ソフトバンク、IoTを「脱インターネット」そして「最終形」へ NIDD技術を活用

ソフトバンクは、IoTデバイス向けのLTE通信規格である「NB-IoT」において、3GPPで新たに規格化されたNIDD(Non-IP Data Delivery)技術の商用環境での接続試験に、世界で初めて成功したことを発表した。これにより、IoTデバイスをよりセキュアで低消費電力に稼働させることができるようになる。

従来のIoT通信は、IPアドレスを用いて行なわれてきた。しかしこのIPアドレスが付与されていることにより、場所が特定され、IoTデバイスを対象とする攻撃を受けやすくなってしまう。ソフトバンク代表取締役 副社長執行役員 兼 CTOの宮川潤一氏は、「この5年間で使用していないIPアドレスに対する悪意あるトラフィックが10倍になっている」と、調査データを紹介した。


ソフトバンク代表取締役 副社長執行役員 兼 CTOの宮川潤一氏

本日発表されたソフトバンクの「NB-IoT」に搭載されるNIDD技術は、IoTデバイスにIPアドレスを割り当てることなくデータ通信を行うことができる新しい通信技術。



通信にインターネットプロトコルを使わないことにより、悪意ある攻撃を受けるリスクが低く、高セキュリティーなネットワークを構築することができるのが特長だ。



さらに、IPアドレスを用いた通信の場合に必要となるIPのバージョンや送信先などを記した「ヘッダー情報」などのデータが削減されることにより、通信に必要な電力を抑えられ、バッテリーを長持ちさせることができる。IoTデバイスの多くは2〜3年程度で電池交換をしなければならず、使い方に制限しながら10年持たせようとしているのが現状。しかし、NIDDにより電力を抑えることで、電池の持ちを伸ばすことができる。



ドコモ・KDDIにも導入求める

さらに宮川氏が”特に大きい”と話すのは「初期設定が不要」という点だ。従来の通信では、初期設定作業として、ネットワーク設定や証明書登録など、一台ごとに事前作業が必要だった。しかし、これから国内だけで数十億ものデバイスが繋がる世界において、初期設定に割く時間は膨大なものになってしまう。



NIDD技術を使うことで、電源をオンにするだけでデバイスが通信を行なえる環境になる。これがIoTデバイスの普及を促進するための大きな要因になると宮川氏は語り、「ドコモさんにもKDDIさんにもいち早くNIDDを導入してもらいたい。これにより国内にIoTのエコシステムを作ることで、世界をリードする日本のデバイスメーカーが出てくる」と続けた。



従来のデータの通信経路は、基地局(eNB)からS/P-GWを経由して接続する方法を取っていたが、NIDDでは上図のような設備を経由して、IoTプラットフォームまでデータが送られる。SCSまでのデータはIPのないデータとして通信が行なわれ、そこからは閉域網での通信でIoTプラットフォームに届くため、外部から届かないところでデータの通信が行なわれるというところが、NIDDがもつ強みである。





NIDDに対応済みのクアルコムのチップセット


宮川氏は最後に「NIDDで、IoTの世界の最終形まできている」と述べた。「メリットは大きく、デメリットは今のところないと考えている」と話し、IoTデバイスの普及を加速させるキーテクノロジーになると睨んでいるようだ。

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ロボスタ編集部
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