新世代家庭用ロボット「LOVOT(ラボット)」開発のGROOVE X、累計調達額が約80億円に

家庭用ロボットを開発するロボットスタートアップ「GROOVE X」は、未来創生ファンドとINCJ(産業革新機構)を筆頭引受先とする最大64億5千万円の第三者割当増資を実施したことを発表した。

12月18日(月)に未来創生ファンドとINCJが各14億円を出資し、その他の引受先と合計で総額43億5千万円の出資が行われる。その後、INCJはさらに21億円を上限とする追加出資を実行予定で、GROOVE Xの資金調達額はこれまでの資金調達を含め、累計で最大78億7千万円となる見込みだ。同社の第三者割当の引受先には、未来創生ファンドとINCJを含め9社の名前が並ぶ。

GROOVE Xは、元ソフトバンクロボティクスで「Pepper」の開発責任者を務めた林要氏が設立、代表取締役を務める会社だ。林氏は、トヨタでスーパーカーやF1の開発や商品企画に携わってきた。そこでものづくりのイロハを学んだのち、孫正義氏が開講したソフトバンクアカデミアを第1期生として卒業した。その後Pepperの開発責任者としてPepperを生み出し、2015年11月にGROOVE X社を設立、2019年に家庭用ロボット「LOVOT(ラボット)」を発売すべく現在製品開発を行なっている。今回調達した資金は、今後の製品発表や発売に向けた開発費用及びマーケティング費用に活用する予定だという。



同社が開発するロボットの名前が「LOVOT」だということは、NHK教育テレビで10月に放映された「SWITCHインタビュー 達人達(たち)」で初めて発表された。人の代わりに仕事をするロボットではなく、人に寄り添い、癒しを提供することで人のパフォーマンスや生活の質を向上させる新世代家庭用ロボットになるという。これまでのロボットが人々の仕事を代行する「機能的な存在」であったのに対して、「LOVOT」は一緒にいると温かい気持ちになる心に寄り添う存在になる。「LOVOT」という名前は、LOVEとROBOTを融合して生まれた名前だ。



林氏は「”モノ”の時代から”心”の時代へ」ということで、これまでのロボットとラボットが目指す世界観の違いとして、「機能を重視するロボットは人の仕事を代替し、コストを下げるものであり、機械のもつ性能を上げてきた。一方、SNSやゲーム、ペットは人の生活に潤いを与える存在であり、人々の生活を豊かにしてきた。LOVOTは後者のような”生活に潤いを与える存在”を目指していく」と語った。


右から、未来創生ファンド代表取締役 深見正敏氏、GROOVE X株式会社 代表取締役 林要氏、株式会社産業革新機構 専務取締役 土田誠行氏

続いて出資を行なった、未来創生ファンド代表取締役の深見正敏氏及びINCJの土田誠行氏より、今回の出資に関する目的などが説明された。

未来創生ファンド 代表取締役の深見正敏氏は、「投資をする時に見ているのは、究極的には一つです」と語った。「その一つとは経営者であり、どのような社会的な課題を解決して世の中を豊かにしていくかを見ています。そして、その経営者がどのくらい情熱を持ってそれを実現しようとしているかを見ています。その上で、2015年12月に初めて林要さんにお会いした時から出資することを決めました」と語った。また、質疑応答で開発の進捗について話が及びと、「開発が順調に進んでいることに驚いています」とも語った。



一方産業革新機構は、2009年7月に産業や組織の壁を超えて、オープンイノベーションにより次世代の国富を担う産業を育成・創出することを目的に創設された官民ファンドだ。総額2兆円規模の投資能力を持っており、現在の支援決定金額は1兆346億円となっている。

株式会社産業革新機構 専務取締役 土田誠行氏は、「第一次、第二次は肉体の代替。第三次は情報処理を代替させました。第四次産業革命は、モノの時代から心の時代へということで、人間の豊かさを運んでいくことが必要だと考えている。これまでの投資に至る経緯の中で、日に日に会社として成長され、人員も増強され、大変期待しているベンチャーです」と語った。

最後に、林要氏は、「まだはモノが出せない段階では、まずワクワクしてもらうことが大切だ」と語り、本日より開始する「LOVOTキャンペーンの第一弾」について触れた。


キャンペーンページよりキャプチャ

本日より、キャンペーン専用のアプリをリリースし、「IMGINE YOUR LOVOTキャンペーン」というものを行なっていく。このアプリでは、自身が描いた「想像のLOVOT」を撮影しアップロードすると、アニメーションになってくれるというもの。

そのほか、Pepperを開発するソフトバンクがある汐留の地下街に広告を打っていくほか、イーロン・マスク氏がCEOを務めるロサンゼルスのSPACE X社の社屋前にも広告を打つという。林氏は、「例えば火星に行った時、宇宙に行った時、私たちのLOVOTのような存在が必要なのではないかということをイーロン・マスク氏にも想像してみてもらいたい」と語った。

公開されたティザームービーに映る、LOVOTの目。コンセプトモデルのため、製品版では変わる可能性があるという
関連サイト
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ロボットスタート株式会社

ロボットスタートはネット広告・ネットメディアに知見のあるメンバーが、AI・ロボティクス技術を活用して新しいサービスを生み出すために創業した会社です。 2014年の創業以来、コミュニケーションロボット・スマートスピーカー・AI音声アシスタント領域など一貫して音声領域を中心に事業を進めてきました。 わたしたちの得意分野を生かして、いままでに市場に存在していないサービスを自社開発し、世の中を良い方向に変えていきたいと考えています。

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