子ども型の「アスカロイド」2体(デモ展示)と、未来の人間の姿をシンボリックに具現化した「MOMO」(静態展示)の合計3体が展示される。
なお、これら3体が都内で公開されるのは初めて。

1000年後、未来の人間の姿
「MOMO」は身長約200cm、空気圧アクチュエータを使い、全体最大90度左右、1m上下、40cm前後の動作機能を搭載している(62自由度)。ただし、長谷工マンションミュージアムでは展示スペースの高さの制約で稼働展示ができず、残念ながら静態での展示となっている。

「MOMO」は、アンドロイドと生身の人間の隔たりがなくなった1000年以上先の未来における「進化した人間」=ミレニアムヒューマンとして創られた。不老長寿、子孫繁栄の象徴である「桃」を名前に持ち、制約から解放された自由なカラダと精神を体現している。万博では、静かに舞いながら現代人とこころを通わせていく姿が印象的だった。ただ、混雑時には見学の時間制限が設けられていたため、ここでの展示では心置きなく見られそうだ。万博では空間体験の中心として展示されていた「MOMO」だが、こちらではロボットそのものの造型が楽しめる。

石黒教授は「全身を皮膚で覆ったアンドロイドは初めての試み。衣装や照明を含めてMOMOの美しさを体験して欲しい」と語った。

また、万博でディレクター等をつとめたメンバーからは「1000年後の未来っていうことを考える時に、工学的な進化だけではなく、文化的な背景や人々の思い、神様とロボットの間の存在、といったメッセージが込められています。衣装には生命の根源となる渦模様のデザインも施されていて、人間と文化の狭間にあるような存在として、思いを巡らせていただけたら嬉しい」と語った。

会話する子どもアンドロイド達
「アスカロイド」は大阪・関西万博を機に生まれた“子どもの”アンドロイドアバター。10歳の子どもをイメージして開発された。表情の微細な変化を表現できるデザインが特徴的だ。

子どもの活発さを反映した振る舞いにより、手足や視線、身振りがいきいきと動き、触れ合う人に楽しさと親しみを感じさせる。長谷工マンションミュージアムでは、万博の思い出や未来の家について2体がコミュニケーションする短いデモが用意されている。


なお、ミュージアムでは万博のパビリオンのストーリー動画をモニターで上映する予定となっていて、万博での体験を彷彿させるコーナーも設けられる予定だ。

■最先端技術と住まいの未来の関係性を来場者が体感
長谷工コーポレーションの熊野社長は、来場者や関係者への謝意を述べたうえで、大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのちの未来」(石黒館)が大きな人気を集めたことに触れた。

万博で同社がプラチナパートナーとして参画した同パビリオンで展示されていたアンドロイドを多摩のミュージアムへ移設し、常設展示として公開する意義を強調した。
アンドロイドは「進化するテクノロジー」を体現する存在であり、長谷工が手がける“住まい・暮らし”と今後ますます関係が深まることを来館者にも実感して欲しい。
長谷工グループは「住まいと暮らし」を軸とする企業であり、進化するテクノロジーとの関係は今後さらに深まると指摘。
石黒氏が「人とは何か」を問い続けてきたように、自社も「住まいとは何か」を追求していく姿勢を示した。また、ミュージアム内の未来住宅ゾーンや、「生きている家を、創ろう」のスローガンを掲げる杉並の実証住宅(iviハウス)と連動し、展示だけではなく「未来の暮らし」を具体的に考えるきっかけとして位置づけている。更に、今回の展示実現に尽力した関係者に対して深い感謝を述べた。
万博は「実験場」 成果を社会へ還元するレガシーへ
2025年日本国際博覧会協会の石毛事務総長が登壇。大阪・関西万博が最終の来場者数 約2,900万人、満足度は約75%と高い評価を得て成功に至ったことを紹介した。

その背景として、「圧倒的なコンテンツ力」を挙げた。中でもシグネチャーパビリオンは、8人のプロデューサーが「いのち」というテーマに真正面から向き合い、強いメッセージ性を生んだと強調。特に「いのちの未来」は、人間とアンドロイドが共存する未来をストーリーとして提示した点が評価され、予約困難なほどの人気を博したとした。
今回、展示アンドロイドが万博会場を離れ常設展示されることについては、万博を「一過性のイベントではなく未来社会の実験場」と位置づけ、その成果を社会に還元する象徴的な取り組みと評価。万博の価値は終了後にこそ磨かれ、こうした展示がレガシーとして広く継承されていくことに期待を示した。
万博の問いを継承 未来の暮らしを考える場へ
長谷工マンションミュージアムの江口館長は、万博「いのちの未来」で展示されたアンドロイドを常設展示する意義について、「未来の人間像や子どもの視点を通じて、来館者に未来を考えさせる象徴的存在」であると説明した。

万博終了後に機体を受け入れ、展示環境を整備した経緯を述べたうえで、同館は単なる住まいの歴史紹介にとどまらず「未来の暮らしを考える場」であり、万博で提示された問いや知見を一般公開の場で継承することに価値があると強調。アンドロイドは技術展示ではなく、人と技術の関係や社会のあり方を考える“装置”であり、来館者が未来の住まい像を主体的に想像するきっかけになるとした。また、近未来(数十年後)の住宅展示と、より遠い未来(数百~千年後)を象徴するアンドロイドを同時に体験することで、時間軸を広げた思考を促す狙いを示した。
アスカロイドとMOMOが示す「人間の未来像」
石黒浩教授は、今回展示されるアンドロイドが大阪・関西万博「いのちの未来」で生まれた“オリジナルの成果”であり、そのレガシーを社会に残す取り組みである点を強調した。

子ども型の「アスカロイド」は万博のために新たに開発された存在で、従来のアンドロイド技術をベースにしながら外観を子どもに最適化した点が特徴だと説明。50年後の未来を描くゾーンで登場し、日常の中に溶け込む人間とアンドロイドの関係性を象徴する役割を担っていた。
ミュージアムでは新たに2体が対話する演出を加え、より“関係性”を感じさせる展示へと進化させている。

一方、成人型の「MOMO」は1000年後の人間像を表現するためにゼロから開発されたアンドロイドであり、背面のクレーンアームによって空中を舞うように動く構造や、全身をシリコン皮膚で覆った造形(石黒研究室では初)が大きな特徴となっている。
従来の“立つ・座る”中心のアンドロイド表現を超え、身体性や存在感そのものを拡張する試みであり、アーティストとの協働によって未来の人間像を総合的に演出した点に意義があるとした。また、万博期間中に長期間安定稼働したこと自体が技術的な到達点でもあると振り返った。
また、「MOMO」は単なる技術展示ではなく、アーティストによる演出や衣装、照明と組み合わせることで、“未来の人間”を美的・物語的に表現する試みでもあったと説明。こうしたアンドロイドは、驚きを与えるだけでなく、人間とは何か、未来の社会や身体はどう変わるのかを考えさせる装置であると位置づけた。今回の常設展示を通じて、万博で生まれた問いや体験が広く共有され、レガシーとして社会に残っていくことへの期待を示した。
【長谷工マンションミュージアム】
住所:東京都多摩市鶴巻3-1-1
最寄り駅:
「京王多摩センター」駅
「小田急多摩センター」駅
多摩モノレール線「多摩センター」駅 徒歩約10分
WEB:休館日の確認や予約など
https://www.haseko.co.jp/hmm/







