NVIDIA と、世界最大手の自動車テクノロジ企業の 1 つである Continentalは、NVIDIA DRIVE プラットフォームをベースとする完全なAI自動運転システムの開発と、AI自動運転車の生産の実現に向けて提携することを2月5日(米国時間)に発表した。(冒頭の写真はContinentalの公式Facebookページより)
同提携は、レベル2(部分自動運転)から、車両にハンドルやペダルが搭載されていないレベル5(完全自動運転)機能までの、幅広いAIコンピュータ・システムの生産を実現するもので、2021年からの市場投入を目指すとしている。
Continental の高度運転支援システム(運転を)の売上は 2016年に12億ユーロ(約1630億円)を突破し、2020年には25億ユーロ(約3393億円)にまで成長すると見込まれている。
自動車メーカー各社は自動運転車の実用化を積極的に計画し、GMが2019年度の実用化を目指すと発表したばかりだか、自動運転を実現するためのシステムパッケージの開発が、実用化競争に拍車をかけそうだ。
NVIDIAは今回の提携とは別に、トヨタ、アウディ、メルセデス、テスラ、バイドゥなどと自動運転向けAIコンピューティング・エコシステムでの連携を発表している。
自動運転ソリューション開発を進める
今回のNVIDIAとContinentalの提携内容はどのようになっているのだろうか。
具体的には、現在、世界最高の性能と言われているシステムオンチップである「NVIDIA DRIVE Xavier」(エグザビア)のほか、「NVIDIA DRIVE OS 」(オペレーティング システム) や、DRIVE AV(自動運転車向け)のソフトウェア・スタックが搭載された「NVIDIA DRIVE プラットフォーム」をベースとして、両社の専門エンジニアリング・チームが共同で自動運転ソリューション開発を進めるとのこと。
両社は、幹線道路での周囲360度の状況把握や自動車線変更、さらには車の合流機能といった高度な自動運転機能から着手する予定だ。また、システムには、車両が地図上で自己の位置を特定できるように高精細地図を取り入れるほか、地図の更新機能も搭載する。
Continentalシステムの頭脳となる「NVIDIA DRIVE Xavier」
Continentalには、自動車向け機能安全規格の中で最も厳しい水準「ASIL-D」に適合するシステム・エンジニアリングやソフトウェア・エンジニアリングで培った経験と知識あり、高度運転支援システムにおけるContinentalの専門知識によって、多機能カメラ、サラウンド・ビュー付き魚眼カメラ、短距離および長距離レーダー・センサー、高解像度3D Lidar技術に加え、支援運転・自動運転向け中央制御装置が統合される。
NVIDIAの資料によれば、Continentalシステムの頭脳となる「NVIDIA DRIVE Xavier」は、30ワットの消費電力で30TOPS(毎秒1兆回の演算)に達っするディープラーニング性能を備えていると言う。ディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)を実行して周囲の状況を検知し、環境を認識したり、高精細地図上で車両の位置を特定、他の物体の挙動や位置を予測する、車両力学を計算する、安全な進路を計画することなど、自動運転車に必要となる様々なタスクに必要で膨大なデータを処理することが「Xavier」によって高いレベルで実現する、としている。
今回の提携に関して、両社のCEOは次のようにコメントしている。
Continental社 CEO Elmar Degenhart氏
未来のクルマは、検知・プランニング・運転代行を司る、走るコンピューターになるでしょう。複雑な自律走行を可能にするには、AI スーパーコンピューターの演算処理能力を最大限活用するほかありません。
NVIDIA社 創業者兼 CEO Jensen Huang氏
これで、AI 自動運転車を開発から大量生産へと移行させるうえで鍵となるすべての要素の準備が整いました。当社の最新の DRIVE Xavier プロセッサ、幅広い NVIDIA DRIVE ソフトウェア、そして、テスト、検証、機能上の安全性における「Cloud-to-Car」アプローチと、Continental の専門知識やグローバルな事業展開を融合させることで、自動運転車を全世界に普及させたいと考えています。