パナソニックがPepperを活用したロボティクス開発、サポートを発表

Pepperとパナソニック

パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社(東京都港区)は、2016年7月8日より「Pepperを活用したロボティクス・ソリューション」の受注を開始したことを発表した。


同社はソフトバンクの「ロボアプリパートナー(Basic)」の認定を受けていて、Pepperを活用した各種業務支援システムを企業の要望ごとに個別設計するとしている。


パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社 経営企画部企画課によれば「OCR(光学文字認識)や顔画像からのバイタルセンシング、IoTセンサーとの組み合わせなどによって、パナソニックならではの特色を出していきたい」考えだ。また、グループの総合力に加えて、他のAI技術との連携も視野に入れる。導入したPepperは、かけつけサービスを含めて、同社グループでサポート体制を持つ予定だ。


パナソニックがPepperを活用したロボティクス開発と受注開始(イメージ図)

たとえば、同社のOCR技術と連携した受付Pepperの場合はこうだ。
OCRを組み込んだPepperが受付で待機し、来訪者がPepperに対して差し出した名刺の文字情報を読み取って来訪客を特定し、データベースと照合して自社の担当者を自動で呼び出すこと等を想定している。また、顔認識技術による来店者の属性(性別・年代など)の判別によって、Pepperが接客パターンを変えるといった使い方の開発も可能としている。


また、同社グループは「HEMS」(ヘムス:ホーム・エネルギー・マネジメント・システムの略)で大きなシェアをもっている。電気やガス、水道などの使用量を見える化したり、家電機器の自動制御など、家庭で使うエネルギーの節約のための管理システムだ。これをPepperと連携することで新たなサービス展開が見えてくる可能性がある。


少しずつ注目を集め始めている「健康経営」にも活用できる可能性も模索している。健康経営とは企業が従業員の健康を管理することで、医療費の経費節減、組織の活性化、生産性の向上に繋がり、創造性の向上や企業イメージの向上、等の効果に繋がるという考え方やそれを実践すること。
同社は、ウェアラブル機器を使った従業員のウェルネス管理システムの実績を既に持っているが、今後はPepperなどのロボットとの連携で健康経営に関する市場を拡げたり、独自のシステム展開ができるかもしれないと考えている。


また、「パナソニックグループのB2B分野で実績がある、監視カメラや入退室管理システムなどのセキュリティ分野でも、Pepperとの連携による進化にチャレンジしたいと考えています」(同)とコメントしている。

その他、Pepper導入が想定されている用途の例は次のとおり

【主な用途】

    オフィス:設定された状況に従って、テンポや正確性を損なわずに、プレゼンテーションを反復可能。
    店舗・集客施設:ロボットならではの対応力で来店客・来場者の関心を引き、商品・施設の魅力をアピール。長時間・連続勤務の影響もなし。
    教育施設:子どもの好奇心に応えながら、教材やゲームで楽しく一緒に学習。疲れやストレスを見せずに、対応可能。
    介護施設:入居者との会話やゲームなどのレクリエーションをPepperが進行。ロボットと人が調和した、楽しい時間を演出。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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