「Kibiro for Biz」発表!文章を読んで内容を理解する人工知能「KIBIT」とは? 〜FRONTEOコミュニケーションズに聞く(1)

FRONTEO(フロンテオ)とFRONTEOコミュニケーションズは、人工知能と連携するコミュニケーションロボット「Kibiro」(キビロ)の法人向けパッケージ『Kibiro for Biz』の販売開始を発表した。ショールームや受付など接客が必要な場所においてよく使われる機能を予め盛り込んだものになる。また、受付や接客には各企業や製品名などにあわせ、現場に即した内容に変更することが求められるが、その点も可能で、現場の担当者が簡単な操作でカスタマイズできるよう工夫されている。

FRONTEOコミュニケーションズが開発したロボット「Kibiro」

Kibiroは身長28.5cmで、500mlのペットボトルより少し高いくらいの大きさ。設置のしやすさが特徴のひとつだ。「Kibiro for Biz」の主な機能として、同社では下記を挙げている。


■プレゼンテーション
製品や施設、 イベントなどの情報を、 Kibiroが愛らしい動きと音声でタブレットに表示したスライドショーと連動して説明する。
■問い合わせ対応
来訪者から寄せられる良くある質問(FAQ)を予め設定、 Kibiroがガイダンス対応する。
■アンケート
接客対象者の年齢・性別他、 アンケート項目を自由に作成・設定。 Kibiroがヒアリングした回答データを収集することが可能。

また、Kibiroが各機能を行っていない待機中を利用して、Kibiroと対話するシナリオを自社専用に追加する機能や、 接客時のログデータの収集、 多言語対応(日英中)なども用意されている。
なお、「Kibiro for Biz」の販売開始を記念して、期間限定のキャンペーン(9月15日まで)が実施されている。導入を検討している企業は下記のページもチェックしておこう。


ロボット「Kibiro」は高度な人工知能「KIBIT」と連携できる

「Kibiro for Biz」とは別に、Kibiroには他にはない大きな特徴がある。人工知能「KIBIT」(キビット)と連携できることだ。
人工知能「KIBIT」は、行動情報データ解析を行っている企業FRONTEOが開発している。コミュニケーションロボットの「Kibiro」は、FRONTEOの子会社でデジタルコミュニケーション事業を展開するFRONTEOコミュニケーションズが開発したものだ。
「Kibiro for Biz」で強調されている受付等での接客応対や日常会話のおしゃべり等が可能だが、それに加えて最大の特徴はやはり人工知能「KIBIT」と連携することができることだろう。ビジネス現場では特に、ロボットは人工知能との連携によって、できることがかなり拡がる。

人工知能「KIBIT」とロボット「Kibiro」について知りたい

人工知能「KIBIT」はどのような機能と特徴を持っているのか、そしてコミュニケーションロボット「Kibiro」は人工知能と連携してどんなことができるのか、同社の代表取締役社長、斎藤匠氏に聞いた。(第1回)

株式会社FRONTEOコミュニケーションズ 代表取締役社長 斎藤匠氏


「KIBIT」は文章を理解し、人間の微妙な心の動きが解釈できる人工知能

編集部

まずは「KIBIT」について教えてください。世はディープラーニングや人工知能ブームのまっただ中。人工知能と名付けられたものはいろいろありますが、KIBITはどのような点に特徴があるのでしょうか。

斎藤(敬称略)

「KIBIT」は、人間の微妙な心の動きを意味する日本語の「機微」(KIBI)と、情報量の最小単位を意味する「ビット」(BIT)とを組み合わせて「人間の機微を理解する人工知能」という意味合いで命名されました。機能をひとことで言うと「文章を読んで理解し、意図を解釈」することができます。

編集部

文章を読んで、書いた人の心の状態がわかるということでしょうか。

斎藤

心の状態というか、判断力といった部分ですかね。法律や医療の専門家がその視点で選んだ教師データをKIBITに学習させれば、法律や医療分野の文章を解析する能力を持つことができます。KIBITにどんなデータを学習させるかによって、さまざまな分野の専門家やエキスパートを支援する人工知能になります。
KIBITの特徴を説明する際によく使う、訴訟における証拠発見の実例をご紹介しますね。次の文章は一見よくあるメールのようですが、KIBITが不正を示唆するメールとしてピックアップしたものです。なぜKIBITが「怪しい」と感じたか解りますか?


お世話になっています。
最近はいかがですか?
もし良ければ、今日にでも飲みに行きませんか?
前回から時間も経っていますし、またお話しできればと思います。
いい個室の居酒屋を見つけたので、そこにしましょう。

編集部

よくある普通の会話のように感じますが、これが実際に不正をしていた人のメールだったのですね?

斎藤

はい、例えば、KIBITは下記のメールは不正だとは指摘しません。その違いを見ると根拠が解ってくると思います。


お疲れ様です。
今日の夜、予定ありますか?
久々に飲みにでも行けないかと思いまして。
駅前の居酒屋に8時くらいでどうですか?

KIBITを開発したFRONTEOは、国際訴訟などに必要な電子データの証拠保全と調査・分析を行うeディスカバリ(電子証拠開示)や、コンピュータフォレンジック調査の支援からはじまった。リーガル分野で培った解析技術をベースとして人工知能の開発を手がけ、ヘルスケア、デジタルマーケティングなど活用の幅を広げながら、来年で15年目になる。2016年07月に当時UBICという名称からFRONTEOに変更した。

ディープラーニングをはじめとして、昨今のAIブームで最も注目を集めているのは「画像や音声認識」の精度が向上する点だ。一方で、人間が読むために書かれた文章を解析し、内容を理解し、特徴や重み付けができる人工知能は決して多くはない。KIBITはその数少ない人工知能のひとつだ。日本の会社が開発している、国産のAIということも特筆点で、最近ではKIBITを採用する企業が右肩上がりに増え続け、FRONTEOグループのAI事業は、2017年3月期の売上高が前年比240%を記録した。

例題のメールは、訴訟の支援で実際にKIBITが「不正示唆メール」と判定したもの。KIBITの特長は教師データが少なくても、短時間で学習できる点だとも言う。


人工知能「KIBIT」はどのように学習するのか

編集部

KIBITはどのように学習するのでしょうか

斎藤

まずは教師データ(関連性ありかなしか、判断すべき解を付けたデータ)を作成します。例えば、訴訟支援の例では、いくつかのメールを専門家が読んで判断し、これは怪しい、これは怪しくないと言った判定をしてラベル付けを行い、それを教師データとします。はじめは20〜30件程度のメールを解析するだけで特徴量を抽出します。データを読み込ませるごとに学習して精度を上げていき、怪しいメールにはどういう特徴があるのかを理解します。

KIBITは文章の形態素解析等を行い、分後単位や文脈で理解する。教師データを元に「怪しい」メールと「怪しくない」メールを解析させると、その違いを学習する。学習後はメールを読ませると「怪しさ」をスコア付けして回答する(訴訟支援の例の場合)

編集部

日々やりとりされている膨大なメールの中から、KIBITが不正の疑いがあるとピックアップしたメールを集中的に調べれば、横領や談合などの不正を防いだり、発見することができる可能性が高まるわけですね。


銀行などの金融機関がAI技術を導入

他にも、金融機関のコンプライアンス・チェックや面談記録のチェックにもKIBITは導入されている。
横浜銀行は2017年4月に、顧客本位の取り組みを強化するため、KIBITを活用した文章の解析技術を導入したことを発表した。
具体的には、個人の顧客の資産形成・運用に関わる業務においては、営業担当者が顧客と交わした会話などを元に記載した膨大な面談記録が残される。これを機械学習したKIBITが解析することで、顧客の真のニーズをこれまでよりも迅速かつ効果的に分析、今後の提案活動に活かすことができる、としている。また、営業店の役職者による面談記録の確認業務を効率化することで、それによって創出した時間を顧客との接点拡大につなげていけると見込んでいる。

横浜銀行が発表したプレスリリースより、KIBIT導入のイメージ図。導入前と導入後。膨大な記録を読み切れない、モニタリングが特定の条件に合致する取引の面談記録のみに限定されてしまう、と言う課題があり、KIBITがその部分を補なっていく

画像や音声解析の分野だけでなく、KIBITのように人間が書いた文章(非構造化データ)を理解する人工知能の登場は待ち望まれている。しかもKIBITは機械学習にかかるトレーニングのために膨大なデータが必ずしも必要ない、という点も特筆点だ。

では、このような特異な人工知能とKibiroはどのように連携し、なにができるのだろうか。次回はそこに焦点をあてて、更にはKibiroの新機能についても聞いていきたいと思う。
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