千葉工大と大成建設、天井裏点検ロボット「CHERI」を開発 小型軽量な探査ロボ

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2017年1月13日、学校法人千葉工業大学と大成建設株式会社は共同で、遠隔操作できる小型軽量な天井裏点検ロボット「CHERI(http://www.furo.org/ja/works/cheri/)」を開発したと発表し、東京スカイツリー内にある千葉工業大学キャンパスで記者会見を行った。


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天井裏作業をイメージしたデモの様子

パン・チルトするカメラを使って建物内の天井裏など、狭くて暗い場所、配管や配線が入り組んだ空間の点検ができる。現在、人間が点検口から目視で行なっている天井裏の点検作業に比べると、より広範囲かつ詳細に全体を見ることができるため、天井部材や建物の経年劣化に伴う不良などを、より詳細に状況把握することができる。来年度の夏頃を目標に、大成建設と事業化を検討している。

記者会見でのデモ


一人で扱える狭隘空間探査ロボット「CHERI」

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重さ4.5kgなので軽々持つことができる

天井裏点検ロボット「CHERI」は、千葉工大がこれまで開発してきた原発向け探査ロボットの小型版。従来のロボットの1/10に重量をおさえた。名前は小型や踏破性など各機能の頭文字をとったもの。ロボットの開発の話自体は大成建設側から出てきたものだという。


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ロボットの仕様

本体前方にカメラ、上部にLEDライトを装備。全長350mm、幅250mm、高さ90mm。おおよそB4洋紙くらいのフットプリントとなっている。重量は4.5kg。

本体に2箇所、端のアームに4箇所、合計6箇所にクローラ方式の駆動部を持つ。移動速度は秒速1.2m程度。


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天井裏の構造物を乗り越える

端のアームを使って高さ150mmの段差を乗り越えることができるため、天井部材に多い65mm程度の段差ならば、容易に乗り越えながら点検することができる。また、ダクトや配管下の隙間が約100mmあれば潜り抜けることもできる。

移動の様子を正面から

新規に開発した小型カメラにはリフトアップ機能があり、最大300mmまで撮影高さを調整して点検することができる。LEDとカメラを使うことで10ルクスくらいの暗所でも動画と静止画で撮影できる。


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必要に応じてリフトアップするカメラ。解像度は「HD程度」とのこと

LEDは最初は前方に搭載したモデルも検討したが、現場で実験を行い、上部に搭載して照らす間接照明方式のほうが見たい部分が見えると判断したとのこと。なお、カメラについても後面にカメラをつけたモデルでの検討も行ったが、今回は前面の一機のみとした。


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ゲームパッドで操作

ロボットとカメラは無線LAN経由で遠隔操縦される。原発探査システムの操縦システムを継承しており、ゲーム用パッドを使って操作することで、誰でも操縦ができる。


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本体中央に配置されたバッテリー

なお搭載バッテリーはリチウムイオン。おおよそ2時間程度、駆動する。



小型軽量な天井点検ロボットのニーズ

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小型であることをアピールする千葉工業大学常任理事 未来ロボット技術研究センター(fuRo)所長 古田貴之氏(右)

千葉工業大学常任理事で、未来ロボット技術研究センター(fuRo)所長の古田貴之氏は、以下の3つをポイントとしてあげた。

1)ロボットが非常に小型で誰でも一人で扱えるところ、
2)ロボットの姿勢がリアリタイムに提示されて誰でも容易に操縦できるところ
3)新規に開発したカメラシステムのギミック

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千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター研究員 西村健志氏

開発担当者である千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター研究員の西村健志氏は、まず東日本大震災以降、認識され、建築基準法改正によってさらに高まった天井裏点検ニーズについて紹介。


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天井点検ニーズが高まっている

ロボットを実際の環境でテストを行なって、運用に耐えると判断したという。


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実際の環境でのテストも行った

ロボットが実際に点検するのは、吊りボルトで吊っている「野縁」と呼ばれる構造物を引っ掛けるためのクリップ。吊りボルトや野縁は丈夫だが、このクリップはもともと柔らかいため揺れにも弱く、破断することがあるのだという。


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ロボットによる調査のイメージ

ロボットの小型化については、まず、構造材ではないため高重量には耐えられない天井板の耐荷重量以下にする必要があった。通常の天井の石膏ボードの耐荷重は14kgだ。

小型にすると今度は天井裏にある梁などの障害物乗り越えが困難になるため、天井裏にある障害物から大きさ仕様を決めて、天井裏を問題なく移動できる踏破性能を実現しつつ、カメラの解像度や遠隔操作性能を維持しながら、小型化していったと語った。また、モータードライバーなどによる発熱などの課題もあったようだ。


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記者会見の様子

大成建設株式会社 技術センター 建築技術開発部長 上野純氏と同 次長の森直樹氏は、「特定天井」と呼ばれる高さ6mある天井裏は3年に一度の点検義務があり、そこをロボットを使って隅々まで点検・記録できるメリットは大きいとコメントした。

既に調査会社の実際の作業員にもロボットを扱ってもらっており、これから数ヶ月間、実際の現場での運用を通して改良を進め、来年度なるべく早い時期に実用化していく。コストは現状の天井点検よりも下げることを目指す。ロボット自体のさらなる軽量化も進める。

操作の様子

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森山 和道

フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。WEB:http://moriyama.com/ Twitter:https://twitter.com/kmoriyama 著書:ロボットパークは大さわぎ! (学研まんが科学ふしぎクエスト)が好評発売中!