「aibo」で長期療養の子供に癒しを ソニーと国立成育医療研究センターが効果検証へ

国立成育医療研究センターこころの診療部児童・思春期リエゾン診療科の田中 恭子診療部長らの研究グループとソニーは、犬型ロボット「aibo」による小児医療現場における長期療養中のこどもに与える癒やし効果の検証を2018年12月より開始すると発表した。

長期療養時のケアとしては、リラクゼーションなどの認知行動療法、家族療法といった効果が報告されており、その補完代替え療法として「動物介在療法」も行なわれている。

しかし、動物介在による感染症のリスクや外傷などの副作用が懸念されることに加えて、免疫力が低下した子供や動物アレルギーをもつ子供には難しい。



そんな中で注目されたのが、ソニーの犬型ロボット「aibo」だ。近年、ロボットにおいても乳児との相互作用や人らしい形態などを付与すると、その視線を追従しようとすることが判明してきており、この結果は、ロボットがインタラクティブな存在であることを子どもに経験させることで、ロボットからの学習効果を引き出すことへの期待をもたらしている。

特にメンタライジングの発達は社会において重要であり、このような発達要素が人の動きをみて反応し行動するaiboの特長を通じて、子供のこころの発達過程を分析的に知ることができる可能性を探る、癒し効果の検証となる。

今回aiboを慢性疾患で長期入院を要する子どもたちへのリエゾン医療(家族・医療従事者・社会等と繋ぐこと)として導入し、子どもと家族の癒し効果を生物・心理・社会的手法を用いて質的・量的に検証する。

なお本研究で用いるaiboは研究に向けた特別仕様の機体。市販のaibo(ERS-1000)は、ユーザーの同意のもと、撮影した写真をクラウド上に保存しスマートフォンやPCで閲覧する機能があるが、本研究では被験者の個人情報の扱いに留意し、被験者の顔写真等の個人を特定可能なデータは成育医療研究センター内でのみで管理。クラウド上への保存やソニー側では管理しないとしている。aiboが取得したセンサや認識結果等のデータは研究分担者が研究上の分析にのみ用いるとしている。

研究手法

介入①痛みを伴う医療処置の際に行うaiboによるディストラクション効果の検証
介入②長期療養を要する子どもと家族に対する集団介在療法
介入③治療により隔離や行動制限などを要するケースに対する個別介在療法
介入④医療型短期滞在施設もみじの家に滞在する医療的ケア児における集団遊びがもたらす短期的効果の検討


2018年4月から5月に実施したパイロット・スタディの結果、aiboとの定期的コミュニケーションによる情緒交流、気分転換、並びに癒しの効果が期待される結果などが既に出つつあることなどが確認されているという。


Source:エンタテインメントロボット“aibo”(アイボ)による介在療法が慢性疾患を有する小児に与える癒し効果の検証を開始 | Sony

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ロボスタ編集部

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