Industry Alpha株式会社は2026年9月3日、マレーシアのエンジニアリング企業DreamEDGE Sdn. Bhd.と2026年3月4日付で業務提携に関する覚書(MOU)を締結したことを発表した。
自律移動ロボット(AMR)とフリート管理システムを核とした自動搬送ソリューションの導入を第一歩に、マレーシア市場でのソリューション展開を進めていく。
マレーシアの製造DXが背景に
マレーシア政府は2023年に発表した国家産業戦略「新産業マスタープラン2030(NIMP2030)」で、製造業の高度化とデジタル化を国家的な重点課題に掲げている。4つのミッションの一つ「Tech up for a digitally vibrant nation」では、製造業および関連サービス業におけるIndustry 4.0技術の導入促進が明記されている。
さらに2025年7月に発表された国家開発計画「第13次マレーシア計画(13MP、2026~2030年)」では、外国人労働者が労働力人口に占める割合を2030年までに10%へ引き下げる目標が掲げられ、自動化・機械化を促す仕組みの整備が進められている。
労働集約的な運用からの転換はマレーシアの製造業にとって現実的な課題となりつつあり、工場・倉庫の現場ではロボティクスやオペレーションを統合するソフトウェアへのニーズが高まると見込まれる。
AMR「Kagero」とFMS「Alpha-FMS」が核
Industry Alphaは、AMR「Kagero」とフリート管理システム「Alpha-FMS」を核に、スマート工場・スマート倉庫を構想段階から運用まで一貫して実現するソリューションを提供している。
ハードウェアとソフトウェアの両方を自社で開発しているため、現場ごとに異なる要件に合わせて柔軟に設計できることが強みだという。日本とは条件の異なるマレーシアの現場でも、この設計の自由度が生きると同社は見ている。
一方のDreamEDGEは、プロダクト設計・開発からプロトタイピング、シミュレーション、オートメーション、IoT、AIまで幅広い技術領域を手がけるマレーレーシアのエンジニアリング企業で、現地の産業界に深く根ざし、企業や地域社会のデジタル化を技術面から支えてきた。
今回のMOUでは、DreamEDGEが現地での営業・導入・アフターサービスを担い、Industry Alphaがソリューションの提供と技術面でのバックアップを行う。まずは実証実験(PoC)や導入事例を積み重ねながら、現地に根ざした形での普及を目指す姿勢だ。

AMR・FMSを起点に広がる応用領域
本提携の出発点は自動搬送だが、Industry Alphaが提供できる領域はそれだけにとどまらない。AMRやFMSを起点に、エレベーターやシャッター、ロボットアーム、自動倉庫といった現場の設備そのものの制御にも対応する。
現場をデジタルツイン上に再現して事前検証するシミュレーションや、稼働状況をリアルタイムに可視化する仕組みも提供しており、工場・倉庫のオペレーション全体を対象に、現地の要件に応じて段階的に広げていく方針だ。
自動搬送領域で培ってきた自己位置推定・自律走行・群制御といった要素技術は、物流・製造の枠を超えて応用できる可能性を持つという。実際に、AMRの自律走行技術をフォークリフトの稼働分析に応用するなど、社内でも技術の転用を重ねてきた。
DreamEDGEが持つIoT、AI、ビッグデータ解析、AR/VRといった知見と組み合わせることで、搬送や製造以外の領域にも応用の幅を広げられると両社は見ている。
今後はASEAN・イスラム圏への展開も視野
両社はまずマレーシア国内での実績づくりに取り組み、そこから次世代のスマート化ソリューションを継続的に提供していく方針だ。マレーシアで培ったノウハウをもとに、ASEAN諸国やイスラム圏の国々への展開も視野に入れている。
ロボスタオンラインセミナー情報
フィジカルAIに重要な「学習データ」 知能化ロボットの最前線
ロボスタでは、ヒューマノイドやAIロボットの進化を支える「学習データ」をテーマに、オンラインセミナー「フィジカルAIの『学習データ』はどう作る? APTO高品氏が語るフィジカルAI時代のデータ戦略と社会実装」を10月7日(水)に開催します。

講演では、「フィジカルAIになぜ学習データが重要なのか」といった基礎から、VLAや模倣学習、テレオペレーションによる実世界データの収集、アノテーション、シミュレーションや合成データの活用まで、フィジカルAIの学習データがどのように作られるのかをわかりやすく解説していただきます。
さらに、実際のユースケースや社会実装に向けた取り組みを紹介します。NVIDIAやAWSとの連携など、フィジカルAI時代に求められるデータ基盤やエコシステムのあり方、今後の可能性についても深掘りします。
ロボットを賢くするための「データ」は、どこから集め、どう作り、どう活用していくのか。フィジカルAIの社会実装を「学習データ」の視点から考えるセミナーです。ぜひ、ご参加下さい。
詳しくはこちら
「触覚」のAIロボット最新研究と実装の最前線
ロボスタでは、AIロボット実装の鍵を握る最新技術のひとつ「触覚・力覚」をテーマに、オンラインセミナー「ロボットは「触覚」で進化する ヒューマノイド・フィジカルAI時代のハプティクス最前線」を9月17日(木)に開催します。

講演では、「人間の触覚・力覚とは何か」「ロボットに触覚はなぜ必要なのか」といった基礎から、視覚AIとの融合、遠隔操作やテレオペレーションとの関係、医療・介護・製造分野への応用、さらにはヒューマノイドやフィジカルAI時代における触覚技術の役割まで、最新の研究動向を交えながらわかりやすく解説していただきます。
後半は、柔軟ゴムセンサ「e-Rubber」の開発や実証実験、「身体性AI」やロボットへの応用事例等をご紹介。
大学等における最先端研究と、企業による社会実装の両面から、触覚技術の現在地と今後の可能性を深掘りします。ぜひ、ご参加下さい。
詳しくはこちら

